新人弁護士”まりえ”が行く!六法全書を探してみた①

突然ですが、

みなさんは六法全書を手に取ったことがありますか?

そもそも六法全書って何だかご存知でしょうか?

 

「簡単にいえば“法律の辞典”」、というのはイメージがつくかと思います。

“六法”とは日本の法律の基本となっている6つの法を指し、

  1. 憲法
  2. 民法
  3. 刑法
  4. 民事訴訟法
  5. 刑事訴訟法
  6. 商法会社法

これらに関する各種の法規を収録した法令全書のことを「六法全書」といいます。

※法規 = 法律と規則。特に、その中で国民の権利・義務にかかわるもの。(引用:goo辞書

※法令全書 = 法令全書とは、日本における独立行政法人国立印刷局から出版されている刊行物であり、官報とともに法令の原典となるものである。(引用:ウィキペディア「法令全書」)

 

日本には約2000もの法律があるそうですが、
その基礎の基礎となっているのがこの六法なんですね。

どうりで分厚い本になるわけです。

また、今日では書籍自体のことを“六法”と呼ぶことも多くあります。

6つの法典との意味から転じて、これらの6つの法典を中心として主要な法令を収録した書籍を「六法全書」と呼び、さらにこれを略して「六法」と呼ぶ。なお、現在では有斐閣のみが『六法全書』と題する日本の全法令集を網羅した本を毎年発行しているため、単に「六法全書」と呼ぶときは、これを指すことも多い。(引用:ウィキペディア「六法」)

 

<参考>
– ウィキペディア「六法
– 弁護士志望Aの法律学習ゼミ


 

さて、なぜ六法全書のお話をしているのでしょうか。

 

新年のご挨拶でもお話したように
弊所では、六法全書の蔵書を増やすことに力をいれております。

所属弁護士の生まれ年の六法全書を揃えたことをきっかけに、
現在は昭和51年~平成4年版を所有しています。

昨年末から動き出したこのプロジェクト(?)、
これまではインターネットを駆使し、様々なサイトで購入を続けてきました。

 

 

しかし。

 

 

昭和54年・56年版だけが、どうしても見つからないのです。
血眼になってインターネット上を探し続ける日々・・・

「やはりネットに頼ってはいけない、足を使って探さねばならないのでは!?」

世界最大の「本の街」である神保町なら、我々の求める六法が眠っているはず。

 

 

 

そんな期待に胸を躍らせながら
1月某日、新人弁護士のまりえ先生と共に神保町へ行ってまいりました!

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(街へ繰り出すのになぜか駅に向かってしまう先生、可愛いです。)

 

駅を出ると、素敵な雰囲気の書店がずらり。

まずは事前に調べた法律古書専門店を中心に、片っ端からお店を覗いていきます。

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あれ・・・全然見つからない・・・?

 

 

 

どこへ行っても、まず六法全書の取扱いがありません。
(そもそも法律書の取り扱いが少ない印象・・・)
困った我々は「本と街の案内所」へ駆け込みました。

 

すずらん通りに位置するこの施設は
神保町の書店や飲食店の情報が得られるだけではなく、
千代田図書館からコンシェルジュさんが出張されており(平日のみ)
目的にあった書店など案内して下さる場所なのです。

(ちなみに千代田区図書館、とっても素敵な場所なのでおすすめです。)

 

そこで新たな書店情報をゲットするも、7店舗とやや少ない印象。
やはり文学・歴史系の古書が圧倒的に多いのですね・・・

でもそんな弱音は吐いていられません。
だって「足を使ってさがす」ためにわざわざ来たのだから!

教えていただいたお店を隈なくチェックしていきます。

 

 

 

・・・しかし
どこにもありません。収穫ゼロです。どうしたものか。
行く先々でしつこく店員さんに聞いてみるものの、

 

私たち 「古い六法全書売っていそうなお店、ご存知ありませんか?」

店員さん「六法全書なんて今扱ってるところないと思いますよ~」

 

そ、そんな・・・

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こんなに書店が並んでいるのに!!

 

だからと言って手ぶらでは帰りたくない私たち。
折れそうな心をたてなおし、
水道橋にある法律書の専門店・丸沼書店へ向かうことにしました。

 

 

と、その頃。世間はちょうどお昼時。
腹が減っては六法が探せぬ(?)ということで、
せっかくなので先生とお昼ご飯をいただくことにしました。

 

やってきたのは「天ぷら いもや」。

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神保町といえばカレーだろうって?
もちろんカレーがおいしいのは重々承知ですが・・・
実は筆者、神保町周辺で学生生活を送っておりました。

コアな神保町グルメもお伝えしたい次第です。

 

 

一本路地に入った場所にあるお店はカウンターのみ、全部で7席ほど。
職人感あふれる店員さんが、大きなお鍋で次々と揚げていきます。
すぐ目の前なのでかなりの迫力と熱気。

二人そろって定番の天ぷら定食にしました。

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このボリュームで650円!どうりで男性客が多いわけです。
(ちなみに好きな天ぷらを単品追加もできます。)

サクサクあつあつ、非常においしくいただきました。

 

 

 

満腹になったところで、さっそく水道橋へ。
六法全書探しの旅はまだまだ続きます。

商標についてのお話②

前回の商標についてのお話①では、商標とはなにか、区分や指定商品・役務を中心に書きました。

今回は、前回の続きから、まずは出願しても登録を行うことができない商標について書きたいと思います。

■登録できない商標
商標法では、登録をすることができないものが規定されています。折角お金と時間をかけて、商標の出願準備をしても、無駄になってしまいますから気をつけておきましょう。
具体的には、以下の●●●があります。

①商標登録の要件
商標法第3条1条では、1~5号の各号でそれぞれ、識別力を欠くこととなるような商標で商標の登録を受けることはできないと規定しています。
商標の主な働きとしては、前回少し書きました。その中でも識別力は商標の大きな働きとなっています。自己と他人の商標の見分けがつかなければ商標として登録してしまう訳にはいきませんね。

(1)普通名称
商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標(商標法第3条1項1号)
例えば、31類で、指定商品・役務を「りんご」とし、「りんご」という商標登録を行うことなどはできないということです。

(2)慣用名称
商品又は役務について慣用されている商標(商標法第3条1項2号)
もともとは識別力があったものの、同業者間などで使用され、同業者や世間に一般的に認識されているものは、商標として登録をすることができないません。
よく例えとして使われるのが、日本酒に『正宗』とつけることです。現在では、日本酒=正宗として広く認識されていることから、このような商標も識別力を欠くため登録を行うことができないものとされています。

(3)記述的名称
単に商品の産地、販売地、品質等又は役務の場所、質等のみを表示する商標(商標法第3条1項3号)
単に、商標についてその産地や販売地、品質等を表示する商標は登録をすることができないと規定されています。
例えば、青森県産のりんごに青森産という商標させてしまうと、今後、すべての青森産のりんごに「青森産」と記載して販売できなくなってしまいます。これは困りますね。
商品の産地や販売地、品質等はどのような商品を販売するにも、誰もが記載したく、又、商品販売にはこれらの記載が必要になってくるので、産地や品質等を商標として認めて、商標権者に独占して使用させるのは妥当ではないため、登録を行うことができないとされています。
また、「青森県産」と商標登録されたりんごが、本当は長野県であった場合、青森県産と認識して購入する方がほとんどだと思うので、このような誤認を避けるためにも商標登録はできないとされています。

(4)ありふれた氏など
ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標(商標法第3条1項4号)
ありふれた氏・名称とは、同種のものが多数存在しているものをいいます。
名称には、商号も含まれるとされています。これらが商標登録できない理由は、その氏や名称が多数存在している以上識別力を欠くため、商標として登録を行うことはできないということにあります。

(5)きわめて簡単・ありふれた標章
極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標(商標法第3条1項5号)
例えば、「あ」・「ア」など、ひらがなやカタカタの一文字の商標や、単に一本の直線を記載しただけの簡単でありふれた標章のみで構成される商標も登録を行うことはできないとされています。

(6)その他識別力のない標章
需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であると認識することができない商標(商標法第3条1項6号)
(1)~(5)に該当するもの以外で、識別力の無いものは本規定に該当して商標の登録を受けることができないとされています。

②公益的に使用されている標識と似ている商標
①では、識別力を欠く商標は登録を行うことができないとご説明しました。
ですが、たとえ識別力があったとしても、次のような商標は、公益的な観点から登録を行うことができないとされています。詳しくは、特許庁HP(リンクを貼る)をご覧ください。

 

商標についてのお話①

先日、茨城県水戸市のイベント会社が、徳川の家紋「葵の御紋」に似た紋様で商標登録を行い、既に「葵の御紋」で商標を登録している公益財団法人徳川ミュージアムが特許庁に異議を申し立てたというニュースを見かけました。以下ニュース記事引用です。

水戸徳川家の「葵の御紋」によく似た紋様を水戸市内のイベント会社が商標登録していることが分かった。水戸徳川家の15代当主が理事長を務める公益財団法人が特許庁に異議を申し立てていて、同庁が異議を認めるかどうか検討している。

特許庁の公開情報などによると、民俗芸能の企画・運営などをしている水戸市のイベント会社が昨年12月、お守りや日本酒、演芸などに使うとして、三つ葉葵の紋様を商標として登録した。

これに対し、15代当主徳川斉正さんが理事長の公益財団法人「徳川ミュージアム」(東京都)が今年3月、ミュージアムがすでに商標登録している紋様と酷似しているとして、特許庁に異議を申し立てた。葉の模様が多少異なる程度で、代理人を務める下坂スミ子弁理士は「こちらの使用にも影響が出かねず、見過ごすわけにはいかなかった」と話している。

特許庁は現在、異議を認めるかどうかの審理中だ。イベント会社は取材に対し「この件についてはコメントしない」と答えている。

(「「葵の御紋」そっくり、商標登録 徳川側、特許庁に異議」、朝日新聞デジタル、2016年11月5日更新、http://www.asahi.com/articles/ASJC44JJ2JC4UJHB01X.html、2016年11月11日引用)

確かに、両者の商標を比べてみると、とても良く似ているんですよね。これは助さん格さんにどうにかしてもらいましょう。

そもそも葵紋とは何だろうと思い、気になって調べてみました。以下、葵紋ついての記事を引用です。

三つ葉葵紋は、もともと徳川家のルーツである松平家の紋として使われていました。
松平家だけではなく、本多、酒井といった三河武士団の中にも葵紋は多く、本多家や酒井家が松平家よりも先に葵紋を使っていたのではないか、という説もあります。

そもそも葵紋は、京都の賀茂神社の神紋でした。

賀茂神社の神紋は徳川家のような三つ葉葵ではなく、葉が二枚の二葉葵ですが、葵紋の意匠の元になったフタバアオイは、その名の通り葉が二枚です。そのため、紋としては二葉葵が古く、そこから実在しない三つ葉葵が派生したと考えられています。

(「徳川家康の家紋 三つ葉葵はどんな意味を持つ紋所なのか?」、歴史のトリビアひすとりびあ、http://historivia.com/cat4/tokugawa-ieyasu/504/、2016年11月11日引用)

葵紋とは、フタバアオイがモチーフになっており、通常のフタバアオイの葉は2枚だそうで、3つの葉をもつフタバアオイは架空のものとのことです。徳川の家紋である葵紋は3つ葉なので、架空のものとのこと。

徳川時代には、葵紋は徳川家のみ(所説あるみたいですが)に使用が許され、あの有名なセリフ「この紋所が目に入らぬか」でおなじみであるように、葵紋を見ると悪党も退散していくほどの強い力をもっていたものが、現在では商標として登録されているんですね。

 

という訳で、今回は商標について書こうと思います。
商標の全体的な仕組みなどから、少しご説明いたします。

 

①商標とは

商標とは、「人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音」等をいいます(商標法2条1項柱書)。

パッと見て、このマークは〇〇社の商品だ!と分かるものがありますよね。それはおそらく商標として登録をされ使用されているものです。例えば、代表的な商標でいうと、不二家のペコちゃん。ケーキやお菓子などにペコちゃんのマークが記載されていたら、それは不二家の商品だと誰もが分かると思います。ペコちゃんは不二家の登録商標なので、しっかり商標の機能を果たしていますね。

商標の主な機能としては、次の(1)~(4)があり、商標が記載等されている商品購入の際に例えて各機能を少しご説明します。

(1)出所表示機能・・・商品がどこから発売されているか判断することができます。信頼している企業などからの販売商品であるか等を識別して購入することができます。

(2)自他商品識別機能・・・読んで字のごとく自社の商品と、他社の商品を識別することができます。誤って、購入するはずでなかった商品を購入してしまうことなどを防ぎます。

(3)品質保証機能・・・商品がどのような品質かを認識することができます。例えば、何年も同じ品質で販売されている商品は、商標によってその品質を把握することができますね。

(4)宣伝広告機能・・・商標そのものを使用して商品を宣伝・広告をすることもできますし、商標を使用しつづけることにより、商標が世間に浸透され、商品の宣伝・広告などにつながることも期待できます。

②商標の区分

商標には区分というものがあります。この区分とは、1つの商標権で権利が保護される商品・役務のグループをいい、世界共通の国際分類によって分けられています。
区分は1類~45類まであり、1類~34類までが商品についてのグループ・35類~45類までが役務のグループとなっています。
※1つの区分で商標を登録すればすべての区分で権利が保護されるわけではないのです。

④商標の区分表

区分は以下の表のとおりに分けられており、自分が取得したい商標の区分で申請を行う必要があります。例えば、コーヒー(缶コーヒーやペットボトルなどの商品)で商標を取得したい場合には、32類となります。お菓子やケーキに印字されているペコちゃんは、30類での登録商標という訳です。

区分 指定商品例 区分 指定商品例
1類 工業用、科学用又は農業用の化学品 他 18類 革及びその模造品、旅行用品並びに馬具 他
2類 塗料、着色料及び腐食の防止用の調整品 他 19類 金属製でない建築材料 他
3類 洗浄剤及び化粧品 他 20類 家具及びプラスチック製品であって他の類に属しないもの 他
4類 工業用油、工業用油脂、燃料及び光剤 他 21類 家庭用又は台所用の手動式の器具、化粧用具、ガラス製品及び磁器製品 他
5類 薬剤 他 22類 ロープ製品、帆布製品、詰物用の材料及び織物用の原料繊維 他
6類 卑金属及びその製品 他 23類 織物用の糸 他
7類 加工機械、原動機(陸上の乗物用のものを除く。)その他の機械 他 24類 織物及び家庭用の織物製カバ 他
8類 手動工具 他 25類 被服及び履物 他
9類 科学用、航海用、測量用、写真用の機械器具 他 26類 裁縫用品 他
10類 医療用機械器具及び医療用品 他 27類 床敷物及び織物製でない壁掛け 他
11類 照明用、加熱用、蒸気発生用、調理用の装置 他 28類 がん具、遊戯用具及び運動用具 他
12類 乗物その他移動用の装置 他 29類 動物性の食品及び加工した野菜その他の食用園芸作物 他
13類 火器及び火工品 他 30類 加工した植物性の食品(他の類に属するものを除く。)及び調味料 他
14類 貴金属、貴金属製品であって他の類に属しないもの、宝飾品及び時計 他 31類 加工していない陸産物、生きている動植物及び飼料 他
15類 楽器 他 32類 アルコールを含有しない飲料及びビール 他
16類 紙、紙製品及び事務用品 他 33類 ビールを除くアルコール飲料 他
17類 電気絶縁用、断熱用又は防音用の材料及び材料用のプラスチック 他 34類 たばこ、喫煙用具及びマッチ 他
 区分 指定役務例 区分 指定役務
35類 広告、事業の管理又は運営、事務処理及び小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供 他 41類 教育、訓練、娯楽、スポーツ及び文化活動 他
36類 金融、保険及び不動産の取引 他 42類 科学技術又は産業に関する調査研究及び設計並びに電子計算機又はソフトウ ェアの設計及び開発 他
37類 建設、設置工事及び修理 他 43類 飲食物の提供及び宿泊施設の提供 他
38類 電気通信 他 44類 医療、動物の治療、人又は動物に関する衛生及び美容並びに農業、園芸又は林 業に係る役務 他
39類 輸送、こん包及び保管並びに旅行の手配 他 45類 冠婚葬祭に係る役務その他の個人の需要に応じて提供する役務(他の類に属す るものを除く。)、警備及び法律事務 他
40類 物品の加工その他の処理 他

④指定商品・役務

区分の中の小さいカテゴリーとして、指定商品・役務というものがあります。出願する区分で、さらにどのような内容・範囲なのかをより明確に把握できるようにするため、具体化して記載しなければならない(商標法6条1項)と決められています。この指定商品・役務は比較的自由に記述することができ、例えば、先ほど区分の例として挙げましたコーヒーの商標では実際に以下のような指定商品名で登録がされております。

<区分> <指定商品>
32類 コーヒー入りの清涼飲料
(アルコールを含有しない飲料及びビール) エスプレッソコーヒー入りの清涼飲料
コーヒー風味の清涼飲料
コーヒーを加味した豆乳飲料

                    

区分のみですと、「アルコールを含有しない飲料及びビール」などのざっくりとした内容・範囲しか分からないので、指定商品で具体的に絞り込んでいます。

指定商品・役務の記述方法をどうのようにすべきが分からない場合には、特許庁のJ-PlatPat(特許情報プラットフォーム)にて、出願したい商品や役務と類似したものを検索して、実際に他者がどのような指定商品・役務で登録を行っているか参考にしてみてもよいと思います。

⑤区分/指定商品・役務に関する出願時の注意点

②~④でご説明いたしました、区分、指定商品・役務に関する出願時の注意点として実際に以下のようなことがございました。商標の取得検討段階で気に留めておくと良いと思います。

●出願時に、「指定商品・役務」(類似コード)で8つ以上指定すると、(区分が一つでも複数でも同じ)事業計画書等の提出が求められることがあります。日本の商標法では、商標登録で「使用する意思」が求められるので、多くの区分で商標を指定しようとすると、使用する意思がないだろう、と思われるためです(事業計画書等を作って出せば、登録はできなくはないです。)。

 

今回は、商標の登録を検討するにあたり、どのような区分、指定商品・役務で出願を行えばよいかということについてご説明いたしました。

では、この区分や指定商品・役務で正しく記載をして特許庁に出願すれば、どんな場合でも商標の登録を行うことができるかというと、そういった訳ではありません。
登録をしたいロゴやマークが、既に別の会社などで登録がされてしまった場合、またはそもそも登録を行うことができないロゴやマークなどで商標の出願を行ってしまっていた場合などには、登録を行うことがでません。

具体的にどのような場合に登録を行うことができないのか、また出願の方法や手数料などについては次の記事で書きたいと思います。

 

次回 出願しても登録にならない商標~出願

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会社設立のお話③

さて、会社設立のお話①に引き続き株式会社の設立について書きます。
前回は、定款の認証についてご紹介いたしました。
今回は、④資本金の払い込みから設立登記完了までの手続きについて書きます。

会社設立の流れは以下となりますので、①~③の手続きについては、会社設立のお話①をご参照ください。

①設立事項の決定

②定款の作成

③定款の認証

④資本金の払込

⑤登記申請に必要な書類の作成

⑥登記申請

⑦設立登記完了

 

④資本金の払込

定款の認証が終わったら資本金の払い込みを行います。
発起人は、設立時発行株式の引受後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につきその出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない(会社法34条1項)とされています。定款により発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数を定めた場合には、定款認証のあとに行うのが一般的とされています。(会社法30条1項より)

資本金の払い込み方法等は以下となります。

  • 払込先・・・発起人の口座。会社設立までは会社の口座を作成することができないので、発起人の個人の口座で構いません。発起人が複数人いる場合には、代表者1人の口座へ行います。
  • 払込方法・・・各発起人は、定款又は発起人全員の同意により定めた金額の全額を払込ます。

また、既に預金がある口座に払込を行う場合には、残高が払込の金額になっていれば良いという訳では無く、必ず払込行為を行ってください。払込行為があれば良いので、一旦預金を引き出した後、同額を払い込む方法でもかまいません。
※「発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数は,定款又は会社法32条1項の発起人全員の同意により定まるから,登記実務上,出資の履行の時期は,定款の認証前であっても,定款の作成又は当該発起人全員の同意の後であれば差し支えないとして取り扱われている。(『商業登記ハンドブック第2版(92頁)』」という見解もあります。

⑤登記申請に必要な書類等の作成

定款の認証・資本金の払い込みが終わったら、設立登記の申請をします。法務省のHPに登記申請書等の記載例が載っているので参考すると良いです。登記申請書記載例リンク
設立登記に必要な書類は以下となります。

●登記申請書・添付書類
a)登記申請書
b)登記すべき事項(CD⁻Rなどで可)
c)定款
d)発起人決定書(本店所在地など)
e)設立時取締役の就任承諾書(+議決権の過半数の一致があったことを証する書面)
f)印鑑証明書(取締役全員分)
g)払込を証する書面
h)委任状(代理人が行う場合)

●登記申請書の添付書類とは別に登記申請時に提出するもの
i)印鑑届書
j)印鑑カード交付申請書

※今回は、発起設立で、発起人が設立時取締役に就任し、取締役会は設置しないモデルに則して書きますので、形態の違う会社を設立する場合にはそれぞれご確認ください。

a)~j)についてそれぞれ少し補足をします。

a)登記申請書
設立登記の申請の際は、「株式会社設立登記申請書」を提出します。
登記申請書には、以下の事項を記載します。

  • 商号
  • 本店
  • 登記の事由
  • 登記すべき事項(別添可)
  • 課税標準金額(資本金の額)
  • 登録免許税
  • 添付書類

必要事項を記載したら、登記手数料の15万円分の収入印紙を消印をせずに収入印紙張付台紙にはります
※登記手数料が15万円を超える場合には、その金額をはります。手数料の算出方法は会社設立のお話①をご参照ください。

登記申請書が複数枚になる場合には、左端をホチキスで止め、会社代表印で契印を行います(代理人が行う場合には代理人の印鑑)。

b)登記すべき事項(CD⁻Rなどで可)
登記すべき必須事項は、登記申請書に直接記載する他、CD-Rなどの記録媒体で提出することもできます。登記すべき事項の必須事項は以下となります。

  • 「商号」・・・商号を記載します。
  • 「本店」・・・本店の所在地を記載します。
  • 「公告をする方法」・・・定款にて公告をする方法を定めた場合にはその通りに記載をし、電子公告による場合には公告先のURLも合わせて記載します。
  • 「目的」・・・定款で定めた事業目的を記載します。
  • 「発行可能株式総数」・・・定款で定めた通り記載します。
  • 「発行済株式の総数」・・・発起人が割当てを受ける株式の数を記載します。
  • 「資本金の額」・・・資本金の額を記載します。
  • 「役員に関する事項」・・・各取締役について役職と氏名を記載します。代表取締役を定めた場合には、当該代表取締役の住所も記載します。
  • 「登記記録に関する事項」・・・設立登記の場合には「設立」と記載をします。

※必須事項は全ての株式会社の設立登記時に必要となり、必須事項以外にも登記すべき事項がある会社形態の場合には、その内容も合わせて登記します。

電磁的媒体によって提出する場合には、すべて全角文字で作成しなければならいなどの留意点があります。詳しくは、法務省が掲載している案内をご参照ください。登記すべき事項の提出に関する留意点リンク

c)定款
公証人が認証を行った定款(謄本)を添付します。

d)発起人の同意書(決定書)
定款で本店所在地の記載を最小行政区画までの記載としている場合には、行政区画以降(何丁目・何番地などの地番まで)の詳細な住所を発起人で決定・同意をした旨の書類を添付する必要があります。その他、設立に際して発起人が割当を受けるべき株式数及び払い込むべき金額、発行株式数などの内容が定款にて定められていない場合にも、発起人の決定・同意をした旨の書類が必要となります。

e)設立時取締役の就任承諾書
定款若しくは発起人の議決数の過半数により定めた(会社法38条、40条)設立時取締役の全員分の就任承諾書を添付する必要があります。就任承諾書には、設立時取締役に選任されたこと・就任を承諾する旨を記載します。
また、設立時取締役の選任を定款で行った場合には定款を、発起人の決議で定めた場合には発起人の議決権の過半数の一致があったことを証する書面を合わせて添付します(商業登記法47条3項)。
また、代表取締役を定めた場合には、代表取締役就任承諾書も合わせて添付します。
取締役が就任承諾書へ押印する印鑑は、市区町村に登録をした印鑑で行います。(認印では×)
※取締役が1名の場合には、自動的に代表取締役を兼ねるため、取締役承諾書とは別に代表取締役就任承諾書を添付する必要はありません。

f)印鑑証明書(取締役全員分)
各設立時取締役が就任承諾書に押印した印鑑の印鑑証明書を添付します。
印鑑証明書は3カ月以内に発行されたものである必要があります。

g)払込を証する書面
払込が本当に行われたかどうかを証明する書類を提出します。
払込があった金額の総額・払込があった株数(設立時発行株式数)などを記載した払込証明書を作成します。

また、添付書類として払込が行われた口座の通帳のコピーなどが必要となります。
コピーの箇所については以下の3か所となります。

  • 通帳の表紙
  • 通帳の表紙をめくった1ページ目
  • 資本金の入金が記録されているページ

■製本
払込証明書と通帳のコピーを合わせて1冊の書類を作成します(払込を証する書面)。製本方法は、ページとページの間に契印をする方法が一般的ですので、書類をまとめて左端をホチキスで止め、会社代表印で契印をします。

h)委任状
設立登記手続きを代理人が行う場合には、委任状が必要となりますので、準備しておきましょう。

i)印鑑届書
会社を設立する際には、会社代表印の届出を法務局へ提出し、印鑑の登録を行わなければなりません(商業登記法20条1項・3項)。届出は法務局指定の「印鑑届書」をもって行います。フォーマットの指定ヶ所に代表印として登録をする印鑑を押印し必要事項を記載して提出します。印鑑の登録ですので、印影がかすれたり途中で切れたりしていると登録ができないことがあるので出来るだけ綺麗に押印するようにしてください。印鑑届書リンク

j)印鑑カード交付申請書
会社代表印の印鑑証明書を発行する際に、印鑑カードが必要となります。設立登記時に絶対に必要ということではないですが、印鑑届書と合わせて提出しておくと良いと思います。印鑑カード交付申請書リンク

⑥登記申請
登記申請に必要な書類の作成が終わったら、⑤でご説明をしましたa)~j)の書類を管轄の法務局へ提出します。提出は、直接持ち込むか郵送で行う方法があります。管轄の法務局は、管轄法務局リンクから調べてみてください。

■原本還付請求
登記申請時に添付する書類は、原本で提出しなければなりません。そして提出した書類は、そのまま法務局に保管されるため、返却されることはありません。手数料をかけて取得した書類や大事な書類などが戻って来ないのは悲しいですよね…。
しかし、原本還付請求を行うと、原本の返却を受けることができます!

原本還付請求の方法は、返却を希望する書類の原本のコピーに「原本と相違ありません」と記載をし、登記申請書に押印した会社代表印を押印すると法務局保管用の書類がコピーした書類となり、登記が完了すると晴れて手元に原本が返却されます。

⑦設立登記完了

申請を行った法務局によって多少異なるようですが、申請を行ってから1週間程度で登記が完了します(補正などが入った場合にはもう少しかかるかと思いますが。)。
登記が完了すれば設立の手続きは終了です。お疲れ様でした。
会社設立の日は、登記が完了した日ではなく、登記申請を行った日となります。

以上が会社設立の一連の手続きになります。
今回ご紹介したケースとは異なる会社の設立の場合には、必要書類などが異なることなどもありますが、おおまかな流れはこのようになります。

全3回に分けて、会社設立について書きました。
株式会社の設立の際にご参考いただければうれしいです!

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会社設立のお話②

引き続き株式会社の設立について書きます。

 

会社設立の全体的な流れは以下のように進むとご説明しました。

①設立事項の決定

②定款の作成

③定款の認証

④資本金の払込

⑤登記申請に必要な書類の作成

⑥登記申請

⑦設立登記完了

前回は①~②まで書きましたので、今回は、③定款の認証から書こうと思います。ここからは主に必要書類の作成についてです。

その前に、書類の作成には以下の印鑑・印鑑証明書が必要となりますので準備しておきましょう。

会社代表印(実印) 会社の代表印を作成しておきましょう。設立登記申請時に合わせて法務局へ印鑑登録の申請をします。
印鑑の大きさには規定があり、辺の長さが1cm以上、3cm以内の正方形に収まるものでなければならないので、作成時には確認をしましょう。
発起人の印鑑※ 発起人個人が市区町村に登録の届出をしている印鑑が必要となります。
発起人の印鑑証明書 定款の認証時に提出が必要となります。
設立時取締役の印鑑※ 設立時取締役個人が市区町村に登録の届出をしている印鑑が必要となります。
設立時取締役の印鑑証明書 設立登記時に提出が必要となります。

※個人の印鑑登録は、それぞれ住民票に記載のある住所の市区町村にて行うことができます。登録できる印鑑の大きさは、一辺の長さが8mmの正方形より小さいもの、または一辺の長さが25mmの正方形より大きいものは登録できないとされていなます。その他細かい規定や登録方法などはお住まいの市区町村のHPなどで確認をしてみてください。

③定款の認証

定款の内容が決まったら、定款を公証人に認証してもらなければなりません(会社法30条1項)。
なぜ公証人の認証をしなければならないかというと、定款の記載事項の不備等による会社設立に関する紛争防止のためであるということです。

■管轄の公証役場を探す
定款認証は、本店所在地を管轄する公証役場で行わなければなりません。

本店所在地の同都府県の公証役場であれば、どこで認証を受けても良いのでお近くの公証役場で行うと良いと思います。逆に、遠方に本店を置く場合には、本店を管轄する公証役場で行わなければならないので少し大変かもしれません。北海道に本店を置く場合には、地域ごとに管轄の公証役場が定められているので確認をしてみてください。
全国の公証役場一覧リンク

■定款の事前確認
管轄の公証役場にFAXまたはメールで定款の事前確認をしてもらいます。おそらく、どの公証役場でも事前確認が可能かと思いますが、念の為お電話などでご確認をしておいた方が良いかもしれません。

事前確認に必要な書類は、

  • 定款(案文で可)
  • 発起人全員の印鑑証明書(発起人に法人が含まれる場合は登記簿謄本及び代表者の印鑑証明書)
  • 委任状(代理人が行う場合のみ)

の3点となり、FAX又はメールでお送りします。
事前確認の際に、発起人全員の印鑑証明書が必要になるので、印鑑登録を行っていない場合には登録を行う必要があります。個人の印鑑登録は、住民登録のある市町村で行うことができますのであらかじめ用意しておきましょう。

前回にも少しお話ししましたが、公証人による指摘事項として以下のような点がありましたので事前確認を行っていただく前に、チェックしてみると良いと思います。

  • 各条項目番号の記載は、1.のように「ドット」の記載にすること
  • 重複する内容の規定の削除
  • より一般的な記載への変更(条項の内容は変えずに記載方法の変更)
  • その他記載方法の統一

事前確認をお願いすると、公証役場から指摘や質問等の返信が来ます。何度かやりとりをして、修正等を行い公証人よりOKが出ましたら必要書類等を持って公証役場まで向かいます。

■製本
実際に認証に行く際には、製本した定款を3部持参しますので一般的な製本方法をご説明します(電子定款では不要です。)。

(1)定款をA4でプリントアウトし、一番後ろのページに記載をした、発起人の氏名の横に発起人の印鑑を押印します。押印が済みましたら、ページをまとめて左端2か所をホチキスで止めます。定款の表紙は絶対に必要ということはないので、お好みで作成いただければと思います。

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(2)ホチキスで止めた箇所に製本テープを貼ります。

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(3)定款の裏面の製本テープと紙の境に発起人全員の割印をします

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以上で完成です。製本テープを貼らない方法で作成する場合には、左をホチキスで止めた後ページとページの間に発起人全員で契印をします。
※発起人による押印は、市区町村に登録を行った印鑑で行います。

■公証役場へ
いよいよ公証役場へ定款の認証をしてもらいに行きます。事前にお電話などで認証の日時を決めてからお伺いすると、待ち時間もなく良いです(事前確認の際に、公証役場からいつ認証に来るか聞かれると思いますが。)。

持参する書類は以下3点です。

  • 定款3部(会社保存用・公証役場保存用・謄本)
  • 発起人全員の印鑑証明書(発起人に法人が含まれる場合は登記簿謄本及び代表者の印鑑証明書)
  • 委任状(代理人が行う場合のみ)

また、費用については以下の通りとなっております。

  • 収入印紙4万円
  • 公証人による定款認証代5万円(現金)
  • 定款の謄本代(250円×定款のページ数)(現金)

実際の認証は、事前確認・認証日時の予約をしていれば2、30分もかからずに終了するかと思います。

定款の認証が済みましたら、資本金の払い込みを行います。
資本金の払い込みから登記完了までのお話しは次の記事でご紹介させていただきますね。

 

 

次回 資本金の払込~設立登記完了まで

 

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会社設立のお話①

株式会社の設立について書きます。

株式会社の設立形態には様々なものがあるかと思いますが今回は、発起設立で、発起人が設立時取締役に就任し、取締役会は設置せずといったシンプルなケースを中心に書いていこうと思います。

まず、会社をつくろうと思ってから、設立登記が完了するまでのおおまかな流れをご説明すると以下のようになります。

①設立事項の決定

②定款の作成

③定款の認証

④資本金の払込

⑤登記申請に必要な書類の作成

⑥登記申請

⑦設立登記完了

①~⑥までの作業としては、会社の方針を考えたり、方針の内容を書面にしたり、設立に必要な書面を作成したりといったことを行います。

そして、会社設立をご自身で行った場合どのくらい費用がかかるのかといいますと、だいたい25万+資本金の額になるかと思います。

内訳は、

定款認証のための収入印紙代 4万円
公証人による定款認証代 5万円
定款の謄本代 2千円程度(250円×定款のページ数)
会社設立登記のための収入印紙代 15万円(資本金に0.007をかけた金額が15万円以上の場合はその額)
その他費用(印鑑代など) 8千円
合計 25万円

となり、ここに資本金の額をプラスした金額を想定していただければ良いと思います。

話を戻しまして、①~⑦の設立の流れについて順にご説明します。

 

①設立事項の決定

定款を作成するに、どのような会社にしたいかといった大枠を決めておくと良いと思います。

具体的には、

a)会社の商号
b)事業目的
c)本店の所在地
d)資本金の額
e)機関設計
f)事業年度
etc
あたりを決めておくと、定款作成時にスムーズです。

a)~f)についてそれぞれ少し補足をします。

a)会社の商号
会社の商号を決めます。商号は基本的に自由に決めることができますが、いくつかルールがあります。

まず、株式会社は商号中に必ず株式会社という文字を用いらなければならないとされています(会社法6条1項)。
例: 株式会社ABC  又は  ABC株式会社

また、商号で使用できる文字には決まりがあり、

  • 日本語
  • ローマ字(大文字及び小文字)
  • アラビア数字
  • 記号(&)(’)(,)(-)(.)(・) 

使用することができます。記号については、文字を区切る役割としてのみ使用可能ということになっているので、商号の最初や最後に使用してはいけないようです。
例: × 株式会社ABC&     ○ 株式会社A,B&C

あとは、同一の商号を用いて同一の本店所在地で登記を行うことは禁止されています(商業登記法27条)。

b)事業目的
どのような事業を行うかを決めます。
すでに明確に決まっている事業はもちろん、将来行いうる事業も検討しておくと良いと思います。会社は、定款に記載してある事業目的の範囲内で事業を行うことができるため(民法34条・会社法3条)、事前に決めておく必要があります。
実際に定款に記載する際の、記載例を紹介しているサイトがたくさんあるので、調べてみると良いと思います。

c)本店の所在地
会社の本店をどこに置くか決めます。
登記が可能なレンタルオフィス(シェアオフィス)などを本店所在地にすることもできます。
※レンタルオフィス(シェアオフィス)の場合、設立後に法人名義の銀行口座を作れないこともあるようです。

d)資本金の額
資本金をいくらにするか決めます。

e)機関設計
「機関」とは、株主総会・代表取締役・取締役会・会計参与・監査役・監査役会など、意思決定や業務の遂行を行う者をいいます。
株式会社では1人以上の取締役を置かなければならず(会社法326条1項)、取締役会・会計参与・監査役などの機関は定款に定めることで置くことができるとされています(会社法326条2項)。

取締役以外の機関を置く場合、定款にて規定することが定められておりますので、どのような機関設計で会社を運営するかを決めておく必要があります。

主に設立時には、取締役会を置くか・置かないかといった機関設計を考えると良いと思います。取締役会を置くことで、株主総会の決議事項は、法律に規定する事項及び定款で定められた事項に限定され(会社法295条2項)、取締役会を置かない会社と比較して、取締役による経営判断などがスピーディーになるなどの面があるので、どのような形で会社を運営いていきたいか、と合わせて検討すると良いと思います。
ただ、全株を自分で出資して会社を作る場合には、自分一人で株主総会決議をおこなうことができるので、あまりスピードに差はないかもしれません。
※取締役会設置会社は取締役が3名以上でなければならない(会社法321条4項)と規定されているので、取締役の人数が3名に達しないときは、設置することができません。

f)事業年度
事業年度は、自由に決めることができますので、はじめは設立予定などに合わせて決めるのが良いかと思います(のちに変更することが可能です。)。
※消費税の納税義務の免除期間の関係から、設立日からまるまる1年分事業年度にできる方が良いという方もいます(資本金1,000万円以下の場合)。

 

②定款の作成
つぎに、定款を作成します。
定款とは、会社の組織と活動に関する根本規則のことをいいます。
会社の設立登記には必ず定款が必要になりますので、①で決定した設立事項等を盛り込んで作成していきます。

では、定款にはどんな記載事項があるかというと

  • 定款に記載していないと定款自体が無効となってしまう事項
    (絶対的記載事項:会社法27条)
  • 定款に記載しないかぎりその効力が認められない事項
    (相対的記載事項:会社法28条・107条2項など)
  • 会社法の規定や公序良俗に違反しないかぎり定款において規定することができる事項(任意的記載事項:会社法29条)

です。
それぞれ具体的に挙げると以下のとおりです。

■絶対的記載事項

  • 目的(会社法27条1号)
  • 商号(会社法27条2号)
  • 本店の所在地(会社法27条3号)※1
  • 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額(会社法27条4号)
  • 発起人の氏名又は名称及び住所(会社法27条5号)※2
  • 発行可能株式総数(会社法37条)※3
    ※1 「定款に記載すべき本店所在地は,最小行政区画である市町村(東京都の特別区を含み,政令指定都市にあっては市)により表示すれば足り,何丁目何番地まで表示する必要はない(大13・12・17民事1194号回答,登記関係先例集上1034頁)。(『商業登記ハンドブック第2版(18頁)』)」とされています。

    ※2 発起人の氏名又は名称及び住所は、印鑑証明書に記載の住所を記載します。
    ※3 発行可能株式総数は、定款認証時の絶対的記載事項ではありませんが、定款に記載しない場合には、会社の成立のときまでに、発起人全員の同意により定款を変更してその定めを設けなければならないとされています。ですので、定款作成時に記載することができない事情がない限りはじめから入れておくのが良いと思います。

■相対的記載事項

  • 株式の譲渡制限に関する定め(会社法107条1項1号)
  • 取締役の任期の伸長(会社法332条1項)
  • 取締役会・監査役・監査役会などの機関の設置(会社法326条2項)
    など
    ※変態設立の場合には、会社法28条に規定の事項

■任意的記載事項

  • 事業年度
  • 株主名簿の基準日
  • 定時株主総会の開催時期
  • 公告方法

絶対的記載事項は必ず記載しなければならず、あとは相対的記載事項・任意的記載事項を組み合わせて作成していきます。

先にも述べた通り、定款は会社の組織と活動に関する根本規則となるので、基本的にどのような会社にしたいかということを意識しながら作成すると良いと思います。そして、定款の記載に唯一絶対に正しいというものはないのですが、公証人による認証の際に記載方法の修正の指示がでることがあります。

実例として

  • 各条項目番号の記載は、1.のように「ドット」の記載にすること
  • 重複する内容の規定の削除
  • より一般的な記載への変更(条項の内容は変えずに記載方法の変更)
  • その他記載方法の統一

などがありました。

一般的にもこのあたりの指示が多いのかなというイメージですが、認証を担当する公証人によって修正内容に多少の差がでるそう。

また、一般的な定款として日本公証人連合が掲載している定款記載例のようなものが多いかと思いますので、参考にしつつ、必要なことを付けたしたり、不要なものを削ったりしながら作成していくと良いと思います。定款記載例リンク(日本公証人連合)

とにかく絶対的記載事項は漏れなく書きましょう!

定款の内容が決まったら、公証人に認証をしてもらわなければなりません。定款の製本の方法や、認証、認証以降のお話は次の記事で書きますので、今回はこのあたりで。

 

次回 定款の認証

 

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イルカと化石

イルカについて書きます。

7月20日 16時25分 600万年前の地層から発見 新種のイルカの化石公開 千葉県鋸南町のおよそ600万年前の地層から発見されていたイルカの化石が、新種のイルカであることが分かり、千葉市の博物館で特別に公開されています。

特別公開されているのは、千葉県鋸南町のおよそ600万年前の地層から24年前に発見されていたイルカの頭の骨の化石の一部です。 古生物学が専門の秀明大学の村上瑞季助教が、保管されていた化石を詳しく調べたところ、鼻の骨が厚いなどの特徴が見つかり、新種のイルカであることが分かったということで、化石が見つかった地域の名前「安房」にちなんで「アワイルカ」と命名されました。

アワイルカは体長が1.5メートルほどで、長いくちばしを持っていたと考えられ、今は南米にしか生息していないアマゾンカワイルカの仲間だということで、当時の生態系を知るうえで貴重な資料だということです。

千葉県立中央博物館の伊左治鎭司主任上席研究員は「千葉の地名が付いた貴重な化石なので、ぜひ多くの人に実物を見てもらいたい」と話しています。 アワイルカの化石は、千葉市中央区の千葉県立中央博物館で9月4日まで公開されています。

 

という記事を少し前に読んだからです。

でも、化石について語れることは何もありません。
化石がどうして化石になるのかも知りません。
もちろん、イルカのことも知りません。

なので、判例を調べてみました。
イルカで調べても、なぜか建築紛争しかなかったので、化石にしました。 なお、建築紛争で出てくるイルカは「タ イルカ ーペット」というものでした。気になる方は調べてみてください。

そこで、今回紹介するのは、昔とある愛知県の科学館(博物館)であったお話です。 物語風に書くのも難しいので、要点を箇条書きにします。

  • 科学館が開業準備のために化石の標本を買いました。
  • でも、入札とかせずに随意契約で指定した業者から買ったために高かった。
  • ついでに博物館の企画制作をしているイベント企画会社ともプロモーション契約を以下の流れで締結して、お金を払った。

時系列で整理してみるとこんな感じです。

ア 平成9年4月1日   A-プロデュース業務委託契約(委託料2500万円)及び, B-資料収集委託契約(委託料1000万円)の各締結
イ 同年7月31日    A契約の委託料内金2000万円の支払
ウ 同年9月25日      C-化石標本類284点の購入契約(代金総額7000万円)の締結
エ 同年10月20日      C契約の代金7000万円の支払
オ 平成10年4月1日     D-プロデュース業務委託契約(委託料2500万円)及び,E-資料収集委託契約(委託料2992万5000円)の各締結
カ 同年4月15日    A契約の委託料残金500万円及びB契約の委託料1000万円の各支払
キ 同年6月17日    F-化石標本類85点の購入契約(代金総額1億7745万円)の締結
ク 同年9月25日     F契約の代金1億7745万円の支払
ケ 平成11年4月23日  E契約の委託料2992万5000円の支払

  • 高すぎ、ということで住民が当時の市長とイベント企画会社を相手に訴えを起こした。

ですね。
契約と支払いが多くてよくわからないですが、
裁判でもよくわからないままに進むことも多いと思います。
あくまで主観に基づいた推測ですが。

で、結論的なところをそのまま抜き出すと、
「以上を総合すると,本件化石類の代金約定は,契約締結担当者の裁量権を考慮しても,なお前記各法条の趣旨に著しく反し,明らかに違法であるばかりか,社会通念上も著しく妥当性を欠くと認められるから,一部無効をもたらすものというほかない。 そして,無効とすべき範囲は,化石標本類について客観的な市場価格が確立されていないものがあることや,価格の決定について契約締結担当者に一定の裁量があることなどを斟酌すると,前記鑑定による最高評価額にさらに1.5を乗じた金額又は判明している輸入申告価格に3を乗じた金額のうち,より高い金額を超える部分と判断するのが相当である。」

「被告Aは,前記のとおり,客観的な市場価格が存する場合にはそれとの対比を,これが存しない場合であっても取得原価や諸経費を基礎とする価格との対比を行うことにより,上記の職務上の義務を果たすことが可能であったにもかかわらず,これらについて十分な検討を加えたとは認められないGの調査結果や本件評価委員会の報告を検証することもなく,漫然と上記財務会計行為を行ったことにより,蒲郡市に損害を与えたものというほかないから,これを賠償すべき義務を負う。」

ってなって賠償が認められましたよ、ってお話でした。
盛り上がり的なところは省略したので、いまいち面白さが伝わってなかったらごめんなさい。

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(イルカ)