企業法・授業まとめ-第9回-

 

また、知的財産権についてさらに注目したい。

最近それ程ニュースにはならないが
アップルやサムスンが一時期非常にもめていたり…
切り餅についてサトウと越後製菓がもめていたり…
知的財産権に関する紛争はニュースになりやすい。
(十何万件と裁判がある中、その件数は100~200件程であるのに!)

日米中の知財訴訟件数の推移

その少なさに比べ、アメリカでは5000件、中国では1万件近くある。
では、なぜニュースになりやすいのか。それは金額がそこそこ膨らむから。
海外だと1千億円、日本でも10億円をこえるケースがあったり。

特許権侵害訴訟における損害賠償の日米比較

米国
2005年~2011年
原告 被告 特許技術 評決額
1 セントコア アボット バイオ 1338億円
2 ルーセント マイクロソフト 情報 1200億円
3 ミラー・ワールド アップル 情報 500億円
4 サフラン ボストン・サイエンス バイオ 345億円
5 ユニロック マイクロソフト 情報 310億円
日本
2004年~2013年(地裁)
事件番号 判決日 特許技術 判決額
1 平成17年(ワ)第26473号 H22.2.22 スポーツ用品 17億8620万円
2 平成19年(ワ)第2076号 H22.1.28 測定器 14億9847万円
3 平成14年(ワ)第6178号 H16.5.27 医薬 11億9689万円
4 平成19年(ワ)第507号 H22.11.18 化学 11億9185万円
5 平成19年(ワ)第3494号 H21.8.28 医薬 9億2600万円

参考記事:
ゴルフボールの特許訴訟、ブリヂストン側勝訴 東京地裁
(2010/2/26 日本経済新聞 電子版)
→1位の「スポーツ用品」はこの件。ブリヂストンは約56憶7千万円の支払いを求めたが、認められたのは約17憶8千万円。

『手ぶれ補正』特許侵害でシグマに15億円賠償命令 東京地裁
(2014/4/14 日本経済新聞 電子版)

特許に関する事件もニュースになりやすいが、総数のうちでは0.00何パーセントの世界でおこなわれている。
こういった事件の場合、必ず事前に当事者間で交渉がおこなわれ、
「特許侵害されてるんだけど、使い続けるならお金はらって」or「使わないで」
「いやいや、こんなの誰でも思いつくから特許じゃないよ」
などともめる。
言い出した側も泣き寝入りすれば商品が売れなくなるので、
「仕方ない、訴えよう」となる。

終結区分別、事件の種類別の民事訴訟既済事件数(平成25年)

訴えた後、どのように解決するかというと多くが和解
(日本の文化なのか、はたまた海外も同様なのか…)
容認・棄却・和解とあるが、建築に関する訴えというのは殆どが容認。
全体的に見ても、棄却より認められることのほうが多い!

また、棄却が多いのは医療行為・知的財産権・公害の3つ。

知的財産権については、既に挙げた例のように判断が難しいところがある。
それ故にどちらに転ぶか分からないことも多く、大体が半々で終わってる。

一方、医療行為及び公害に関する訴えでの棄却は、殆どが「泣き寝入りしたくない」など、納得できない気持ちで裁判することが多く、客観的には負けることが分かっていても裁判をおこなう。そのため、病院側が勝訴する案件が非常に多い。和解にしても、ほぼ病院側勝訴の事案だった場合に「亡くなった人がいて申し訳ないから」と病院側から支払いのある内容なのであれば、ほぼ病院側の勝訴と考える。

以上のように「納得できなくて訴える」ところで棄却率は高いが、これ以外は基本的に金銭に関する争いなので、勝てる見込みがなければ訴えず、その数が多いゆえに認容判決が多くなる。

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