会社設立のお話③

さて、会社設立のお話①に引き続き株式会社の設立について書きます。
前回は、定款の認証についてご紹介いたしました。
今回は、④資本金の払い込みから設立登記完了までの手続きについて書きます。

会社設立の流れは以下となりますので、①~③の手続きについては、会社設立のお話①をご参照ください。

①設立事項の決定

②定款の作成

③定款の認証

④資本金の払込

⑤登記申請に必要な書類の作成

⑥登記申請

⑦設立登記完了

④資本金の払込

定款の認証が終わったら資本金の払い込みを行います。
発起人は、設立時発行株式の引受後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につきその出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない(会社法34条1項)とされています。定款により発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数を定めた場合には、定款認証のあとに行うのが一般的とされています。(会社法30条1項より)

資本金の払い込み方法等は以下となります。

  • 払込先・・・発起人の口座。会社設立までは会社の口座を作成することができないので、発起人の個人の口座で構いません。発起人が複数人いる場合には、代表者1人の口座へ行います。
  • 払込方法・・・各発起人は、定款又は発起人全員の同意により定めた金額の全額を払込ます。

また、既に預金がある口座に払込を行う場合には、残高が払込の金額になっていれば良いという訳では無く、必ず払込行為を行ってください。払込行為があれば良いので、一旦預金を引き出した後、同額を払い込む方法でもかまいません。
※「発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数は,定款又は会社法32条1項の発起人全員の同意により定まるから,登記実務上,出資の履行の時期は,定款の認証前であっても,定款の作成又は当該発起人全員の同意の後であれば差し支えないとして取り扱われている。(『商業登記ハンドブック第2版(92頁)』」という見解もあります。

⑤登記申請に必要な書類等の作成

定款の認証・資本金の払い込みが終わったら、設立登記の申請をします。法務省のHPに登記申請書等の記載例が載っているので参考すると良いです。登記申請書記載例リンク
設立登記に必要な書類は以下となります。

●登記申請書・添付書類
a)登記申請書
b)登記すべき事項(CD⁻Rなどで可)
c)定款
d)発起人決定書(本店所在地など)
e)設立時取締役の就任承諾書(+議決権の過半数の一致があったことを証する書面)
f)印鑑証明書(取締役全員分)
g)払込を証する書面
h)委任状(代理人が行う場合)

●登記申請書の添付書類とは別に登記申請時に提出するもの
i)印鑑届書
j)印鑑カード交付申請書

※今回は、発起設立で、発起人が設立時取締役に就任し、取締役会は設置しないモデルに則して書きますので、形態の違う会社を設立する場合にはそれぞれご確認ください。

a)~j)についてそれぞれ少し補足をします。

a)登記申請書
設立登記の申請の際は、「株式会社設立登記申請書」を提出します。
登記申請書には、以下の事項を記載します。

  • 商号
  • 本店
  • 登記の事由
  • 登記すべき事項(別添可)
  • 課税標準金額(資本金の額)
  • 登録免許税
  • 添付書類

必要事項を記載したら、登記手数料の15万円分の収入印紙を消印をせずに収入印紙張付台紙にはります
※登記手数料が15万円を超える場合には、その金額をはります。手数料の算出方法は会社設立のお話①をご参照ください。

登記申請書が複数枚になる場合には、左端をホチキスで止め、会社代表印で契印を行います(代理人が行う場合には代理人の印鑑)。

b)登記すべき事項(CD⁻Rなどで可)
登記すべき必須事項は、登記申請書に直接記載する他、CD-Rなどの記録媒体で提出することもできます。登記すべき事項の必須事項は以下となります。

  • 「商号」・・・商号を記載します。
  • 「本店」・・・本店の所在地を記載します。
  • 「公告をする方法」・・・定款にて公告をする方法を定めた場合にはその通りに記載をし、電子公告による場合には公告先のURLも合わせて記載します。
  • 「目的」・・・定款で定めた事業目的を記載します。
  • 「発行可能株式総数」・・・定款で定めた通り記載します。
  • 「発行済株式の総数」・・・発起人が割当てを受ける株式の数を記載します。
  • 「資本金の額」・・・資本金の額を記載します。
  • 「役員に関する事項」・・・各取締役について役職と氏名を記載します。代表取締役を定めた場合には、当該代表取締役の住所も記載します。
  • 「登記記録に関する事項」・・・設立登記の場合には「設立」と記載をします。

※必須事項は全ての株式会社の設立登記時に必要となり、必須事項以外にも登記すべき事項がある会社形態の場合には、その内容も合わせて登記します。

電磁的媒体によって提出する場合には、すべて全角文字で作成しなければならいなどの留意点があります。詳しくは、法務省が掲載している案内をご参照ください。登記すべき事項の提出に関する留意点リンク

c)定款
公証人が認証を行った定款(謄本)を添付します。

d)発起人の同意書(決定書)
定款で本店所在地の記載を最小行政区画までの記載としている場合には、行政区画以降(何丁目・何番地などの地番まで)の詳細な住所を発起人で決定・同意をした旨の書類を添付する必要があります。その他、設立に際して発起人が割当を受けるべき株式数及び払い込むべき金額、発行株式数などの内容が定款にて定められていない場合にも、発起人の決定・同意をした旨の書類が必要となります。

e)設立時取締役の就任承諾書
定款若しくは発起人の議決数の過半数により定めた(会社法38条、40条)設立時取締役の全員分の就任承諾書を添付する必要があります。就任承諾書には、設立時取締役に選任されたこと・就任を承諾する旨を記載します。
また、設立時取締役の選任を定款で行った場合には定款を、発起人の決議で定めた場合には発起人の議決権の過半数の一致があったことを証する書面を合わせて添付します(商業登記法47条3項)。
また、代表取締役を定めた場合には、代表取締役就任承諾書も合わせて添付します。
取締役が就任承諾書へ押印する印鑑は、市区町村に登録をした印鑑で行います。(認印では×)
※取締役が1名の場合には、自動的に代表取締役を兼ねるため、取締役承諾書とは別に代表取締役就任承諾書を添付する必要はありません。

f)印鑑証明書(取締役全員分)
各設立時取締役が就任承諾書に押印した印鑑の印鑑証明書を添付します。
印鑑証明書は3カ月以内に発行されたものである必要があります。

g)払込を証する書面
払込が本当に行われたかどうかを証明する書類を提出します。
払込があった金額の総額・払込があった株数(設立時発行株式数)などを記載した払込証明書を作成します。

また、添付書類として払込が行われた口座の通帳のコピーなどが必要となります。
コピーの箇所については以下の3か所となります。

  • 通帳の表紙
  • 通帳の表紙をめくった1ページ目
  • 資本金の入金が記録されているページ

■製本
払込証明書と通帳のコピーを合わせて1冊の書類を作成します(払込を証する書面)。製本方法は、ページとページの間に契印をする方法が一般的ですので、書類をまとめて左端をホチキスで止め、会社代表印で契印をします。

h)委任状
設立登記手続きを代理人が行う場合には、委任状が必要となりますので、準備しておきましょう。

i)印鑑届書
会社を設立する際には、会社代表印の届出を法務局へ提出し、印鑑の登録を行わなければなりません(商業登記法20条1項・3項)。届出は法務局指定の「印鑑届書」をもって行います。フォーマットの指定ヶ所に代表印として登録をする印鑑を押印し必要事項を記載して提出します。印鑑の登録ですので、印影がかすれたり途中で切れたりしていると登録ができないことがあるので出来るだけ綺麗に押印するようにしてください。印鑑届書リンク

j)印鑑カード交付申請書
会社代表印の印鑑証明書を発行する際に、印鑑カードが必要となります。設立登記時に絶対に必要ということではないですが、印鑑届書と合わせて提出しておくと良いと思います。印鑑カード交付申請書リンク

⑥登記申請
登記申請に必要な書類の作成が終わったら、⑤でご説明をしましたa)~j)の書類を管轄の法務局へ提出します。提出は、直接持ち込むか郵送で行う方法があります。管轄の法務局は、管轄法務局リンクから調べてみてください。

■原本還付請求
登記申請時に添付する書類は、原本で提出しなければなりません。そして提出した書類は、そのまま法務局に保管されるため、返却されることはありません。手数料をかけて取得した書類や大事な書類などが戻って来ないのは悲しいですよね…。
しかし、原本還付請求を行うと、原本の返却を受けることができます!

原本還付請求の方法は、返却を希望する書類の原本のコピーに「原本と相違ありません」と記載をし、登記申請書に押印した会社代表印を押印すると法務局保管用の書類がコピーした書類となり、登記が完了すると晴れて手元に原本が返却されます。

⑦設立登記完了

申請を行った法務局によって多少異なるようですが、申請を行ってから1週間程度で登記が完了します(補正などが入った場合にはもう少しかかるかと思いますが。)。
登記が完了すれば設立の手続きは終了です。お疲れ様でした。
会社設立の日は、登記が完了した日ではなく、登記申請を行った日となります。

以上が会社設立の一連の手続きになります。
今回ご紹介したケースとは異なる会社の設立の場合には、必要書類などが異なることなどもありますが、おおまかな流れはこのようになります。

全3回に分けて、会社設立について書きました。
株式会社の設立の際にご参考いただければうれしいです!

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