商標についてのお話②

前回の商標についてのお話①では、商標とはなにか、区分や指定商品・役務を中心に書きました。

今回は、前回の続きから、まずは出願しても登録を行うことができない商標について書きたいと思います。

■登録できない商標
商標法では、登録をすることができないものが規定されています。折角お金と時間をかけて、商標の出願準備をしても、無駄になってしまいますから気をつけておきましょう。
具体的には、以下の●●●があります。

①商標登録の要件
商標法第3条1条では、1~5号の各号でそれぞれ、識別力を欠くこととなるような商標で商標の登録を受けることはできないと規定しています。
商標の主な働きとしては、前回少し書きました。その中でも識別力は商標の大きな働きとなっています。自己と他人の商標の見分けがつかなければ商標として登録してしまう訳にはいきませんね。

(1)普通名称
商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標(商標法第3条1項1号)
例えば、31類で、指定商品・役務を「りんご」とし、「りんご」という商標登録を行うことなどはできないということです。

(2)慣用名称
商品又は役務について慣用されている商標(商標法第3条1項2号)
もともとは識別力があったものの、同業者間などで使用され、同業者や世間に一般的に認識されているものは、商標として登録をすることができないません。
よく例えとして使われるのが、日本酒に『正宗』とつけることです。現在では、日本酒=正宗として広く認識されていることから、このような商標も識別力を欠くため登録を行うことができないものとされています。

(3)記述的名称
単に商品の産地、販売地、品質等又は役務の場所、質等のみを表示する商標(商標法第3条1項3号)
単に、商標についてその産地や販売地、品質等を表示する商標は登録をすることができないと規定されています。
例えば、青森県産のりんごに青森産という商標させてしまうと、今後、すべての青森産のりんごに「青森産」と記載して販売できなくなってしまいます。これは困りますね。
商品の産地や販売地、品質等はどのような商品を販売するにも、誰もが記載したく、又、商品販売にはこれらの記載が必要になってくるので、産地や品質等を商標として認めて、商標権者に独占して使用させるのは妥当ではないため、登録を行うことができないとされています。
また、「青森県産」と商標登録されたりんごが、本当は長野県であった場合、青森県産と認識して購入する方がほとんどだと思うので、このような誤認を避けるためにも商標登録はできないとされています。

(4)ありふれた氏など
ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標(商標法第3条1項4号)
ありふれた氏・名称とは、同種のものが多数存在しているものをいいます。
名称には、商号も含まれるとされています。これらが商標登録できない理由は、その氏や名称が多数存在している以上識別力を欠くため、商標として登録を行うことはできないということにあります。

(5)きわめて簡単・ありふれた標章
極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標(商標法第3条1項5号)
例えば、「あ」・「ア」など、ひらがなやカタカタの一文字の商標や、単に一本の直線を記載しただけの簡単でありふれた標章のみで構成される商標も登録を行うことはできないとされています。

(6)その他識別力のない標章
需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であると認識することができない商標(商標法第3条1項6号)
(1)~(5)に該当するもの以外で、識別力の無いものは本規定に該当して商標の登録を受けることができないとされています。

②公益的に使用されている標識と似ている商標
①では、識別力を欠く商標は登録を行うことができないとご説明しました。
ですが、たとえ識別力があったとしても、次のような商標は、公益的な観点から登録を行うことができないとされています。詳しくは、特許庁HP(リンクを貼る)をご覧ください。

 

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