企業法・授業まとめ-第10回-

授業ブログ第10回目です。

前回は企業の金銭的トラブル「債権の管理・回収」についてお伝えしましたが、
今回はそれ以外の企業におけるトラブルについてです。

お金関係以外、どのような問題が考えられるでしょうか・・・

前回の復習&今回に向けて

人が生きていて、約束事を交わすと基本は「契約」になる。
(もちろん契約にまで発展しない約束事もあるが)
「モノを売ります・買います」で合意すれば売買契約、
「●●円でこれを貸します・借ります」で合意すれば賃貸借契約が成立する。

「約束」を守らない人もいる(契約違反)。
ではどうしたら良いかというと、交渉したり手紙を送ったりすることから始まる。
この「手紙」は「内容証明」で送る。

1.内容証明
「いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、
差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度」(郵便局HPより)

⇒証明されるのは、”その内容の文書が送付された事実”までで、
差出人が書いている”文章の内容が事実であること”までは証明されない。
※その内容自体は裁判などで立証される。

2.仮差押え
「差押え」は裁判に勝ったあとにするものだが、訴え提起前に債務者の財産を”仮に”差し押さえることもできる。財産を隠されると困るので債務者の意見を基本聞かずにおこなわれる。
しかし、財産の把握・特定が難しい(※裁判に勝った後の「差押え」でも同様)。

⇒負けてしまった場合に備えて、ある程度「供託金」(いわば保証金のようなもの)を積んで仮差押えをすることになる。だからコストもかかる

しかし、債務者の財産がどこにあるのかを具体的に特定するのは非常に難しい。
色々裁判を経験してもそれは変わらない。(国と違って一私人なので…)
調査のための制度(弁護士会照会など)を前回いくつか紹介したが、
「お金を回収する」のは、とてもハードルが高い。

3.支払督促
通常の裁判よりは簡易な手続き。
「債権者の申立てにより、その主張から請求に理由があると認められる場合に、支払督促を発する手続であり、債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ、裁判所は、 債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言を付さなければならず、債権者はこれに基づいて強制執行の申立てをすることができます」(裁判所HPより)

⇒裁判所から通知が届いても、債務者から反論が出なければ
判決と同じ内容(または効力のある)書類ががもらえる。
「異議申立」、つまり督促に文句を言うと、実際の裁判に移行するという制度。

以上のように、「お金を回収する」のはとても難しい手続き。
契約の段階から、
・受注者は前払いでお金を受け取る
・発注側は支払い後の損害賠償が難しいことを念頭に
(「払わない」大切さ)
など、リスクヘッジをとることが大切。

以上までが前回の復習。

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