企業法・授業まとめ-第3回-

【株主になるための方法、株主の地位】
①会社に発行してもらう
(設立時出資(発起人)、増資引き受け)
②ほかの人から買う
(株式自体は無記名・無個性、誰でも使えるので他人から譲渡を受けてもOK)
⇒原則、株式譲渡は自由。無記名パスモを誰でも使えるのと同じ。
(名簿の存在はあるけれど、株式は無記名・無個性なので。)

株主は会社のオーナー(最終的には、会社の産み出した利益を享受できる)。
会社という存在を分割して株主としての地位として定める。

発行している株式数が10,000株なら、
3,000株持っている人は会社の30%を保有している。

※ただし、このあたりの割合を変える種類株、
というものも発行することが出来る。

もしくは、譲渡制限会社なら、株主ごとに違う取扱い。
持分会社(合同、合資、合名)であれば、さらにこの辺の調整は自由。

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【株主としての権利】
「株主」って、会社に対して何が出来て、会社から何をしてもらえる人のこと?
会社法の条文ではどこで規定されているか?

会社法105条(株主の権利)
「1. 株主は、その株主は、その有する株式につき次に掲げる権利その他この法律の規定により認められた権利を有する。
①剰余金の配当を受ける権利
②残余財産の分配を受ける権利
③株主総会における議決権
2. 株主に前項第一号及び第二号に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない。」

※会社法は以外と細かなところまでルールが定まっているので、
必ず「根拠条文」を見つけることができる。

剰余金の配当 :いわゆる「配当」を受けること。
残余財産の分配:会社を清算するときに残った財産の配分を受けること。
⇒ほとんど起こらない。
∵会社が潰れるときは債務超過の場合が多いので、株主にお金は返ってこない…

※会社の営利性の根拠条文でもある。
※なお、いずれも、債権者が優先されるのが原則(配当規制)。

———

【株主の権利(自益権、共益権)】
自益権:自ら経済的利益を受ける権利のこと(配当、残余財産の分配がメイン)
※なお、定款で決めてどちらかを付与しないことは可能。
ただし、両方を付与しないことはできない(105条)。
会社の本質が営利目的なので、両方を与えないなら
ほかの法人格形態を採用すべきである。
(会社法はある程度自由度の高い法律だが、
目的に沿わないことをやりたい場合にはほかの手段を選ぶべき。)

共益権:株主総会の議決権(会社の運営にかかわること)
※基本的に経営は取締役に任せるが、
会社のオーナーである以上、大事なことについては決める権利がある。

⇩具体的に

◎自益権:剰余金分配請求権(105条1項1号)
◎共益権:
・単独株主権:議決権(105項1項3号)、株主総会における議案提案権(304条)
・少数株主権:帳簿閲覧権(433条)⇛総株主の議決権の3%以上orまたは発行済株式総数の3%以上の保有が要件)

などなど、詳細は「新会社法ニューズレター 第22回 新会社法における株主の権利」参照。

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【株主のその他の権利】
「その他この法律の規定により認められた権利を有する」(105条)の
”その他”の権利は以下のとおり。

  • 単独株主権
    一人でも行使できる権利、自益権(配当、剰余金)、共益権のうち議決権
  • 少数株主権
    少数株主権というが、1-3%程度の持ち分は必要。
    会計帳簿の閲覧請求、役員の解任の訴えなど。
    (株主総会での議題提案権、議案通知請求権、「役員にこの人を選任してくれ」、「配当を増やせ」とかの提案を株主総会でする場合には保有比率のほか、300個以上でも良い。)
    ⇒議決権の過半数を有する「多数派」に対しての権利。
    「少数」といっても一定以上の持分が要求される。
    ⇛誰でもできたら困るので、「少数株主」に限定。なお、株主総会への議案の提出は取締役が行う。※実際に株主から会社に対して、変な株主提案がされた実例も…
    ⇒株主としての権利を持っている以上、よほどのことがない限り、会社側は真摯に対応しなければならない。という原則がある。たとえおかしな内容の提案でも、ちゃんと招集通知に載り、全株主に提案が送られ、株主総会で決議がされる。
会社法30312項(株主提案権)実務上、利用されることも多い。
「1. 株主は、取締役に対し、一定の事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次項において同じ。)を株主総会の目的とすることを請求することができる。
2. 前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、総株主の議決権の100分の1以上の議決権又は300個以上の議決権を6箇月前から引き続き有する株主に限り、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。
※「300個」:上場会社では100株・1000株などをまとめて「1個」と呼び、
それを単元株と呼ぶ。

⇒一定以上の株を持っていれば、株主総会で議案を提出できる。
これが、少数株主権で最も使われるといっても良いくらい使われる権利

会社法1881項(単元株式数)
「株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨を定款で定めることができる。」

※単元株を定めることの意味、上場会社では基本的に単元株を採用。

規則としては、有価証券上場規程に定めがある→「単元株式数が、上場の時に100株となる見込みのあること(国内の他の金融商品取引所に上場されている内国株券及び日本証券業協会が指定するグリーンシート銘柄であって、単元株式数が1000株である場合を除く。)。」

そのほか、株主の単独の権利として「株式買取請求権」などがある。

株式は譲渡自由が原則なので、
基本的には、会社に買い取ってもらうことはできない。

ただし、会社の方針が大きく変わりそうなとき(かつ変更後の方針に反対)には、
会社に株式を買い取ってもらうことができる。

※ただし、上場会社の株式以外
株式の算定方法は法律上明記されていない(他のケースでも)。
→しばしば価格の設定(株主は高く買い取ってほしい、会社は安く買いたい)で
もめて裁判になることも。

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