企業法・授業まとめ-第9回-

 

手紙の持つ意味、内容証明の送付

ひとつは「プレッシャー」。
突然督促状等が届けば、心理的プレッシャーはかなり大きい。

もうひとつは「証拠」。
後々言った・言わないが生じるので、それを防ぐため。
→電話(口頭)だと「そんなの聞いてない」という話がどうしても生じてしまう。

ここで問題になるのが、偽造の可能性。(偽造の容易さ、そもそも動機があるか)
消印はあくまでも日付の立証のみであり、
内容については書いてなかったことにも、書き加えることも可能かも…?
封書の場合には、その中身を入れ替えることもできてしまう…?

⇒そこで使われるのが「内容証明」という制度。
「この時、この内容で手紙を出した」ことを郵便局が保証してくれる。
偽造は困難で、また郵便局が偽造する動機もない。
(私人がやっても私文書偽造等で処罰されるので、基本的に動機はないはず)

【内容証明】一般書留郵便物の内容文書について証明するサービスです。

内容証明とは
いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度です。
当社が証明するものは内容文書の存在であり、文書の内容が真実であるかどうかを証明するものではありません。
内容文書とは、受取人へ送達する文書をいいます。
謄本とは、内容文書を謄写した書面をいい、差出人及び差出郵便局において保管するものです。
また、電子内容証明サービス(e内容証明)では、インターネットで24時間受付を行っています。(郵便局HPより)

※当たり前のことだけど大切。書いてあるだけで、真実かどうかは別。

また、法律上もそのことが担保されている。

郵便法 第3章 郵便認証司 58条(職務)
「郵便認証司は、次に掲げる事務(以下この章において「認証事務」という。)を行うことを職務とする。
1 内容証明の取扱いに係る認証(総務省令で定めるところにより、当該取扱いをする郵便物の内容である文書の内容を証明するために必要な手続が適正に行われたことを確認し、当該郵便物の内容である文書に当該郵便物が差し出された年月日を記載することをいう。)をすること。
2 特別送達の取扱いに係る認証(総務省令で定めるところにより、当該取扱いをする郵便物が民事訴訟法第103条から第106条までに掲げる方法により適正に送達されたこと及びその送達に関する事項が同法第109条の書面に適正に記載されていることを確認し、その旨を当該書面に記載し、これに署名し、又は記名押印することをいう。)をすること。」
郵便法59条(任命)
「1 郵便認証司は、認証事務に関し必要な知識及び能力を有する者のうちから、総務大臣が任命する。
2 前項の任命は、会社の使用人のうちから、会社の推薦に基づいて行うものとする。」

⇒郵政民営化で郵便局の職員が「会社員」となったため規定。

【参考:確定日付】
民法施行法第4
「証書ハ確定日附アルニ非サレハ第三者ニ対シ其作成ノ日ニ付キ完全ナル証拠力ヲ有セス」民法施行法第5
「証書ハ左ノ場合ニ限リ確定日付アルモノトス
1 公正証書ナルトキハ其日付ヲ以テ確定日付トス
2 登記所又ハ公証人役場ニ於テ私署証書ニ日付アル印章ヲ押捺シタルトキハ其印章ノ日付ヲ以テ確定日付トス
3 私署証書ノ署名者中ニ死亡シタル者アルトキハ其死亡ノ日ヨリ確定日付アルモノトス
4 確定日付アル証書中ニ私署証書ヲ引用シタルトキハ其証書ノ日付ヲ以テ引用シタル私署証書ノ確定日付トス民法第466条(債権の譲渡性)
「1 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。」

⇒後で「言った・言わない」になりそうなケースであれば、
内容証明で送っておくのが良い。

 

 

書面での通知の次に取るべき手段

まずは交渉。(手紙を送ることも交渉のひとつ)

しかし、交渉でもダメな場合には強硬策に出るしかない。
書面の最後に付けることの多いフレーズ。

法的手段を講じることをご承知おきください。

次に進むステップは裁判
しかし、いざ裁判をすることになっても非常に時間がかかる。
裁判に数カ月を費やしているうち、訴えられた側が
「なんだか負けてしまいそう…」と思うと起こる可能性があるのが財産隠し。
それでは困るので、訴える側は「仮に差し押さえる」ということをする。

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