会社設立のお話①

株式会社の設立について書きます。

株式会社の設立形態には様々なものがあるかと思いますが今回は、発起設立で、発起人が設立時取締役に就任し、取締役会は設置せずといったシンプルなケースを中心に書いていこうと思います。

まず、会社をつくろうと思ってから、設立登記が完了するまでのおおまかな流れをご説明すると以下のようになります。

①設立事項の決定

②定款の作成

③定款の認証

④資本金の払込

⑤登記申請に必要な書類の作成

⑥登記申請

⑦設立登記完了

①~⑥までの作業としては、会社の方針を考えたり、方針の内容を書面にしたり、設立に必要な書面を作成したりといったことを行います。

そして、会社設立をご自身で行った場合どのくらい費用がかかるのかといいますと、だいたい25万+資本金の額になるかと思います。

内訳は、

定款認証のための収入印紙代 4万円
公証人による定款認証代 5万円
定款の謄本代 2千円程度(250円×定款のページ数)
会社設立登記のための収入印紙代 15万円(資本金に0.007をかけた金額が15万円以上の場合はその額)
その他費用(印鑑代など) 8千円
合計 25万円

となり、ここに資本金の額をプラスした金額を想定していただければ良いと思います。

話を戻しまして、①~⑦の設立の流れについて順にご説明します。

 

①設立事項の決定

定款を作成するに、どのような会社にしたいかといった大枠を決めておくと良いと思います。

具体的には、

a)会社の商号
b)事業目的
c)本店の所在地
d)資本金の額
e)機関設計
f)事業年度
etc
あたりを決めておくと、定款作成時にスムーズです。

a)~f)についてそれぞれ少し補足をします。

a)会社の商号
会社の商号を決めます。商号は基本的に自由に決めることができますが、いくつかルールがあります。

まず、株式会社は商号中に必ず株式会社という文字を用いらなければならないとされています(会社法6条1項)。
例: 株式会社ABC  又は  ABC株式会社

また、商号で使用できる文字には決まりがあり、

  • 日本語
  • ローマ字(大文字及び小文字)
  • アラビア数字
  • 記号(&)(’)(,)(-)(.)(・) 

使用することができます。記号については、文字を区切る役割としてのみ使用可能ということになっているので、商号の最初や最後に使用してはいけないようです。
例: × 株式会社ABC&     ○ 株式会社A,B&C

あとは、同一の商号を用いて同一の本店所在地で登記を行うことは禁止されています(商業登記法27条)。

b)事業目的
どのような事業を行うかを決めます。
すでに明確に決まっている事業はもちろん、将来行いうる事業も検討しておくと良いと思います。会社は、定款に記載してある事業目的の範囲内で事業を行うことができるため(民法34条・会社法3条)、事前に決めておく必要があります。
実際に定款に記載する際の、記載例を紹介しているサイトがたくさんあるので、調べてみると良いと思います。

c)本店の所在地
会社の本店をどこに置くか決めます。
登記が可能なレンタルオフィス(シェアオフィス)などを本店所在地にすることもできます。
※レンタルオフィス(シェアオフィス)の場合、設立後に法人名義の銀行口座を作れないこともあるようです。

d)資本金の額
資本金をいくらにするか決めます。

e)機関設計
「機関」とは、株主総会・代表取締役・取締役会・会計参与・監査役・監査役会など、意思決定や業務の遂行を行う者をいいます。
株式会社では1人以上の取締役を置かなければならず(会社法326条1項)、取締役会・会計参与・監査役などの機関は定款に定めることで置くことができるとされています(会社法326条2項)。

取締役以外の機関を置く場合、定款にて規定することが定められておりますので、どのような機関設計で会社を運営するかを決めておく必要があります。

主に設立時には、取締役会を置くか・置かないかといった機関設計を考えると良いと思います。取締役会を置くことで、株主総会の決議事項は、法律に規定する事項及び定款で定められた事項に限定され(会社法295条2項)、取締役会を置かない会社と比較して、取締役による経営判断などがスピーディーになるなどの面があるので、どのような形で会社を運営いていきたいか、と合わせて検討すると良いと思います。
ただ、全株を自分で出資して会社を作る場合には、自分一人で株主総会決議をおこなうことができるので、あまりスピードに差はないかもしれません。
※取締役会設置会社は取締役が3名以上でなければならない(会社法321条4項)と規定されているので、取締役の人数が3名に達しないときは、設置することができません。

f)事業年度
事業年度は、自由に決めることができますので、はじめは設立予定などに合わせて決めるのが良いかと思います(のちに変更することが可能です。)。
※消費税の納税義務の免除期間の関係から、設立日からまるまる1年分事業年度にできる方が良いという方もいます(資本金1,000万円以下の場合)。

 

②定款の作成
つぎに、定款を作成します。
定款とは、会社の組織と活動に関する根本規則のことをいいます。
会社の設立登記には必ず定款が必要になりますので、①で決定した設立事項等を盛り込んで作成していきます。

では、定款にはどんな記載事項があるかというと

  • 定款に記載していないと定款自体が無効となってしまう事項
    (絶対的記載事項:会社法27条)
  • 定款に記載しないかぎりその効力が認められない事項
    (相対的記載事項:会社法28条・107条2項など)
  • 会社法の規定や公序良俗に違反しないかぎり定款において規定することができる事項(任意的記載事項:会社法29条)

です。
それぞれ具体的に挙げると以下のとおりです。

■絶対的記載事項

  • 目的(会社法27条1号)
  • 商号(会社法27条2号)
  • 本店の所在地(会社法27条3号)※1
  • 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額(会社法27条4号)
  • 発起人の氏名又は名称及び住所(会社法27条5号)※2
  • 発行可能株式総数(会社法37条)※3
    ※1 「定款に記載すべき本店所在地は,最小行政区画である市町村(東京都の特別区を含み,政令指定都市にあっては市)により表示すれば足り,何丁目何番地まで表示する必要はない(大13・12・17民事1194号回答,登記関係先例集上1034頁)。(『商業登記ハンドブック第2版(18頁)』)」とされています。

    ※2 発起人の氏名又は名称及び住所は、印鑑証明書に記載の住所を記載します。
    ※3 発行可能株式総数は、定款認証時の絶対的記載事項ではありませんが、定款に記載しない場合には、会社の成立のときまでに、発起人全員の同意により定款を変更してその定めを設けなければならないとされています。ですので、定款作成時に記載することができない事情がない限りはじめから入れておくのが良いと思います。

■相対的記載事項

  • 株式の譲渡制限に関する定め(会社法107条1項1号)
  • 取締役の任期の伸長(会社法332条1項)
  • 取締役会・監査役・監査役会などの機関の設置(会社法326条2項)
    など
    ※変態設立の場合には、会社法28条に規定の事項

■任意的記載事項

  • 事業年度
  • 株主名簿の基準日
  • 定時株主総会の開催時期
  • 公告方法

絶対的記載事項は必ず記載しなければならず、あとは相対的記載事項・任意的記載事項を組み合わせて作成していきます。

先にも述べた通り、定款は会社の組織と活動に関する根本規則となるので、基本的にどのような会社にしたいかということを意識しながら作成すると良いと思います。そして、定款の記載に唯一絶対に正しいというものはないのですが、公証人による認証の際に記載方法の修正の指示がでることがあります。

実例として

  • 各条項目番号の記載は、1.のように「ドット」の記載にすること
  • 重複する内容の規定の削除
  • より一般的な記載への変更(条項の内容は変えずに記載方法の変更)
  • その他記載方法の統一

などがありました。

一般的にもこのあたりの指示が多いのかなというイメージですが、認証を担当する公証人によって修正内容に多少の差がでるそう。

また、一般的な定款として日本公証人連合が掲載している定款記載例のようなものが多いかと思いますので、参考にしつつ、必要なことを付けたしたり、不要なものを削ったりしながら作成していくと良いと思います。定款記載例リンク(日本公証人連合)

とにかく絶対的記載事項は漏れなく書きましょう!

定款の内容が決まったら、公証人に認証をしてもらわなければなりません。定款の製本の方法や、認証、認証以降のお話は次の記事で書きますので、今回はこのあたりで。

 

次回 定款の認証

 

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