企業法・授業まとめ-第2回-

授業まとめブログ、第2回目です。

前回は非常にベーシックな知識を中心に共有いたしました。
当たり前に使っている「会社」「企業」「人」といった言葉について
今一度振り返り考える、新鮮な機会となったのではないでしょうか。

さて、今回のテーマは「会社の設立」です。

<記事内の色分けについて>
●オレンジ
講義中、学生の方々に言葉の意味・意義に関する質問を投げかけています。
視野を広げてくれる回答も多いかと思いますので、ぜひご参照ください。
●ブルー
講義の本軸に加え、ポイントや補足として平山がお話した内容になります。
多少口語的ですが、“授業”の臨場感を味わっていただければと思います。


【前回の復習】
〇法人とは
個人(出資者や構成員)から独立した別個の法人格を有するもの。
法によって自然人と同様に権利能力を付与された存在。

⇩法人格がないと、どんな不都合が発生する?

例えば構成員が10人いた場合、
誰に権利義務(代金の支払い、物の引渡請求権)が帰属するのかが不明確になる。
⇒担当者に帰属してしまうことになる?団体としてそれで良いのか?
→大きな団体になると、相手にしてみたら誰と契約しているのか分からない…ぼんやりとしたグループ名で取引されても困ってしまう。
だから、一人の人格を持った人(=権利義務が帰属している)を介したい。その時、法人格をもっていれば法人に権利義務を帰属させることが可能。

なお、会社であっても建物や代表取締役に権利義務が帰属するわけではない。
代表取締役は別の人格、あくまで「機関」のひとつ
→別人格(法人格)をたてて、会社の中で行為することが大切。
グループメンバーが多くなった時、一つの団体として株式会社を作るのは分かりやすくて良いのでは?ということ。

〇「機関」とは
会社自体に「意思」があるわけではない。
では会社とは何なのか、誰が「意思」を表示して行為するのか。

代表取締役が最終的に意思を表示して行為するが、
「意思」そのもの、「行為するか否か」を決めるのは
株主総会や取締役会。
※ちなみに「機関」は法律用語

 

機関の図(伊藤博文)

上の図は、
伊藤博文が海外で国の統治等を学んだ際に、国の機関を人体になぞらえたもの。
「海江田がシュタインの講義をうけたときに提示したものと思われる。図は人体と国家を対比して、神祇官 · 親祭を頭とし、人民を左右両足とし、そのあいだに各部局を置く。首のところに政府と書かれて、胴体には弾正 · 宮内・文部 · 司法 · 大蔵、両腿に農務と商務、向かって右肩から右手へ、上院、內務、陸軍、左は下院 · 外務 · 海軍となっている。」
NAMs出版プロジェクト シュタイン、伊藤博文、国家有機体説:メモより)

⇩ここでまた、
「一つ一つの当たり前に思っている言葉の意味を考える作業」

  • 国って何?
    『ある一定の地域に住む人たちを代表する存在』
  • 領土があって人が住んでいるが国ではない場所って地球上にある?
    『南極?あるいはない?』
  • “あなた”はどこからどこまでがあなた?
    『人体的なところ~人間関係まで(社会的なつながりも含めて)』

「機関」として挙げられるのは・・・
・会社の機関(株主総会、取締役会、代表取締役…)
・国の機関 (政府、国会、裁判所…?)
・人の器官 (心臓、筋肉、脳、肺…)

⇒それぞれ意思表示をしているのは誰なのだろうか?
機関の行為の法的な効果は、「機関」である個人に帰属するのではなく、
「法人」に帰属するということ。
これが法人格を別個に認めることの意味。
→代表取締役や社長がしたことは会社に帰属し、個人の責任は切り離される。(やりすぎれば個人の責任であるけれど・・・)
“会社の人”がしたことは会社に帰属する。

※法人格がない場合、構成員(組合員)のした行為は
原則そのまま構成員に帰属し、団体という存在には帰属しない。

 

会社の種類(フォーマット)

———

【今回のテーマ:会社の設立
会社の一生を人に例えると…

〇設立
出生:権利能力を取得し、出生届を役所に提出、戸籍に記載される。
→ちなみに、基本的人権は
「生まれながらに持っている?」「法律によって与えられるもの?」
綺麗な言い方をすれば前者だが、実際は法律がないと人の権利は無いに等しい。
例えば、無戸籍児は国から権利が与えられない。
∵戸籍に載っていない、住民票もないという状態では
国が権利や保護を与えたくとも、やりようがないから。
法的にその人は存在しないことになってしまう。

○解散・精算
死亡(死亡届の提出、除籍)
外国籍の取得?(国としてその人が居なくなる)

事業譲渡
(会社の一部門を譲渡する行為、会社法上、一方の法人格は消滅せず。)
里子に出すこと?臓器提供?(中身だけの移動。例えづらい!)

〇会社分割・合併・M&A
(合併の場合:会社法上、一方の法人格は消滅する
(合併の場合:登記上、一方の会社の登記は抹消される)
結婚(婚姻届を提出、新戸籍を二人で作る=親の戸籍から抜ける)

※ちなみに、戸籍法上の「入籍」と婚姻届の提出は別の概念。
入籍とは「すでにある戸籍に誰かが入ること」。
初婚の二人の夫婦の戸籍は初めて作られるので、
本来の意味での入籍ではない。(「内縁事情.com」より)

離婚(離婚届を提出し、筆頭者でない側が戸籍から除籍される)

※ちなみに、親の戸籍に戻れるのは筆頭者になっていなかった人。
また、成人していれば自身が筆頭者の単独戸籍を作ることも可能。
戸籍は自由な住所で作ることができる。住んでいなくともOK。

国が人を管理するのは複雑・・・(戸籍、住民票、マイナンバーなど)
国が会社を管理するのもまた同様なのである。


第2回:会社の設立

【設立とは】
株式会社の設立とは、発起人が中心となってグループを形成し、
(設立の準備をした後)法人格を取得し株式会社として成立すること。
⇒法人格は、設立の登記時に取得となる(会社法49条)。

会社の設立

人の場合、権利能力を獲得するのは出生時(民法3条)。
(※出生届を出したとき、ではない)
ただし、成人するまでは行為能力が制限される。

<参考:人の始期>
人の始期は、法律上において出生の厳密な時期、いつ誕生したことにするのかをめぐる議論。人間は法律上の各種の権利の主体となるが、どの時点で権利の主体として認めるのが相当であるかについては、さまざまな議論がある。
———
全部露出説(民法)
「胎児の身体が母体から全部露出した時点」を、法的な「人の始期」とする説である(日本での民法分野における通説)。
⇒一部だけ出ている時点では、まだ「人」とはいえない
一部露出説(刑法)
「胎児の身体が母体の外から見えた時点(一部が露出した時点)」を、法的な「人の始期」とする説である(日本での刑法分野における判例)。一部でも母体外に出れば、母体とは無関係に直接の攻撃が可能であることを理由とする。
Wikipediaより)
⇒もし命を奪われれば「殺人罪」
設立の登記時 出生時
会社法49条
(株式貸家の設立)
株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。 民法3条
(権利能力)
1 私権の享有は、出生時に始まる。
2 外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。
会社法3条
(法人格)
会社は、法人とする。
民法34条
(法人の能力)
法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本的約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。

ここでおさえておきたいのが「能力」。
法律では、“何かができること”に「能力」という言葉を用いる。

権利能力:生まれながらにして持っている権利
権利能力:自然人(≠法人)は基本的に全ての自然権を持つ
行為能力:法律上、法律行為(取引)が制限されているか
行為能力:制限例・・・未成年者の契約等
行為能力:※未成年であっても法律行為はできるが、制限される。

⇧それぞれ厳密な意味は違うので注意。
以下が該当条文。

民法3条(権利能力)
「私権の享有は、出生に始まる。」
民法5条(未成年者の法律行為)
「1 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第1項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。」
<参考:胎児の人権>
胎児は原則として権利能力を持たない。
しかし以下の場合においては、民法上、権利能力が認められている。

相続と遺贈(※停止条件、解除条件) 損害賠償請求
民法886条1項 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。 民法721条 胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。
同2項 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。 民法783条1項
※母の承諾があれば認知を受けることもできる
父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。
同2項 父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができる。この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を受けなければならない。

※直系卑属=子・孫など自分より後の世代で、直通する系統の親族のこと。また、養子も含まれる。兄弟・姉妹、甥・姪、子の配偶者は含まれない。
姫路市HPより)

話を会社法に戻そう。
法人の権利能力については、以下のとおり定められているが……

民法34条(法人の能力)
法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う

実際、会社の権利能力は広く解されている。
※法律には書いていないが
“目的の範囲内”を広く解することで、
結局ほとんどが認められている。

定款上の目的の範囲外の行為を会社がおこない、
後にそれが会社にとって不利益だと分かると、会社としてはなかった事にしたい。
そもそも(法的な意味で)行為できないのなら(無効なら)
その法律行為をなかったことにできるのではないか?

⇩そうすると…

取引の安全(=一度成立した契約関係などを大事にすること)が害されてしまう。
八幡製鉄事件、一度献金したものをなかったことにできるか。
(なお、会社が返せと言えるかと、代表者の責任は別。)

「会社は定款に定められた目的の範囲内において権利能力を有するわけであるが、目的の範囲内の行為とは、定款に明示された目的自体に限局されるものではなく、その目的を遂行するうえに直接または間接に必要な行為であれば、すべてこれに包含されるものと解するのを相当とする。そして必要なりや否やは、当該行為が目的遂行上現実に必要であつたかどうかをもつてこれを決すべきではなく、行為の客観的な性質に即し、抽象的に判断されなければならない」
最高裁判所大法廷判決昭和45年6月24日

⇒結論、政治的献金はOK。
→人しかできない権利・人にしか認める必要のない権利以外であれば、
大体何でもできる、というのが会社。
こういった能力までを獲得するのが法人格の取得であり、会社の特徴の一つ。

では、法人格取得前の会社の行為はどうなるのか?
(⇧会社法のひとつの論点!)

———

【設立中の法律関係】
登記するまで会社は生まれていない。

だから、登記前の行為は基本的に会社には帰属しない。
⇒でもそんなことを言っていては、何もできないのが現実。
判例上、ある程度のことはできるようになっている。

「発起人」が権限内でおこなった行為の効果は、会社に引き継がれる。

“権限の範囲内”とは、どこからどこまでか?

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【株式会社の「発起人」とは】
発起人には以下二つの要素がある。
・会社のルールを決めて設立手続きを行う。
・(基本的にそのまま)株主になる。

発起人は代表取締役とは異なる機関
(⇧こちらは設立後に会社の行為をおこなう人)
発起人は設立のみ行い、経営は(代表)取締役に任せている。
⇒設立を企画し、設立事務を行い、会社の株式を最低1株は引き受ける。
(=会社の設立後「株主」になる。発起設立。)

つまり、設立手続きに必要な行為が“権限の範囲内”となる。

⇩その行為とは具体的に…

・株式の引受け、払込みに関する行為
・創立総会の招集
・定款認証料・印紙税
・払込取扱機関に支払う手数料・報酬 など
※法的手続きを経ないと、会社は生まれたことにならない!

発起人が設立前に行なった事務所の賃貸や事務員の雇用などは権限の範囲内の行為として、また、設立後の会社の事業行為などは「法人」となった会社の行為として、どちらも会社に権利義務が帰属する(法人性)。
(※会社の3つの特徴・性質:法人性、営利性、社団性)

発起人が権限内で行った行為の効果は、当然会社に引き継がれる。
権限外の行為を行うと、
法人格がないときの行為会社にはその効果が引き継がれずに
発起人個人の行為ということになる。

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【会社の特徴:営利性とは】

会社法5条(商行為)
「会社がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は、商行為とする。」

⇩ここで浮かぶ疑問。

・「法律に規定されているから営利性があるといえるのか」
・「営利性があるから法律に規定されたのか」
『営利性がなければ会社として目的がなくなってしまうので、後者』?

⇩実はどちらでもOK。大切なのは、

「何か一つ目的を定めると、法律の規制の方針が決まる」ということ。
⇒“営利性”という会社の特徴を決めた瞬間、
さまざまな利害調整、ルールの方向性が決まっていく。
目的が定まっていればルールはブレることがない!

会社においては、
「事業で得た利益を構成員に分配すること」
「商行為をすること、商行為をして営利性を追求すること」
これらも目的のうち。(株主利益最大化原則)
(一般社団法人、公益社団法人、NPO法人等では利益の分配は予定されていない!)
これらの目的があることで、
会社法の利害調整ルールの方向性が決まっていく。
※株主(社員、構成員)は、取締役等に利益を上げるように行動してほしい。
⇒大きな意思決定をするのは株主だが、行動するのは取締役等。

利益を最大化させない行為は規制される。

会社法356条(競業及び利益相反取引の制限)
「取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
1  取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
2  取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。
3  株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。」

取締役は、株主から委任を受けて会社の経営を任されている。
つまり、取締役のもつパワーもなかなかに大きい。
(株主と取締役は一致しない。株主は会社のオーナーである。)

会社(=株主)の利益を害する可能性があるため、会社法で規制されている。

会社の利益を最大化するために各機関(取締役)は行為すべし、とするのが会社法。

———

【会社の特徴の一つ:社団性】
社団:個人から独立した、人の集合体という意味。
(⇔財団:財産の集まり)
法人格があるかどうかとは別。
(法人格まで認めなくとも単なるグループで良い)
かつては、設立時に複数の構成員を要求していることがあった。
※株式会社では、設立時の発起人の人数として7名を要求していたが、
平成2年の法律改正で撤廃された。
以降、一人で会社を作ることも認められる

社団性にどこまで意味があるのか、
という疑問は残るが
今も概念として残ってはいる。
⇒一人で始めた事業でも、発展する(=人が増える)可能性があるので、「社団性」という概念は失われていないのでは。

構成員が一人でも「人の集合体」として活動することもある。
(屋号、芸名、ペンネーム(一人でつける/複数人で一つを使用)等)
⇒別人格として会社を一つ用意することに不都合はない、ということ。

社団性は、会社に関与する人が複数人でてくる点の根幹にある。

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【設立する会社の形態選択】
以前紹介した4つの会社形態;合名会社、合資会社、合同会社、株式会社

全社員が有限責任である合同会社株式会社の実務上の違いはどこにあるのか?
※日本では、「株式会社の方が格上」というイメージを持たれやすいが、アップルの日本法人や西友は合同会社を選択している。

所有と経営が密接になっているので、
社員(株式会社でいう「株主」)と代表者が一致している。

代表社員(「株主」的な存在+「代表取締役」的な存在)に、
法人がなることができる。
⇒外国法人が日本に会社を作るときに利用することが多い。

その他のメリットは、登録免許税が安いことなど。

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【株式会社の特徴(構成員多数を想定)】
①所有と経営の分離
「株主」(オーナー)と「取締役」(運営者)は別。
基本的には、
取締役:会社の経営を決める
株主 :会社の基本的・重要なことを多数決で決める。
※他の形態では、所有と経営は同じ要素が強い。
⇒1人で運営している会社に関しては一致していることが多いが、
会社法上求められて(予定されて)いる特徴としては「分離すべき」。
∵構成員が多くなると意思決定ができなくなってくるので、
経営を誰かに任せたほうが良い、ということなる。
とはいえ、会社は株主のものなので、大事な意思決定は株主が多数決で決める。

②株主の有限責任(⇔無限責任)

会社法104条(株主の責任)
「株主の責任は、その有する株式の引受価格を限度とする。」

⇧この定めがないと株主は困ってしまう。
構成員が多くなるほど、彼らが把握しないことも会社はやり始める。
そうなると責任が負いきれない。
また、株主は細かい意思決定をせず経営にも携わっていないため、
とれる責任もこれが限界。

例えば、賠償義務は会社が負う。
うっかりその会社の株を持っていた場合に、株がただの紙切れになるだけでなく、
それ以上の責任を負わされるとなると酷である…。
※だからリスクは限定される!

③株式の譲渡性細は次回以降)
株主は基本、いつでも株主を辞めることができ、誰に譲渡しても良い。
しかし、会社に株を買い取ってもらうことは基本的にはできない。
(例外:総会決議を経ての自己株取得、しかし要件は厳しい

そのため、ほかの人に株を譲渡して、現金化する。
∵会社債権者の保護、会社資金が配当で出ていってしまうと
お金が回収できなくなる可能性があるから。

なお、会社としては見知らぬ人が株主になることを防止するために
譲渡制限をかけることができる。

④機関の分化(詳細は次回以降)
代表取締役、取締役(取締役会)、監査役(監査役会)、会計監査人など・・・
「会社」の立場で行為をする人を定めることが出来る。

⇒会社自体に意思はなく、機関が動かしている。
そのため独任制にしてしまうと、ステークホルダーの利益を害する可能性がある。
相互に牽制しあって会社を運営しよう、ということで様々な機関を定めている。
※これも株主が多く、所有と経営の分離から生じる点!

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【定款とは】
会社の組織と活動に関する根本規則のこと。要は会社の基本ルール。
会社設立の際に必ず必要になる。(⇦これ自体が法律で定められている)
⇒定款の目的の範囲内でしか(基本的に)会社は権利能力をもっていないから。要するに、できる行為が書いてある!(判例上ほとんど無視されているが…)

定款は、公証人に認証してもらう必要がある。
→内容を確認し、言った・言わないを避けるため。
「私の署名した定款はこれではない」というトラブルを避ける。
※公証人=「ある事実の存在、もしくは契約等の法律行為の適法性等について、公権力を根拠に証明・認証する者のことである。」(Wikipediaより)
裁判官や検事が退任後に就き、公証人が認めた文書は法律上“あっている”とする。
ただし、設立以降は株主総会の特別決議で変更可能。
(議事録は残す必要あり)

また、会社法は
定款に記載しなくてはならない絶対的記載事項を定めている(後述)。

※定款では
機関・本店を置く場所はどこか、
会社の目的は何か、
取締役・監査役・会計監査人を付けるか、
株式は自由に譲渡できるか、
決算期はいつか(3月末や12月末でなくても良い)、などなどを定める。

※上場会社の定款は、東京証券取引所ウェブサイトで閲覧することができる。

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【株式会社の設立手続き】

発起設立
発起人が会社成立時に発行される株式の全部を引き受ける方法。
(会社法25条1項1号)
募集設立
発起人は会社成立時に発行される株式の一部のみを引き受け、
残りの株式は発起人以外の引受人を募集する方法。
(会社法25条1項2号)

実務上、使われるのは殆ど発起設立
募集設立の利用数は極めて少ない。(ほとんどゼロ)

「募集設立に対する利用のニーズが減少している」
会社法制の現代化に関する要綱試案補足説明(平成15年10月)より)

会社の株式を募集する方法で、詐欺に利用されてしまうこともある。
⇧こうした方法は、金融商品取引法などで厳しく規制されている。
だから、手続きが大変で利用も少ない。

*利用が少ないとはいえ、募集設立の手続きも簡単に説明したい。

発起設立に比べ、募集設立はより厳格な手続きとなる。
∵募集設立の場合には、
発起人以外の株式の引受人には、会社の内部事情がみえにくい。
⇒投資公衆の保護の必要性

⇩具体的には・・・

  • 出資の払込みについて、
    払込取扱機関が払込金の保管証明の義務を負っている(会社法64条)。
  • 創立総会を開催する必要がある。

上記の点などにおいて、発起設立とは手続が異なっている。

———

【発起設立の手続①】

概観:会社として成立するために必要なこと

1. 出資比率、役職の分配、会社の運営方針等についての交渉
(設立時株主が複数いる場合)
⇒会社の根本ルールを定めるため、発起人同士で行う
2. 定款の作成
3. 株式発行事項の決定と株式の引き受け
⇒一株いくら、を決める
4. 出資の履行
⇒決定した株価の金額を振り込んでもらう
5. 設立時役員等の選任
6. 設立登記

なぜ会社設立には登記が要求され、細かな手続きが必要となるのか?

そもそも、権利の帰属主体になるための要件が厳しいから。
「法人」として権利義務の帰属主体となっているかどうかは、非常に重要なこと。
∵その会社にしか責任がいかない(=権利義務が帰属しない)から。

例えば…

会社だと思って取引をしていたら、実態がなかった。
⇒非常に困る!だから登記をする必要がある。
登記をしていれば誰でも閲覧可能なので、会社の実在を確認できる。
(※実在することが分かるだけ。財産がどれ位あるのかは不明なのが現実…)

※ただし、所定の手続きを経れば誰でも設立できるのが株式会社。
これを準則主義という。

準則主義=法人の設立にあたり、法律などにのっとり、それを根拠としたり準じているならば行政機関が採る主義として法人格を付与する原則的な方針。 行政機関の裁量や判断として法人格を許可するのではなく、該当する法律などの要件を満たしておれば法人の設立を拒む理由がなく法人格が付与される事を言う。
(Wikipediaより)

(免許主義ではないため会社の内容が審査されることはない。
ただし、明らかに公序良俗に反するものは難しい…?)

———

【発起設立の手続② :定款の作成】

絶対的記載事項
決めないと会社が設立できない事項
(目的、商号、本店所在地、出資額、発起人の名称)⇨人が生まれる時と同じ
相対的記載事項
決めなくても良いが、決めた場合には定款に記載しないと効力が生じない事項
(現物出資、財産引受、発起人の報酬等、設立費用)

⇩発起設立における絶対的記載事項は・・・

1. 会社の目的(27条1号)
2. 商号(27条2号)
3. 本店の所在地(27条3号)
4. 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額(27条4号)
(資本金の額)
5. 発起人の氏名・名称および住所(27条5号)
6. 発行可能株式総数(37条)
会社法Visual Materials22~23頁参照)

⇧これがなければ会社とはいえない、という最低限のもの。

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【発起設立の手続③:株式発行事項の決定と株式の引き受け】
設立時発行株式:設立の際に発行される株式のこと。
株式の引き受け:出資を行って株主になることを指す。

設立発行株式に関する事項(株式発行事項)のうち、
重要な事項は定款に定められ、その他の事項は発起人の多数決で決定される。

発起設立の場合、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける。

⇩大切なのはステークホルダーとの利害関係の話

*資本金と資本準備金
会社債権者の保護のため、
一定の財産を配当として社外に流出させることが制限される(会社財産の確保)。
その時の計算の基準となるのが資本金である。
これを少なくする方が、配当は増やしやすい。
⇒資本金として示された金額を常に会社にプールしなければいけない訳ではなく、
基準として「いくらまで配当できるのか?」を決めているのが資本金。
なお、出資額のうち半額までは、資本準備金にすることができる。

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【発起設立の手続④:出資の履行】
発起人は株式の引受け後、遅滞なく、引き受けた設立時発行株式分の全額の払い込みをする(会社法34条1項)。

金銭の払い込みは、発起人が定めた払込取扱機関(銀行・信託銀行等の金融機関)の払込取扱場所において行う(会社法34条2項)。※要は振り込み。

出資の履行がなされない場合には・・・
⇒催促を経て、
最終的には失権(設立時発行株式の株主となる権利を喪失)する。

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【発起設立の手続⑤:出資の履行の方法】
株式の対価を現金で支払う以外に、現物出資という方法がある。
現物出資:金銭以外の財産による出資のこと。
(動産、不動産、債券、有価証券、知的財産権など)

現物出資は、定款への記載が要求される(会社法28条)ほか、
原則、裁判所の選任する検査役の調査を受けなければならない(会社法33条)。
∵金銭ではないため、目的物の価値評価が不当になる可能性がある。
(ものの価値なんて何時どうなるか分からない…)
他の出資者とのバランスや、会社債権者を害する恐れがある。

※基本的には裁判所に検査役(大体こういうのは弁護士がやる)
をしてもらって調査をしてもらう。かなり大変。

例外としては、33条10号、500万円以下、市場価格のある有価証券。
(それでも手続きが大変なので、あまり行われない。)

⇒その他の手続きの組み合わせでカバーする。

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【発起設立の手続き⑥:出資の履行後に行うこと】
〇設立時取締役の選任
⇒発起人は1株につき1議決権を持ち、
議決権の過半数によって、設立時取締役を決める。

〇設立登記
⇒株式会社は、その本店の所在地において
設立の登記をすることによって成立する(会社法49条)。
⇒登記時をもって、法人格を取得する。

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【まとめ】
“設立”とは、設立の登記時。

会社法49条(株式会社の成立)
「株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。」

 


今回はここまで。

会社の設立や能力も、
「人」に置き換えればなんとなく身近になります。
「法人」も生きていて、人格があって、法に律されているのですね。
この考え方で新たに気づく点もあるかもしれません。

次回のテーマは「株式」です。お楽しみに。

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