企業法・授業まとめ-第10回-

パロマガス湯沸器

次にあげる事例は、パロマガス湯沸器の事件。

プロパンガスでお湯を沸かす機械で、
回線の不正改造により、ちょっとしたことで安全装置が作動しないようにしたところ、最終的に人が亡くなってしまったという事件。

この時、湯沸器に疑いの目が向けられ、
被害者の両親による「どうにか誰かを訴えたい」という意思から
①メーカー(パロマ)
②プロパンガスの供給会社
③設置業者
④賃貸人
の大きく分けて4者を訴えた事件。

札幌地方裁判所平成10年7月28日判決
〔判示事項〕
「ガス湯沸器を原因とする一酸化炭素中毒事故につきガス器具の点検業者の責任が肯定され、ガス器具の販売業者、設置業者、賃貸人の責任が否定された事例」
〔判決文〕
「1 被告パロマの責任
(一)原告らは、本件湯沸器には、はんだ割れにより強制排気装置が作動しない瑕疵と追加配線を施して安全装置が機能することなく点火燃焼する瑕疵があった旨主張する。
しかし、原告主張の瑕疵を認めることはできない。その理由は、次のとおりである。
(1)本件湯沸器で使用されたはんだが通常のガス器具で使用されるはんだより耐久性に劣っていたとか、湯沸器では通常より耐久性の勝るはんだを使用することが可能でありそうすべきであったとかの事情を認めるに足りる証拠はないし、もともと、本件湯沸器は、強制排気装置が作動しなければ排気あふれ防止装置によって燃焼が停止される仕組みになっていたから、本件湯沸器のはんだつけ部分にはんだ割れが生じたことをもって、本件湯沸器の販売時の瑕疵である、と認めることはできない。
(2)また、追加配線により安全装置が作動することなく点火燃焼するようになった点については、販売当時に追加配線が施されたものではないし、販売当時に右のような追加配線が施工されることが予想できた、とも認められないから、追加配線がされたことをもって、本件湯沸器の販売当時の瑕疵である、と認めることはできない
(二)とすれば、被告パロマが原告主張のような内容の瑕疵のある欠陥商品を販売提供したことを前提にする被告パロマの賠償責任は肯定できない。また、右のような危険な追加配線をする修理が実施されることをあらかじめ予測できた、との事情を認めるに足りる証拠もないから、本件のような追加配線の危険やその実施を禁止する説明をする義務が生じていた、と認めることもできない。商品の欠陥を原因とする事故が生じた場合にその情報を提供する義務についても、本件事故の発生を阻止できる時期に本件のような事故が発生するおそれのあることを知らせる情報が提供できた、と認めるに足りる証拠はない。
(三)したがって、原告の被告パロマに対する請求は理由がない。」
「2 被告ほくねんの責任
(一)前記認定の事実によれば、被告ほくねんは、プロパンガスの供給業者であり、器具の点検修理を業としていた者であって、本件湯沸器についても、被告南出の依頼に基づき、2年毎の定期点検を行うほか、平成4年2月27日にも、哲夫が本件居宅を賃借にするに際し、定期点検を行っている(この時点で、すでに本件改造がなされていた、と推認できる)から、本件湯沸器の使用者のために本件湯沸器の安全性を確認点検する注意義務があったにもかかわらず、本件湯沸器のコントロールボックスの端子台に追加配線がされていることや、コントロールボックスの制御基盤のはんだつけ部分にはんだ割れが生じている、ないし生じるおそれがあることを発見できなかった過失により、本件事故を生じさせた、と認めるのが相当である。
(二)被告ほくねんは、右過失がなかった旨争うが、被告ほくねんの主張は、以下のとおり、採用できない。
(1)被告ほくねんは、液石法36条により液化石油ガスの販売業者の調査義務が法定されており、右法律に基づく規則、規則遵守マニュアルにより目視の注意義務しか負わない旨主張する。
しかし、液石法等に定める義務が目視義務のみを定めているか否か自体問題であるし、仮に液石法等の規定が目視義務のみを定めているとしても、賃貸人からガス器具の点検を依頼されたプロパンガス販売業者の使用者に対する民事上の賠償責任を取締規定の目視義務に限定する理由はない(まして、プロパンガス業界の協会が定めたマニュアルに不法行為責任を限定する法的効力はない)。
(2)被告ほくねんは、本件改造について、湯沸器の構造に専門的知識を有するものでなければ、その原因を発見することは不可能であった旨主張する。しかし、追加配線を施した本件改造は、本件湯沸器の正面カバーを取り外せば発見できるし(甲第15号証参照)、被告ほくねんがプロパンガス器具の修理業者であり、安全性についての専門的知識を有することが期待されることを考慮すれば、本件改造を発見し、その危険性を認識することは可能であった、と認めるべきである。
(3)被告ほくねんは、本件湯沸器の欠陥は被告パロマの責任である旨主張する。仮に、本件改造を行わなければならない原因が本件湯沸器の欠陥にあり、被告パロマが賠償責任を負う関係にある、としても、前記(一)で認定した、平成4年2月27日の点検において本件改造を発見確認できなかった被告ほくねんの過失を否定することはできない(被告ほくねんの右主張は、哲夫に対する関係で損害賠償義務を免れる事情ではなく、哲夫に対する損害賠償義務を最終的に被告ほくねんと被告パロマとの間でどちらがどれだけ負担するかで問題になるに過ぎない)。
(三)したがって、被告ほくねんは、本件事故により生じた損害を賠償する責任がある。 」
「3 被告ホクエイらの責任
(一)被告ホクエイテクノは、本件湯沸器を設置したものであるが、設置当時に本件湯沸器に瑕疵があった、との事実は認められないし、その後、被告ホクエイテクノが本件改造に関与した、あるいは本件改造を発見できた、との事実を認めるに足りる証拠はない。
(二)被告ホクエイ・マイリーが本件湯沸器の設置や修理点検に関係した、との事実は認められない。
(三)したがって、原告の被告ホクエイらに対する請求は理由がない。
4 被告南出の責任
(一)被告南出は、本件居宅を哲夫に賃貸しているから、哲夫に対して賃貸した本件居宅での安全を確保する義務(安全配慮義務)を負うことは肯定できる(被告南出も賃貸人が一般的に右義務を負っていることは認める)。しかし、被告南出は、ガス設備に関する専門家ではなく、賃貸人自らがガス器具を整備点検することを期待することはできないから、点検を依頼した専門業者の点検に疑問があることが認識できるような特段の事情がある場合を除いて、ガス設備に関する安全性の確保については、ガス設備に関する専門業者に依頼することで右説示の安全を確保する義務は履行された(必要な点検が施行されている限り、ガス器具が老朽化していることのみをもって直ちに買換え義務が発生する、と解することはできない)、と解するのが相当である。
(二)被告南出は、前記認定のとおり、専門業者の被告ほくねんに対し、本件居宅のガス設備について、2年に一度の定期点検を依頼するほか、賃借人が交替するたびに点検を依頼しており、本件居宅を哲夫に賃貸するに際しても、平成4年2月27日に本件湯沸器を含めたガス設備に関する点検を被告ほくねんに依頼しているから、被告ほくねんの点検が不十分であることが認識できた等の特段の事情を認めるに足りる証拠のない本件において、被告南出は、賃貸人として求められる安全確認義務を履行しており、過失はない、と認めるのが相当である。
(三)本件湯沸器は、土地の工作と認めることができないし、哲夫が占有していた、と認められるから、被告南出は、民法717条の責任を負わない。
(四)したがって、原告の被告南出に対する請求も理由がない。」

※高裁での判決はこちらから

実際、本件では誰が悪いのか?
どうしてもケースバイケースなので、一義的には決まらない。
(誰が・どこで・何をしていたか、で責任は分かれる。)

この判決では②一者のみ責任が肯定され、あとは否定されている。

⇩なぜか?

問題になったのは「勝手にはんだを付け替えて改造されている」という点。

①販売後に改造がされているため、販売時点で予測できなかったことから、責任は認められない、とされた。

②2年ごとに定期点検をおこなっており、はんだごての改造は見ているはず。それにも関わず放置していた、ということで責任が認められた

③本件改造に全く関与していないということで、責任は否定された。

④一番責任がなさそうに見えるが、一応検討され、結果責任は問われず。
(設置については業者に委託しており、安全確保の義務は履行された。)

第一審(札幌地裁)では以上のとおり、パロマの責任は認められなかった。
しかし、その後も同湯沸器で人が亡くなるケースが続き、ようやく事件が表面化。
それにより、東京地裁にて刑事事件となり、民事とは逆の結論に。
(民事より刑事のほうが責任が重い、というのはあるようでないようで…)

東京地方裁判所平成22年5月11日判決>(刑事)
〔判示事項〕
「強制排気式ガス湯沸器が不正改造が原因で不完全燃焼を起こし、居住者他1名が 一酸化炭素中毒により死傷した事故について、同湯沸器を製造・販売した会社の代表取締役社長及び品質管理部長に、点検・回収等の措置を講じなかった過失があるとされて、業務上過失致死傷罪の成立が認められた事例
〔判決文〕
「1 被告人A1は、昭和56年3月11日から平成19年1月31日までの間、名古屋市(以下略)に本店を置き、ガス器具並びに各種機械器具の製造等を目的とするパロマ工業株式会社(以下「パロマ工業」という。)の代表取締役社長、及び同所に本店を置き、ガス器具並びに各種機械器具の販売等を目的とし、パロマ工業と実質的に一体の会社である株式会社パロマ(以下 「パロマ」という。パロマ工業とパロマを合わせて「パロマ両社」という。)の代表取締役社長又は会長として、パロマ工業が製造し、パロマが販売する製品の安全確保を含めたパロマ両社の業務を統括していた。
被告人B1は、平成2年4月1日から平成14年8月31日までの間及び平成17年4月1日から平成19年5月31日までの間、パロマ工業の取締役品質管理部長等として、同社製品の品質管理、品質保証活動の推進及び顧客クレームの調査に関する事項を統括し、同社製品による死亡及び負傷事故の調査・対策等の業務に従事していた。
2 東京都港区(以下略)所在の○○パレスの1階には、パロマ工業が製造し、パロマが販売した強制排気式ガス湯沸器PH-81F(以下「本件湯沸器」という。)が設置されていた。本件湯沸器は、内蔵するコントロールボックスの機能により、電気を使用して、排気ファンが回転し、強制排気装置が作動する場合にのみ点火・燃焼する構造になっていた。
ところが、パロマとの間でパロマ工業製品の修理等の代行店契約を締結し、「パロマW1サービスショップ」の名称を用いて同修理等を行っていた株式会社W1の社員であるZ1(以下「Z1」という。)は、平成7年12月30日、当時の使用者の依頼により本件湯沸器の修理を行うに際し、以下の改造を行った。すなわち、Z1が修理に訪れた際、本件湯沸器のコントロールボックスは、その回路基板にハンダ割れが生じて故障しており、本件湯沸器は点火・燃焼しない状態であったが、Z1は、コントロールボックスを交換しないでも点火・燃焼するように、本件湯沸器のコントロールボックスの端子台の端子につながる配線を端子台の上でつなぎかえる改造を行った。その結果、本件湯沸器は、電源が入っていないために強制排気装置が作動しないときでも点火・燃焼する状態となり、そのようにして使用された場合には不完全燃焼となり、多量の一酸化炭素が排出されて室内に滞留し、使用者らがこれを吸引して一酸化炭素中毒により死傷するという危険が生じていた。」
「3 ところで、パロマ工業は、本件湯沸器と同じ構造であるPH-F型湯沸器を、都市ガス事業者の委託を受けて同じ構造で製造したいわゆるOEM製品を含めて7機種(以下「7機種」という。)製造しており、それらは昭和55年以降、多数販売され、使用されていた。これら7機種は、コントロールボックスが故障したままでも点火・燃焼できるように配線を改造すること(以下「短絡」という。)が可能であり、ことに、本件湯沸器に行われたようにコントロールボックスにつながる配線を端子台において短絡させる方法は、その方法を知ってしまえば、作業自体は簡単なものであった。そして、7機種においては、内部の回路基板のハンダ割れなどによるコントロールボックスの故障のために点火不良がしばしば発生することから、作業の容易さも相まって、パロマと上記代行店契約を締結していた修理業者(以下「パロマサービスショップ」という。)を含む修理業者が、その修理に際して短絡を行っていた
こうして短絡がなされた7機種が電源を入れないまま使用されるなどした結果、昭和60年1月6日ころから平成13年1月4日ころまでの間、全国各地で、 LPガス及び都市ガス双方を含む13件(うち12件は端子台における短絡)の一酸化炭素中毒による死傷事故が発生し、 15名が死亡し14名が負傷していた。そして、平成13年1月5日ころには、これら13個の事故機以外にも、短絡された7機種が相当数存在し、又は7機種について新たな短絡が行われる可能性があり、かつ、使用者がそのような湯沸器を電源を入れないまま使用するなどして、強制排気装置を作動させずに点火・燃焼させた場合には、一酸化炭素中毒による死傷事故が発生する危険性が高い状況が存在していた
したがって、同様の死傷事故の再発を防止するためには、すべての7機種を対象として、後記6の①、②のような注意喚起の徹底及び点検・回収の措置がとられることが必要であった。
4 こうした状況において、①7機種は前記のように端子台において容易に短絡できる構造になっており、そのような性状が短絡を促し、短絡による危険の発生に一定の寄与をしていた。パロマ両社は、製造者及び販売者であったことから、上記13件の事故のうち12件について、事故の発生と原因に関する情報を入手し、集約していた。
④パロマ両社においては、パロマが販売した7機種に関する限り、そのすべてを対象として、マスメディア等を通じた注意喚起の徹底を行い、また、自ら又はパロマサービスショップが保管している修理記録やガス事業者からの情報等に基づいて、その設置場所を把握し、自ら又はパロマサービスショップをして点検・回収を行うことは可能であった。⑤他方、使用者等及び修理業者はもとより、前記○○パレスに都市ガスを供給していた東京瓦斯株式会社を含む各ガス事業者や経済産業省についても、事故情報の収集、集約が不十分であったこともあり、これらに広範な事故防止対策を委ねることができる状況ではなかった。」
「以上によれば、パロマ両社としては、パロマが販売したすべての7機種を対象として、短絡の危険性についての注意喚起を徹底し、把握可能な上記7機種を点検して、短絡されている機器を回収する措置を行うべきであり、パロマ両社において前記地位にあった被告人A1、及びパロマ工業において前記地位にあった被告人B1は、この措置をとるべき刑法上の注意義務を負う立場にあった。
5 被告人B1は、①平成13年1月5日ころまでに、前記4②の12件の事故の発生と概要を認識し、短絡事故であることについても11件について認識し、1件についても容易に認識することができた。そして、②短絡の仕組みとそれによる一酸化炭素中毒による死傷事故発生の危険性、及び端子台における短絡作業が容易であること、③過去の短絡事故においてコントロールボックスの故障やその故障をもたらすハンダ割れが生じており、コントロールボックスの故障に伴う修理の際に短絡が行われていること、④上記短絡事故機以外にも短絡されていた7機種があったこと、⑤コントロールボックスの故障は一定の割合で生じるものであることを、それぞれ認識していた。そうすると、被告人B1は、同日ころには、それ以降、本件事故までの間に、上記12個の事故機以外にも短絡された7機種が残存し、又は7機種について新たな短絡が行われる可能性があり、かつ、使用者がそのような湯沸器を電源を入れないまま使用した場合には一酸化炭素中毒による死傷事故が発生することを予見することが可能であった。
被告人A1は、①平成13年1月5日ころまでに、前記4②の12件のうち10件の事故の発生と概要を認識し、短絡事故であることについても9件について認識し1件についても容易に認識することができた。他の2件についても、その存在と短絡事故であることを容易に認識することができた。そして、②短絡の仕組みとその危険性、端子台における短絡作業の容易性、③短絡が行われる原因、④事故機以外の短絡事例について、被告人B1とほぼ同様の認識を有しており、⑤コントロールボックスの故障の頻度を示す情報は被告人B1から容易に入手することができた。そうすると、被告人A1も、同日ころには、被告人B1と同様の予見をすることが可能であった。
6 したがって、平成13年1月5日ころには、被告人A1においては、自らないしは被告人B1等のパロマ両社の関係部署の担当者らに指示するなどして、被告人B1においては、被告人A1に進言して指示を仰ぎつつ、自らないしはパロマ両社の関係部署の担当者らに指示するなどして、①マスメディアを利用した広報等により、パロマ工業が製造し、パロマが販売した7機種の使用者等に対し、上記7機種において短絡がなされている可能性があり、その場合、電源が入っていないときは強制排気装置が作動しないので、一酸化炭素中毒事故を起こす危険性があることなどについて注意喚起を徹底し、かつ、②パロマ両社において自ら、又はパロマサービスショップをして、物理的に把握することが可能であったすべての上記7機種を点検して短絡の有無を確認し、短絡がなされた機器を回収するという安全対策を講ずべき業務上の注意義務があった。」
「7 しかるに、被告人両名は、いずれもこの義務を怠り、これらの安全対策を講じずに、被告人A1においては平成17年11月27日まで、被告人B1においては同日までのうちパロマ工業の取締役品質管理部長等に在職していた期間中、漫然、これを放置し続けたそれぞれの過失の競合により、同日、前記○○パレス1階において、同所に居住していたA2(当時18歳)を訪れた実兄のB2(当時25歳)が本件湯沸器を使用し燃焼させた際、その電源が入っていなかったことから、本件湯沸器の強制排気装置が作動しない状態で多量の一酸化炭素が排出されて室内に滞留し、同日ころ、同所内において、これを吸引した上記A2を一酸化炭素中毒により死亡させ、同じくこれを吸引した上記B2に入院加療49日間を要する右下腿コンパートメント症候群・一酸化炭素中毒の傷害を負わせた。」
〔主文〕
「被告人A1を禁錮1年6月に、被告人B1を禁錮1年に処する。この裁判が確定した日から、被告人両名に対し、それぞれ3年間その刑の執行を猶予する。」

企業不祥事の初期対応や隠す・隠さないといった話は、非常にセンシティブ。

民事事件判決の冒頭を読むと
“勝手に改造されたからパロマは悪くない?”
というような記載があるが、そんな話は通じなくなる。

結果として実刑判決となった。関連法令は以下のとおり。

消費生活用製品安全法
(昭和49年施行、平成18年改正で重大製品事故についての報告義務が規定)
1条(目的)
「この法律は、消費生活用製品による一般消費者の生命又は身体に対する危害の防止を図るため、特定製品の製造及び販売を規制するとともに、特定保守製品の適切な保守を促進し、併せて製品事故に関する情報の収集及び提供等の措置を講じ、もつて一般消費者の利益を保護することを目的とする。」
35条1項(内閣総理大臣への報告等)
消費生活用製品の製造又は輸入の事業を行う者は、その製造又は輸入に係る消費生活用製品について重大製品事故が生じたことを知つたときは、当該消費生活用製品の名称及び型式、事故の内容並びに当該消費生活用製品を製造し、又は輸入した数量及び販売した数量を内閣総理大臣に報告しなければならない。」
36条(内閣総理大臣による公表)
「内閣総理大臣は、前条第1項の規定による報告を受けた場合その他重大製品事故が生じたことを知つた場合において、当該重大製品事故に係る消費生活用製品による一般消費者の生命又は身体に対する重大な危害の発生及び拡大を防止するため必要があると認めるときは、同条第4項の規定による通知をした場合を除き、当該重大製品事故に係る消費生活用製品の名称及び型式、事故の内容その他当該消費生活用製品の使用に伴う危険の回避に資する事項を公表するものとする。」
刑法211条1項前段(業務上過失致死傷)
「業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円いかの罰金に処する。重大な過失により人を死傷させたものも、同様とする。」
製造物責任法(PL法、平成7年施行)
1条(目的)
「この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」
2条(定義)
「1  この法律において「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。
2 この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう
3 この法律において「製造業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいう。
①  当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(以下単に「製造業者」という。)
②  自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名等の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者
③  前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者」
3条(製造物責任)
製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第3項第2号若しくは第3号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。」
4条(免責事由)
「前条の場合において、製造業者等は、次の各号に掲げる事項を証明したときは、同条に規定する賠償の責めに任じない
① 当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと
② 当該製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がないこと。」
5条(期間の制限)
「1 第3条に規定する損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から3年間行わないときは、時効によって消滅する。その製造業者等が当該製造物を引き渡した時から10年を経過したときも、同様とする。
2 前項後段の期間は、身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害又は一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害については、その損害が生じた時から起算する。」
6条(民法の適用)
「製造物の欠陥による製造業者等の損害賠償の責任については、この法律の規定によるほか、民法(明治29年法律第89号)の規定による。」

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