六法全書クロニクル ~改正史記~ 平成30年版

本稿は、弊所ギャラリーに蔵書している有斐閣・六法全書について
年ごとにその法改正の道のりを辿っていこう、というものです。

法改正は時事と隣り合わせ。切っても切れない関係です。
雑学的に、少しでも六法全書を身近に感じていただければと思います。


六法全書 平成30年版

この年の六法全書に新収録された法令として、
天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成29年法律第63号)があります。

平成から令和への御代替わりに関する法律で、この中で

・天皇が法律施行日に退位されること
・退位後に上皇となられること
・敬称は陛下とすること

などが定められています。

天皇の生前退位という非常に稀な事態を実現するための、非常に珍しい法律です。条文の数も5条までと少ないですから、ぜひ、ご覧になってみてください。

改正された法令として収録されたものとしては、旅館業法があります。

いわゆる民泊が過熱する事態が発生したことなどを受けて改正されたもので、
「旅館営業」と「ホテル営業」に分かれていた営業種別を「旅館・ホテル営業」に統合して規制緩和を図る一方、違法民泊など無許可営業者に対する立入検査の創設や罰金の上限額の引上げ等による取締強化を図っています。

日本政府観光局の統計によると、平成30年の外国人旅行者数は3,119万人で
統計取得開始以来最大、初めて3,000万人を超えました。

そんな中懸念されているのが、ホテルを初めとする宿泊施設の圧倒的な不足です。

平成29年の宿泊施設の客室稼働率は、全体で60.8%ですが、東京や大阪では8割を超えています。東京オリンピックを間近に控え、宿泊施設不足を補うものとして、民泊に注目が集まっています。
実際に、2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、民間会社が公式サプライヤーとして宿泊施設提供のサポートをおこない、会期中に6万6千人のゲストが民泊を利用したといいます。

今回の東京オリンピックでも、民泊が重要な役割を果たすことになるかも・・・
自分もやってみようかな?と思われている方は、ぜひ、六法全書で条文を読んで予習してみてください。

企業法・授業まとめ-第10回-

授業ブログ第10回目です。

前回は企業の金銭的トラブル「債権の管理・回収」についてお伝えしましたが、
今回はそれ以外の企業におけるトラブルについてです。

お金関係以外、どのような問題が考えられるでしょうか・・・

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幻(?)の六法全書・昭和56年版

タイラカ総合法律事務所にはギャラリースペースがあり、
六法全書を中心に各種法律書を収集しております。

これまで数年かけて古書を収集してまいりましたが、

六法全書を探しに街へ繰り出したり、

その後も捜索を続けたり、

あれこれ手を尽くしてきたにも関わらず入手できなかったのが
有斐閣の出版する六法全書の昭和56年版です。

 

しかし!
この度、素敵なご縁があり弊所の蔵書に迎え入れることができました。

 

 

 

その「ご縁」というのも・・・

 

 

弊所のギャラリーは、ご希望の方にご覧いただけるようになっています。
(要予約・枠に限りあり。詳しくはホームページをご覧ください。)
今回いらしたのは六法の収集をされているという見学者様。

その方より、

「近くの古書店で見つけたので…」

といって、ご厚意で頂いたものなのです。

 

 

2年近く探し続けてきたにも関わらず見つからなかった昭和56年版。

まさかこんな形でお目にかかれるとは思っておらず驚きましたが、
本物を見ることができ、じわじわと感動しました。

見学者様、本当にありがとうございました。
(ブログを見てくださっているとうかがったので、こちらでも改めてお礼を。)

 

 

ということで、早速本棚へ並べてみました。

 

 

数字が並ぶととってもいい感じです。
(昭和55年版は別室に飾ってあります)

 

出版年によってデザインの変遷があり、
その違いを楽しむのもいいかもしれません。

 

ちなみに。

これまで弊所では昭和54年版、56年版を見つけるのに苦労していたわけですが、
逆に昭和57年版は、これまた縁があり4冊蔵書があります。

入手のしやすさ・しづらさに何か違いがあるのか、見学者様にも伺ってみたところ

  • 法改正がないタイミングだと、そもそも刷る数が少なくなり、結果として古書での流通も減るかもしれない。
  • 逆に法改正があれば刷る数も増えるし、それで手に入りやすいのかも。
  • 法律書を扱っていない古本屋でも、足元に積まれた古書に六法が紛れていたりすることがある。裁判所の近くにある古本屋さんも売っている可能性大。

とのこと。かなり勉強になります・・・!

 

これからも六法全書をはじめ、興味深い古書を揃えていきたいと思います。

法律古書を探してみた-令和編-

タイラカ総合法律事務所にギャラリースペースがあるのをご存知でしょうか。

ギャラリースペース開設のお知らせ
タイラカ総合法律事務所HP・ギャラリーについて

以前より収集していた法律古書を実際手に取ってご覧いただけるよう、
昨年オープンいたしました。

蔵書については常時収集をおこなっていますが、
この度新たなコレクションを求めて、久しぶりに神保町へ行ってまいりました。

 

神保町といえば本の街ですが、
意外に法律古書の取扱いが少ないことは前回の六法全書探しで学習済みです。

今回も淡い期待を抱きつつ幾つかの書店をまわりましたが、
やはり法律書の取扱いはないとの回答でした・・・残念・・・。

 

 

しかしタダでは転びません。

 

 

法律に携わる方なら必ずご存知であろう、
出版社「有斐閣」さんの本社が神保町にあります。

 

一目その姿を見たい!…と近くまで伺ったのですが、
なんと1階にはギャラリーが。

見学可能とのことで、せっかくなのでお邪魔してきました。

 

一歩踏み入れると、立派な扁額が目に入ります。
(写真撮影可とのこと)

(何だか学校の校長室を彷彿とさせる重厚な雰囲気・・・)

歴代社長の写真、社名の由来、社屋の変遷、その他出版物が展示されています。

創業当初(明治10年)は「有史閣」という古書店だったんだ…
代々ご家族での経営なんだ…
戦災・震災を乗り越えて今の本社ビルがあるんだ…

などなど、普段お世話になっているにもかかわらず知らないことが沢山。
まるで博物館の展示を見ているようで非常に興味深かったです!

 


気になって調べてみたのですが(以下、Wikipediaを参照。)、

有斐閣さんが現在の六法全書を出版しはじめたのは1948年(昭和23年)。
(1901年より『帝国六法全書』を刊行、昭和に入って中断していたところ、創業70周年事業として今の六法全書が作られるようになったのだそうです。)

弊所の所有する有斐閣・六法全書で一番古いものは昭和24年版。
創刊版まであと一歩ですね・・・!これはぜひとも蔵書に加えたいところ。


 

やや話がそれましたが、
神保町を堪能(?)した後は、目的の古書探しを続行。

水道橋にある「丸沼書店」へ向かいました。

 

看板にも「法律」の文字が。心強い!

実は以前の六法全書探しでも伺ったことがありますが、
かなりの数の法律書を扱っているイメージでした。
その印象を頼りに今回も向かったわけですが、これが大当たり。

壁一面の本棚には法律書が新旧問わずにびっしり。
無事、いくつもの素敵な法律古書を購入することができました。

興味のある方はぜひ行かれることをおすすめします!

 

 

事務所に戻ってからは、さっそく書籍をギャラリーへ。

 

古書はそのデザインも楽しむことができるのが良いと、個人的には思っています。あとは使っていた方の雰囲気が残っているところです。
学習のための書き込みや記名がされていると、なんだか癒されます。

今回は商法に関する書籍など、縁のある書籍も蔵書に加えることができました。

幅広いリーガルサービスの提供を実現すべく、
今後もさまざまな蔵書を探してまいります!

企業法・授業まとめ-第8回-

授業ブログ第8回目です。

前回から時間が空いてしまいましたので、
復習もかねてぜひ第7回目から読んでいただければと思います!

今回のテーマは「M&A」、日本語では「合併と買収」と訳されます。
読んで字のごとし…かと思いきやそれだけではないのです。
これを読めばニュースを見るのがより楽しくなるかも…しれません。

 

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ギャラリースペース開設のお知らせ

弊所ではあらゆる時代の法律に対して適切なリーガルサービスを提供するため、六法全書を中心に各種法律書を収集しております。
実際にその貴重なコレクションを手にとっていただけるよう、ギャラリースペースを開設いたしました(予約制)。弊所の蔵書を中心に展示し、落ち着いてご覧いただける空間となっております。

本ギャラリーは、どなたでも無料でご覧いただくことが可能です(月1組限定、複数組から応募があった場合は抽選となります)。

時節柄、お子さまの夏休みの宿題・課題をおこなう空間としてもご利用いただけます(夏休み以外でのお子さまのご来館も歓迎しております)。また、弊所の弁護士・スタッフが、みなさまの法律に関する疑問にお答えする特設コーナーも期間限定で設けております。

HPのお問い合わせフォームよりご予約の上、お越しください。また、蔵書に関するお問い合わせも同フォームへお願いいたします。

古いもので100年以上前の帝国六法全書からございまして、日本の法制史を知るうえでの貴重な資料となっております。弊所ではこれからも六法全書に限らず様々な法律書を引き続き収集してまいります。
完璧なリーガルサービスの提供を目指し、今後も努力いたす所存でございます。今後とも、倍旧のご支援とご愛顧を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

企業法・授業まとめ-第4回-

授業まとめブログ、第4回目です。

今までは会社にまつわる、外枠の部分を多く学んできましたが
今回は会社の重要な要素のひとつ、会社の「機関」について。
第2回でも触れましたが、ここでいう「機関」とは法律用語です。
よりコアな部分に向かうべく、それでは今日も始めましょう。

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いきなり企業法! <2-1.株式会社とは>

第2回は株式会社について、いきなり!解説していきたい。

……と、その前に。会社も人と同じく生まれてから死ぬまで色々あって、それぞれの人生があるのだ、とは言いすぎかもしれないが、人の一生のように生まれてから死ぬまで、法律によって決められた様々な手続がある。今回は、まずその話から始めたい。
そんな導入っぽい話から始めることで“いきなり感”がやや薄まるが、そこは気にせず進めよう。

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いきなり企業法! <1.はしがきにかえて>

平山が担当した企業法の講義について授業のライブ感を出しつつご紹介しているところだが、平行して読み物形式でもお伝えしたい。これは、法律の初学者、つまりまったく法律を学んだことのない学生に対していきなり企業法を教えていた授業である。
朝の通勤電車で、試験の前に、寝る前にベッドの中で、いつでもどこでもサクサクとお読みいただけるようにまとめていければと思う。
目指せ書籍化!

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企業法・授業まとめ-第3回-

授業まとめブログ、第3回目です。

前回は、会社の設立を人になぞらえ、理解を深めていきました。
「法人格」という重要なキーワードも出てきましたね。
その「法人格」や「権利」に関連し、今回は「株式」がテーマです。

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