企業法・授業まとめ-第13回-

民事再生法、会社更生法、破産法

関連する法令は以下のとおり。

民事再生法1条(目的)
「この法律は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。」
会社更生法1条(目的)
「この法律は、窮境にある株式会社について、更生計画の策定及びその遂行に関する手続を定めること等により、債権者、株主その他の利害関係人の利害を適切に調整し、もって当該株式会社の事業の維持更生を図ることを目的とする」
破産法1条(目的)
「この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。」
破産法2条(定義)
「この法律において「破産手続」とは、次章以下(第12章を除く。)に定めるところにより、債務者の財産又は相続財産若しくは信託財産を清算する手続をいう。」
金融機関等の更生手続の特例等に関する法律
第1条(目的)
「この法律は、協同組織金融機関及び相互会社について、利害関係人の利害を調整しつつその事業の維持更生を図るため、その更生手続に関し必要な事項を定めるとともに、金融機関等の更生手続、再生手続及び破産手続について、監督庁による申立て及び預金保険機構等による預金者等のためにするこれらの手続に属する行為の代理等に関し必要な事項を定めること等により、預金者等の権利の実現を確保しつつ、これらの手続の円滑な進行を図ることを目的とする。」
第2条(定義)
「1 この法律において「銀行」とは、次に掲げる者(この法律の施行地外に本店を有するものを除く。)をいう。
① 銀行法 (昭和56年法律第59号)第2条第1項 に規定する銀行(以下「普通銀行」という。)
② 長期信用銀行法 (昭和27年法律第187号)第2条 に規定する長期信用銀行
2 この法律において「協同組織金融機関」とは、信用協同組合、信用金庫又は労働金庫をいう。
3 この法律において「金融機関」とは、銀行、協同組織金融機関又は株式会社商工組合中央金庫をいう。」
会社法481条(清算人の職務)
「清算人は、次に掲げる職務を行う。
① 現務の結了
② 債権の取立て及び債務の弁済
③ 残余財産の分配」
会社法510条(特別清算開始の原因)
「裁判所は、清算株式会社に次に掲げる事由があると認めるときは、第514条の規定に基づき、申立てにより、当該清算株式会社に対し特別清算の開始を命ずる。
① 清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があること。
② 債務超過(清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りない状態をいう。次条第2項において同じ。)の疑いがあること。」
会社法511条(特別清算開始の申立て)
「1 債権者、清算人、監査役又は株主は、特別清算開始の申立てをすることができる。
2  清算株式会社に債務超過の疑いがあるときは、清算人は、特別清算開始の申立てをしなければならない。」

⇩具体的な手続きは、裁判所によるガイドラインもぜひ参考にしたい。
「破産手続きに関するQ&A」(鳥取地方裁判所)

*ちなみに、個人で破産した場合
「持っている全財産をお金に換えて」各債権者に分配するため、その瞬間まで所有していた財産はすべてなくなってしまう。(目的は破綻した生活を立て直すことだが…)

 

破産管財人

破産法74条(破産管財人の選任)
「1 破産管財人は、裁判所が選任する。
2 法人は、破産管財人となることができる。」
破産法75条(破産管財人に対する監督等)
「1 破産管財人は、裁判所が監督する。
2 裁判所は、破産管財人が破産財団に属する財産の管理及び処分を適切に行っていないとき、その他重要な事由があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、破産管財人を解任することができる。この場合においては、その破産管財人を審尋しなければならない。」
破産法76条(数人の破産管財人の職務執行)
「1 破産管財人が数人あるときは、共同してその職務を行なう。ただし、裁判所の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行ない、又は職務を分掌することができる。
2 破産管財人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対しすれば足りる。」

免責(破産法)

破産法253条(免責許可の決定の効力等)
「免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
① 租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)
② 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
③ 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
④ 次に掲げる義務に係る請求権
イ 民法第752 の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
ロ 民法第760条 の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
ハ 民法第766条 (同法第749条 、第771条及び第788条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
ニ 民法第877条 から第880条 までの規定による扶養の義務
ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの
⑤ 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
⑥ 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)
⑦ 罰金等の請求権」

詐欺破産罪等

破産法265条(詐欺破産罪)
「1 破産手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、債務者(相続財産の破産にあっては相続財産、信託財産の破産にあっては信託財産。次項において同じ。)について破産手続開始の決定が確定したときは、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第4号に掲げる行為の相手方となった者も、破産手続開始の決定が確定したときは、同様とする。
① 債務者の財産(相続財産の破産にあっては相続財産に属する財産、信託財産の破産にあっては信託財産に属する財産。以下この条において同じ。)を隠匿し、又は損壊する行為
② 債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為
③ 債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為
④ 債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為
2 前項に規定するもののほか、債務者について破産手続開始の決定がされ、又は   保全管理命令が発せられたことを認識しながら、債権者を害する目的で、破産管財人の承諾その他の正当な理由がなく、その債務者の財産を取得し、又は第三者に取得させた者も、同項と同様とする。」
破産法270条(業務及び財産の状況に関する物件の隠蔽等の罪)
「破産手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、債務者の業務及び財産(相続財産の破産にあっては相続財産に属する財産、信託財産の破産にあっては信託財産に属する財産)の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造した者は、債務者(相続財産の破産にあっては相続財産、信託財産の破産にあっては信託財産)について破産手続開始の決定が確定したときは、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。第155条第2項の規定により閉鎖された破産財団に関する帳簿を隠滅し、偽造し、又は変造した者も、同様とする。」

参考記事:
詐欺破産の罪で不動産会社の元社長在宅起訴 美術品隠す
(2015/7/8 日本経済新聞 電子版)


以上、倒産法についてでした。

誰もがその名を知るような大企業でも、
いつ何が起きて経営危機に陥ってしまうかは誰にもわかりません。

だからこそ、そうした事態に備えて「知っておく」ことが重要です。
従業員として自分を守れるよう、関係ないなんて思わず、関心を持ち続けましょう!

実は「企業法ブログ」、今回が最終回となります。
2年にわたりアップしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

“法律”という言葉にひるむことなく、
「なるほど」と思える内容になっていれば幸いです。

ぜひ何度でも読み返してみてください!

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