企業法・授業まとめ-第6回-

授業ブログ、第6回目です。

今回のテーマは「コーポレートガバナンス」。
耳にしたことがあるであろうこの言葉、意味をきちんと理解していますか?
…と、検索してみたアナタ。けっこうザックリした答えばかりで、なんとなく実体がつかめない感じがしませんか?

そんな疑問を解消するべく、さっそく学んでいきましょう!

<記事内の色分けについて>
●オレンジ
講義中、学生の方々に言葉の意味・意義に関する質問を投げかけています。
視野を広げてくれる回答も多いかと思いますので、ぜひご参照ください。
●ブルー
講義の本軸に加え、ポイントや補足として平山がお話した内容になります。
多少口語的ですが、“授業”の臨場感を味わっていただければと思います。


 

【前回の授業のおおまかな復習、と今回の授業に向けて】

1.「取締役」(役員)の責任
取締役は「忠実義務」「善管注意義務」を負う。
この一般的な義務規定のほかにも、競業取引・利益相反については承認が必要、役員報酬も原則自分では決められない。

2.義務違反を負う相手
上記義務違反を負う相手は最終的には株主、ただし直接的な委任関係があるのは会社(会社が損害賠償請求をしないと、株主が代わりに訴えることができる。)。
その他、(委任契約関係ではないが)第三者に対しても責任を負うことがある(「不法行為」責任⇔契約責任)。

必須機関:会社法上かならず要るもの。”置かなければいけない”機関であるのは、株主総会取締役(取締役は1名いればOK)。
この他については任意。

Q. それぞれの機関は誰を監督するのだろうか?

 

 

【取締役・取締役会の職務】
実際の行為や業務執行を監督するのは誰にあたるのか、が定められている条文が以下のとおり⇩

会社法3622項(取締役会の権限等)取締役会設置会社
「取締役会は、次に掲げる職務を行う。
① 取締役会設置会社の業務執行の決定
② 取締役の職務の執行の監督
③ 代表取締役の選定及び解職」

→取締役の職務の執行を監督するのは、取締役会。
取締役を設置していない会社については、単に「業務執行の決定」。

会社法3481項、2項(業務の執行)取締役会を設置していない会社
「1 取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
2  取締役が2人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。」
会社法3491項、2項、3項(株式会社の代表)取締役会を設置していない会社
「1 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2 前項本文の取締役が二人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。
3 株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選
又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。

↑「取締役」の権限としての監督権は出てこない。「取締役会」の監督。

 

 

監査役・監査役会の職務

会社法3811項(監査役の権限)
「監査役は、取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与)の職務の執行を監査する。この場合において、監査役は、法務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない。」
会社法390条(監査役会の権限等)
「1  監査役会は、すべての監査役で組織する。
2 監査役会は、次に掲げる職務を行う。ただし、第3号の決定は、監査役の権限の行使を妨げることはできない。
① 監査報告の作成
② 常勤の監査役の選定及び解職
③ 監査の方針、監査役会設置会社の業務及び財産の状況の調査の方法その他の監査役の職務の執行に関する事項の決定
3 監査役会は、監査役の中から常勤の監査役を選定しなければならない。
4 監査役は、監査役会の求めがあるときは、いつでもその職務の執行の状況を監査役会に報告しなければならない。」

↑「監査会」の権限として監査権は出てこない。「監査役」の監査。

※取締役・取締役会の条文との違い。
監査役会が決めるのは、監査の方針のみ
具体的な職務の執行を監査するのは、監査役個人。(これを裏付けるように、390条2項に但し書きあり。)

 

 

会計監査人の職務
会社法上、典型的な会社だと、大きく3つの機関による監査がおこなわれており、最後の一つがこの「会計監査人」。

会社法3961項(会計監査人の権限等)
会計監査人は、次章の定めるところにより、株式会社の計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに連結計算書類を監査する。この場合において、会計監査人は、法務省令で定めるところにより、会計監査報告を作成しなければならない。」

※これは会社法監査と呼ばれるもの。別途、上場会社には金融商品取引法監査がある。

 

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