資格試験アラカルト・宅建(2)~宅建試験ってどんなの?どんな勉強すればいいの?編~

宅建ブログ2回目です。今回は、

・宅建試験がどのような内容で
・それに向けてどんな勉強をしたか

について共有させていただきます。

 

宅建試験の内容

 

宅建試験は、原則として
毎年10月の第3日曜日に実施され、11月下旬に合格発表があります。
試験時間は2時間です。

試験内容は、前回も書いたように宅建業法施行規則で決まっていて

1.土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること。
2.土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること。
3.土地及び建物についての法令上の制限に関すること。
4.宅地及び建物についての税に関する法令に関すること。
5.宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること。
6.宅地及び建物の価格の評定に関すること。
7.宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること。

なのですが、教材等では、おおむね

宅建業法」(↑の7)
権利関係」(↑の2)
法令上の制限、税・その他」(↑の1、3~6)

というふうに、大きく3つにまとめられています。

 

全50問中、分野別の内訳は以下となります。

・宅建業法    20問
・権利関係    14問
・法令上の制限  8問
・税その他    8問

全てマークシート(四者択一)方式で、記述式の問題はありません。

(当然ですが)50問全部できなければ不合格、というわけではなくて、年によって異なりますが、大体31~38点くらいが合格ラインとのことです。
令和4年は36点でした。

 

ちなみに、必要な勉強時間の目安は300時間とか。

1日1時間としたら、300日=10か月 ➔12月か1月に取り掛かる必要あり
1日2時間としたら、150日=5か月 ➔5月か6月には取り掛かる必要あり

みたいな計算でしょうか。

私は、令和4年初頭に新年の抱負を考えていて
「今年は資格の勉強をしよう!」と思い立ったという次第で
受験を決めたのは令和4年1月頃でした。

インターネットで上記のようなことが分かったので、
早く始めればそれだけ1日当たりの勉強時間が短くて済む
と目論み、受験を決めたその夜からさっそく教材を探し始めました。

 

 

教材選び・対策のポイント

 

ところで、教材探しをされる方に一言。

お薦めの教材、またお薦めの勉強方法については
インターネット上にたくさん情報があります。

しかし、私の個人的な意見としては、人それぞれ、自分に合う教材や勉強は違っているので、他人の言うことをそのまま信じず、自分の五感で探した方がいいと思います(身もふたもなくてすみません)。

というのも、人それぞれ、それまでに積み上げてきた知識経験(法学部出身だったり、そうでなかったり)も違えば、生活スタイル(電車通勤だったり、専業主婦だったり)も違うからです。

ある人が、この教材でこういう時間割で勉強して受かった!と言っても
それをそっくり真似するのは、難しい上に危険だと思います。

そういう前提に立った上で
これから受験する方に、私からアドバイスできることがあるとしたら…

 

 ① 教材 余り手を広げなくても大丈夫です。
これと決めた教材に絞って、何度も繰り返してやるのがお薦めです。
 ② スケジュール管理 最終的に帳尻が合えばAll OKです。
なので、受験を思い立ったら、とりあえず一刻も早く勉強を始めましょう。
早く勉強しても試験までに忘れてしまう…という懸念は、直前に再暗記期間を設定しておけば大丈夫です。早く始めれば、その分、たとえ途中怠けてしまう時期があってもいろんな調整が効きます。
 ③ 勉強する環境作り 自分は意志が弱いと思う人は、誰か自分にとって重要な人に、「受けます」と宣言しておきましょう。

 

くらいでしょうか。
各ポイントについて、もう少し詳しく説明していきましょう。

 

 

① 教材

 

宅建は人気資格なので、受験予備校や通信講座がたくさんあり、書店に行けば、教材は選り取り見取り、どれを選んでいいか迷うくらいたくさん並んでいます。

私は最初、予備校や通信講座を調べました。

費用は安いところで数万円くらいからですが、例えば合格保証が付いていたり(不合格だったら受講料を返金してくれる。ただし、厳しい条件があります)、厚生労働省の教育訓練給付制度の対象になっていて費用の一部が支給されたり、というものもあります。

予備校や通信講座のいいところは、教材も勉強の進度管理も、全部専門家が考えてくれて、自分は与えられたカリキュラムをこなしていくだけでいい、というところかと思います。

 

幾つか調べた結果、「スマホで学べる」講座があり、テキストを持ち歩く必要がなく通勤電車の中などでも勉強ができるといううたい文句でした。
(気になる方は上記キーワードで検索してみてください)

費用も2万円程度で比較的安価だったこともあり、とても良さそうだったのですが
ごく個人的な事情として、
・乗り物の中で文字を読むと、乗り物酔いをしてしまう(本でもスマホでも)
・勉強する時間が取れそうなのは寝る直前で、寝る直前にスマホのブルーライトを見るのは避けた方が良い(不眠になる)と聞いた
ということで、こちらは断念しました。

 

結局、アナログに、紙のテキストで勉強するのが自分に合っていそうだ、という結論に至った私は、さっそく書店に行ってテキストを購入することにしました。

先ほどもお伝えしたとおり、教材が数多並んでいる中で、私は「一番売れている」テキストを選びました。
みんなが選ぶということは、選ばれるだけの理由があるのだろうと思ったし、逆に、試験委員もその本のことを意識しているだろう、とも思ったのが理由です。

いま改めて考えても、ある程度実績があるところが出版している、ある程度売れている本だったら、どれもちゃんと作りこまれているし、ぶっちゃけそれほど大差はないと思います。

だったら、あとは自分の好みです。

試験までの長丁場、ずっとお付き合いするテキストですから、例えば読んでいて言い回しがなんとなく気に障るとか、カラフルすぎて目がチカチカするとか、そういう些末な理由でストレスを感じることがないよう、書店で実物を見比べて「私はこれが好き」と思うものを選ぶのが一番だと思います。
(ネット購入は、実物が届いたらイメージが違ったということが発生しやすいです。もし事情が許すのであれば、リアル店舗をお薦めします。)

 

私は、学生時代に参考書を購入しても、一つ説明を読んでも分からない箇所があったりすると「本当にこの本でよかったのかな、別の本の方が分かりやすいのでは」などと迷ってしまい、別の本を買い直したりしていました。
例えば歴史だったら、原始時代ばっかりいろんな本で何回も勉強して、最終的に時間が足りず現代史までたどり着かない、という感じになりがちでした。

そのため、今回は「いろんな教材に手を出さない、最初に選んだ1冊に賭ける」と決めて、テキスト1冊と問題集1冊しか使いませんでした。
ただ、一人の筆者、一つの会社の見解だけに全て頼るというのはやはり怖いと思ったので、テキストと問題集はあえて別の会社のものにしました。
これも一長一短で、同じシリーズのテキストと問題集を併用した場合は、相互に参照ページが書いてあるなど調べ物がしやすい、という意見もあるようです。

私は、最初にテキストを読んだ時は理解があやふやだったところが、次に問題集を解いてみたら別の観点から解説がされていて、「テキストに書いてあったあれは、こういうことだったのか!」という気付きをしたことも結構あったので、教材を絞り込もうと考えている方には、あえて別シリーズにしてみることもお薦めします。

プラス、条文が見たいときはインターネットの「e-Gov法令検索」で検索しました(法令の名称を検索すると大体最初に表示されるページです)。
現在生きている条文が無料で読めるのでお薦めです。
(個人的には、業務でも頻繁に利用するので書籍版六法より馴染みがありました)

 

 

② スケジュール管理

 

試験範囲が広いため、行き当たりばったり・成り行き任せでは、どんな結果になるか分かったものではありません。
やっぱり、計画を立てて取り組む必要があります。

受験予備校や通信講座を利用される方は、ちゃんとプロが試験日に間に合うようなプログラムを組んでくれますので、お任せで良いと思います(こういうノウハウに、お金を払っているわけですから)。

独学の方は、ここを自分でやらないといけません。

まあ、労力はかかりますが、その分「自分のことを一番知っている(はず)というメリットを生かして、自分専用のプログラムが組める」とも言えるので、またまた一長一短かもしれません。

 

私は独学だったので、まずは全体のスケジュール感をつかもうと、早い時期にテキストを買い、理解しようとか暗記しようとかせず、とりあえず試験範囲全体を一通り読んでみました。
ここで、自分のこれまでの知識がどれくらい使えそうか、新しく覚えなくてはいけないことはどれくらいあるか、といった感触をつかみ、
「合格するには、自分は、これくらい頑張らないといけないようだ」
というレベル感をざっくりと見積りました。

その結果、

「権利関係」については過去に少し勉強したことがあり、しかも業務でも日常的に触れているので、ここは復習程度でよさそうだな
「宅建業法」は読んだことがないし、主要科目で出題数が多いため、ここに力を注いだ方がよさそうだな
「法令上の制限や税制その他」は、理解というよりは暗記が主のようなので、試験が近くなってから短期集中でやるのがよさそうだな

みたいな、ふわっとした感触を得ました。

 

その次に必要になるのは具体的な計画ですが、私は
・平日は〇時から〇時まで勉強する
・何月には〇〇の科目を終わらせる
のような計画はあえて作りませんでした。

というのも、経験上、計画を立ててそのとおりにできたことがないし、自分にプレッシャーを掛け過ぎたくないと思ったからです。
プレッシャーを感じすぎて、法律の勉強をすることに嫌悪感を感じるようになってしまったら、かえって仕事にも差し障りが出てしまう、それは本末転倒だと思いました。

私が決めた計画?(と言えるかも疑問ですが)は、

・毎日、ちょっとでもいいから宅建の本を読む

・試験の1か月前までに、テキストと問題集を少なくとも3回は繰り返し読む

・試験の1か月前になったら集中的に暗記をする。それまでは数字等細かいところは覚えようとしない

という、はなはだ緩いノルマを課すものでした。実際のところ、

平日夜は、
寝室に移動するときにテキストか問題集を持っていき、布団に入って読む
⇒10分もすると、寝落ちしそうになるので、本を閉じて就寝

休日は、
ソファでゴロゴロするときにテキストや問題集を横に置いておき、
気が向いたら読む

という感じで、1日当たりの勉強時間は短かったのですが、その分、勉強が嫌になることはなく、計画どおりに進まない!と焦った挙句に全部放り投げてしまうようなこともなかったため、ゆるーく続けることができました。

 

そして、試験の1か月前。

勉強を続けてはいたものの、数字等、細かい部分の暗記を後回しにしていたこともあって、問題集が全然解けず危機感を覚えました。

しかし、ここで急に「1日5時間やる!」とか決めても、絶対無理なのは分かっていたので、冷静に自分の集中力を見積もりました。

1回15分なら集中できて、取り掛かるのに必要な意思の力も少ないだろうと判断し
「最低でも1日15分を4コマやろう、できなかったら翌日に回してもいいし、できそうならおまけでコマ数を増やそう」
という、これまたゆるーいノルマを課すことにしました。

気分が乗らないときでも、「まあ、15分だし…」ということで、しぶしぶでも取り掛かることができ、始めると意外に気分が乗って気が付いたら30分経っていた、みたいなことも結構ありました。

科学的に証明されている「やる気スイッチ」があって、それは

「気が乗らなかろうが心の準備が整っていなかろうが、
何でもいいからとにかく作業を始めること」

 
だそうです。やっているうちにだんだん脳に刺激が伝わり、脳が興奮して、やる気が出てくるのだとか。

 

つまり、
「準備が整う⇒やる」ではなくて
「やる⇒準備が整う」という
何というか、逆説的?なことが分かっているそうです。そのため、

気分が乗っている時に集中して勉強するのが一番効果的に決まってる!
…今は気分が乗っていないから、後でやろう

ではなく

今は気分が乗らない。
…でもまあ、ともかく本を開くだけでも開くか

と、行動することが必要なんですね。

そこでプラスしてお薦めなのが、
気分が乗らないときでも「まあ、これくらいならできそうかな」と思えるよう、例えば「1コマ15分」のように、最初のハードルを下げておくことです。
(こういうのも「スモールステップ」といって、教育現場や医療現場でも、習慣化のために使われているテクニックの一種かもしれません。)

もちろん「簡単すぎる目標では燃えない!」という方もいらっしゃるでしょう。
また、ハードルを下げすぎると、どう計算しても試験日までに範囲が全部終わらない、などということになってしまうことも考えられます。

結局重要なことは、自分の生活状況・性格・能力を、冷静かつ正確に見定めた上で、試験までに残された時間との兼ね合いを見据えつつ、自分にとって最適化された計画を練ることです。

留意点は、「現実的」な計画を立てること。
計画を立てる時は、あれもやりたいこれもやりたい、一日○時間は勉強すべき、などと考えて「理想的」な計画を立ててしまいがちですが、ここでぐっと気持ちを抑えることが大切です。

絵に描いた餅では、どんなに美味しそうでも、現実にお腹は膨れないですよね。

 

 

③ 勉強する環境作り

 

長丁場なので、途中で計画が滞ってしまい
「やっぱり駄目かも」「来年にしようかな…」
などと弱気になってしまうことも起こってしまいがちです。

そういうときに、あらかじめ周囲に「今年宅建を受験します」と宣言しておくことで、「でも、あの人に今年受けるって言っちゃったしなあ…」という感じで、放り投げるのを思いとどまらせてくれます。

ここでのポイントは、
自分にとって近しすぎる存在の人では効果がないということ。

「私、受験するんだ~」と宣言しておいても、後日「やっぱ止めた」と言いやすく、「ほんとにこの人はしょうがないね~」と受け入れてくれる存在ではストッパーになってもらえません。
例えば上司や、義両親など、「気が置ける」(気遣いが必要な)存在に、宣言しておくと良いと思います。

実際、私も事務所の弁護士に受験することを伝えていたため、試験までに勉強が間に合わないかも、止めようかなと不安な気持ちになった時に、「でも、先生に受けるって言っちゃったし…」と、何とかこらえて続けることができました。

 

◇ ◇ ◇

 

以上、いずれも、意志が弱いことを前提とした勉強方法についてお伝えしました。

向学心に燃えている方には、怒られてしまいそうですが
「これくらい意志が弱くて緩くしか勉強できなくても、何とかなりますよ」
という一例として、参考になると嬉しいです。

長くなってしまったので、実際の試験の様子については、次回お伝えします。
では。

 

(参照:一般財団法人不動産適性取引推進機構HP

資格試験アラカルト・宅建(1)~「宅建」って何?編~

はじめに

 

タイラカ総合法律事務所事務員です。

このたび、「宅建」資格を取得しました。

「宅建」は、国家資格の中で受験者数が最も多いそうで、
合格体験記等もインターネット上に数えきれないくらいあります。

そんな中でも、あまり「典型的」ではないケースとして、何かのご参考になればと思い、何度かに分けて体験を共有させていただきます。

(※なお、本稿は令和4年度の資格試験制度に基づく記載です。最新の制度は異なる可能性がありますので、必ず試験団体のホームページ等によりご確認ください。)

 

 

宅建とは

 

さて、改めまして「宅建」です。

その存在については広く認識されているのではないかと思うのですが、

「ところで、宅建に受かると何ができるの?」
と改めて質問されると、

「さあ?」
となってしまう方が多いのではないでしょうか。

 

正式名称は、「宅地建物取引士資格試験」といい、
合格すると、「宅地建物取引士」(通称「宅建士」)になることができます。

 

この辺り、少しややこしいのですが、

宅地建物取引業(ざっくり言うと、不動産の売買や貸借の媒介などを、事業としておこなうこと)を営むためには、

・国土交通大臣(複数の都道府県にまたがって事業をする場合)
・都道府県知事(一つの都道府県内でだけ事業をする場合)

いずれかの「免許」を受けなければならないのですが、その免許を受けるためには、事務所ごとに、従業員5人に1人以上の割合で「宅地建物取引士」を置かなければならない、とされているのです。

またまたざっくり言うと、

宅建=不動産業者等に就職して(又は個人事業主として)
不動産取引のうち、専門知識が必要とされる業務に従事するための資格

という感じでしょうか。
宅建士じゃないとできない(したら罰則が科される)業務もあります。

それが、

① 重要事項の説明
② 重要事項説明書への記名
③ 契約書への記名

この3つです。

 

 

宅建士にしかできない業務

 

・・・と言われても、
①重要事項の説明ってナニ?という方もいらっしゃるでしょう。

この「重要事項説明とは何か」というのも、実は宅地建物取引業法(宅建業法)で決まっていて、宅建試験で必ず出題されるところだったりします。

 

まあ、読んで字のごとく
「重要事項」を「説明」することなんですが(まんまですね)
これを5W1Hに分解してみると、

When(いつ)
契約が成立するまでの間に、

Where(どこで)
(特に制限なし。オンラインも可)

Who(誰が)
宅建業者が、宅建士をして
(Whom(誰に):買い手・借り手になろうとする人に、

What(何を)
その不動産の現在の所有者の名前や、その不動産上に建築基準法等の法令による制限(建築できる建物は高さ何メートル以下、など)があるかどうかとその制限の内容、電気ガス水道が整備されているかどうか、などなど、買ったり借りたりする前に知っておく必要のあることを、

Why(なぜ)
(宅建業法にはっきりと書いてあるわけではありませんが、不動産取引は高額である上に、一般的には一生に数回程度しか経験しないものであるところ、悪徳業者に、買い手・借り手の経験が少ないことに付けこんだ不当な取引をさせないため、です。)

How(どのように)
説明を記載した書面(※)を交付して、口頭でも説明する
(相手も宅建業者の場合は、書面の交付だけでよい)

※ちなみに、書面のひな形は、こんな感じです(国土交通省HPより)。
ものすごく長くて、見るだけでうんざりしてしまいそうですが、「不動産を買ったり借りたりするんだったら、これくらいは知っておけ」ということなんですね。

   

となります。
上記でハイライト付したところが、宅建士でないとできないところです。

重要事項説明の時に交付する書面=「重要事項説明書」に、
「説明をする宅地建物取引士」として記名し(←②)、
実際に説明する(←①)
ことになります。

 

もう一つの、③の「契約書」については、
「日常生活で見たことがある」「ハンコを押したことがある」
という方が多いのではないかと思います。

法律(民法)上は、売買契約や賃貸契約は当事者の合意によって成立するとされているので、不動産の売買や賃貸契約も、「契約書」がなくても成立します。

ただ、そうは言っても、不動産取引のように高額で、しかも内容が複雑な契約を口約束でおこなってしまったら、後日「言った」「言わない」「説明したはずだ」「聞いてない」のように、トラブルになる危険性が高いので、通常は「契約書」を交わします。

もしも「契約書」を交わさなかったとしても、宅建業者は、契約内容を記載した「書面」(宅建業法の37条に規定があるので、「37条書面」と呼ばれます。)を当事者双方に交付しなければならないことになっています。

宅建業者は、その書面(一般的には、「契約書」に、「37条書面」に記載しなければいけないことを全部記載して、「契約書兼37条書面」とすることが多いようです)を作成して、これに、宅建士をして、記名させなければならないと決められています。

(余談ながら、私が勉強した時は、重要事項説明書も37条書面も、宅建士の「記名押印」が必要とされていたのですが、デジタル改革の一環として宅建業法が改正され、2022年5月から押印は不要となり、「記名」だけになりました。
こういうことがあるので、教材は最新のものを使った方が良いです。)

 

 

「宅建」を選んだ理由

 

ここまでをまとめると、「宅建」は

・不動産業者で働いている人
・仕事で不動産取引をおこなう人
(例えば、各地の不動産を買ったり借りたりして新規出店する外食産業チェーンなど)

のための資格と言えそうです。

 

そうだとすると、

法律事務所で働いていながら、どうしてこの資格を取得しようと思ったの?
何かの役に立つの?

と聞かれるかもしれません。
その答えは、試験科目を見て決めました、となるでしょうか。

 

宅建の試験内容は、宅建業法施行規則で、7項目規定されているのですが、
ものすごく大雑把にまとめてしまうと、

① 宅建業法
② 民法等の、不動産の権利関係の部分
③ その他の法令の、不動産に関する制限(売買するときは届出が必要とか)や不動産に関する税制の部分

となるかと思います。

 

現在までのところ、弊所において、
①③の宅建業法に関する業務等には、ほぼ従事したことがないのですが
(一度だけ、不動産を購入したクライアントさんから、クーリングオフが可能かどうか調べてほしいとのご依頼があり、条文等を調べたことがあるくらいです)

②の民法等(借地借家法などの特別法も含むため、「等」としています)の権利関係についての条文には、業務で、日常的に触れています。

そこで、②について勉強することで、民法的な考え方が身に付いて、日常業務にも役立つのでは?と期待して、チャレンジすることにしたのでした。

(その他、難易度等の関係もありますが。
ほかに弊所の業務に関係しそうな資格で思いつくものといったら、司法書士とか社会保険労務士とか、超難関資格しか見付けられなかったので・・・。
ちなみに、令和4年の宅建試験結果は、試験団体の発表によりますと、
申込者数283,856人
合格者数38,525人
合格率17.0%
だそうです。まあまあ、何とかなるかも、と思える数字ですよね。)

 

◇ ◇ ◇

 

というわけで、
今回は「宅建」って何?というところについて、ざっくりお話しました。

次回は、宅建試験に向けてこんなことをやりました、実際の試験はこんな感じでした、というところをお話したいと思います。

では。

 

(参照:一般財団法人不動産適性取引推進機構HP

法律で読み解く百人一首 1首目

自分には解決出来ず、長い間頭を悩ませている問題を
他の人が、あっさり解決してくれた時。
爽快な気持ちになったという経験は、誰にでも一度はあることでしょう。

自分が得意とすることが、他の人にとっては不得意であったり、
また逆に、自分には出来ないことが、他の人にはいとも簡単に出来てしまったり。

人にはそれぞれ、得手不得手があります。
しかしそれもまた、個性の一つと言えるのではないでしょうか。

直面する問題が、自分の人生を左右するものであった場合、自分の代わりにあの人が解決してくれたら、どんなに楽だろう、、と感じることもありますが、時と場合によっては、これが問題になることも。。

 

そこで、本日ご紹介する歌は…

【本日の歌】

「秋の田の  かりほの庵の  苫をあらみ

                 わが衣手は  露にぬれつつ」  

天智天皇

「あきのたの かりほのいほの とまをあらみ 

                    わがころもでは つゆにぬれつつ」

                   てんぢてんのう (てんじてんのう)

 

小倉百人一首 100首のうち1首目。
飛鳥時代(592年 – 710年)の天皇・天智天皇の歌となります。

 

歌の意味

 

「秋の田の側に作った仮小屋に泊まったところ、屋根を吹いた苫の目が粗いので、その隙間から、冷たい夜露が忍び込んできて、私の着物の袖をすっかり濡らしてしまっているなぁ」

かりほの庵(仮庵):農作業のための粗末な仮小屋のこと。
秋の刈入れの際には、刈入れた稲が獣に荒らされないよう、ここに泊まって番をすることがありました。

苫:藁(わら)やイグサ等で編んだ「莚(むしろ)」のこと。
寂しさや、侘(わび)しさ、貧しさ等を連想させる語として、歌では多く用いられています。

小倉百人一首100首のうち1首目としても有名なこの歌。
天智天皇といえば、誰もが一度はその名を聞いたことがあるのではないでしょうか。

小倉百人一首の歌番号(和歌番号)とは、実は、歌の詠まれた年代順(古い歌人から新しい歌人の順)に付されており、1首目の天智天皇(626-672)から100首目の順徳院(順徳天皇・1197-1242)まで、およそ550年間にも及びます。 

それ故、本日ご紹介する歌の作者、天智天皇とは、百人一首の登場人物の中では、最も古い時代の歌人となります。

 

作者について

 

天智天皇(てんじてんのう・626-672)

日本の第38代天皇であり、中大兄皇子(なかのおおえのおうじ・なかのおおえのみこ)としても知られています。

43歳で即位し、その在位は10年に及びました。
斉明天皇を母とし、藤原鎌足(中臣鎌足)と共に豪族・蘇我氏を討ち、大化の改新をおこなったことで有名です。

「大化の改新」とは、645年に始まった日本の国政改革。

私有地の廃止、統一的な税制の実施等、中央集権的支配体制の形成を目指したもので、従来の豪族中心であった政治から、大化の改新を境に、天皇中心の政治が始まりました。
そしてここから、「日本」と言う国号、「天皇」という称号、そして日本の最初の元号である「大化」が始まったとされており(それ以前は「天智天皇●年」のように、元号として天皇の名前が付されていました。)、日本の歴史が大きく動き出した転換点といわれています。

天智天皇は、このような偉業を成し遂げた人物であることから、時を経て、百人一首が作られた平安時代においても、日本の基礎を築いた偉大なる天皇として、なお絶大な人気があったようです。

加えて、天智天皇は「万葉集」や「日本書紀」などにもその歌が記されるなど、才能豊かな歌人でもありました。


ところで。

百人一首の歌には、四季が織り込まれていますが、本日の歌に詠まれている季節は、文字通り「秋」となります。
実は、百人一首で詠まれている季節の中では秋が最も多く、その数は16首。
侘び寂びを大切に思う日本人の感性には、もしかしたら秋の持つイメージが一番合うのかもしれません。

「秋の田の  かりほの庵の  苫をあらみ わが衣手は  露にぬれつつ」

改めてこちらの歌を詠んでみると、
周りを田に囲まれ、四方から隙間風が吹き込むほどの、荒れ果てた仮小屋の中心に、衣を冷たい夜露で濡らし、天皇ともあろう高貴なお方が、一人でおられるお姿が目に浮かびます。

あまりにも有名な歌ながら、なんと寂寥感の漂う歌でしょうか。
これは、本当にあの天智天皇が詠んだ歌?
天皇という高貴な身分の方に、この歌のイメージが全くそぐわない。。

というのも、実はこちらの歌
本当の歌人(作者)は天智天皇ではない、というのが通説とされているようです。

ということは、誰かが「天智天皇」になりすまして詠んだ、ということでしょうか?

そこで…

 

 

私文書偽造と事実証明に関する文書

 

「他人になりすます」と言って思い浮かぶことのひとつに、
いわゆる「替え玉受験」があります。

「替え玉受験」とは、大学入学選抜試験において、別の人物が受験者本人に成りすまして試験を受けるというもの。
つまり、入学試験において、受験者本人名義の試験の答案を、別の人物が本人に成り代わって作成し、それを本人が作成したものとして提出する行為とされています。

 

この「替え玉受験」は、受験者本人と、別の人物である答案作成者双方の合意の上でなされる行為であるところ、本人の承諾を得た上で、別の人物が答案を作成したとしても、文書偽造に当たるのでしょうか。

受験者の代わりに、「替え玉」受験生が答案を作成して、受験者のものとして提出したことが、有印私文書偽造、同行使に該当するか否かが争われ、この入学選抜試験の答案が、刑法159条1項にいう「事実証明に関する文書」に当たるかどうかが問題となった事件があります(最三小決平成6年11月29日)。

(私文書偽造等)
刑法159条1項
「行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。」

 

この事件で、最高裁は

「本件入学選抜試験の答案は、試験問題に対し、志願者が正解と判断した内容を所定の用紙の解答欄に記載する文書であり、それ自体で志願者の学力が明らかになるものではないが、それが採点されて、その結果が志願者学力を示す資料となり、これを基に合否の判定が行われ、合格の判定を受けた志願者が入学を許可されるのであるから、志願者の学力の証明に関するものであって、「社会生活に交渉を有する事項」を証明する文書(最高裁昭和33年9月16日)に当たると解するのが相当である。したがって、本件答案が刑法159条1項にいう事実証明に関する文書に当たる」

と判断しました。

大学入学選抜試験の答案は、受験者の学力の証明に関する文書であって、
いわば受験者本人であることを証明するもの。

入学試験の結果は、その時の、受験者本人自身の学力を示す資料であり、答案の作成者は本人であることが前提とされていることから、本人以外の作成は認められておらず、「社会生活に交渉を有する事項」を証明する文書に当たります。
これはすなわち、刑法159条1項にいう「事実証明に関する文書」に当たるとされ、例え本人から承諾を得たとしても、他人が本人になりすまして作成した入学選抜試験の答案は偽造された文書となり、「替え玉受験」は私文書偽造罪に当たるとされたのです。

 

◇ ◇ ◇ 

 

本日の歌
「秋の田の  かりほの庵の  苫をあらみ わが衣手は  露にぬれつつ」

本来は万葉集の「詠み人知らず」の歌であったものが、天智天皇の歌とされたのは
「天智天皇は、貧しさに苦しむ庶民の姿と、ご自分のお姿を重ね合わせ、庶民と苦しみを分かち合ってくださっている、、」
というお話が伝わるうちに、いつしか、この歌は実際に天智天皇が詠まれた歌であるとの噂が広まったからだと言われています。

また一説には、天智天皇が御所の庭を散歩されていたところ、庭の草花にかかる露をご覧になり、「この夜露では、さぞかし庶民もつらい思いをしているだろう」と、庶民に思いを馳せられ、天智天皇自らこの歌を詠まれたのだとも伝えられています。

 

素晴らしい歌とは、時代を超えて、人々の心に響くもの。

「詠み人知らず」である一庶民が、もし、天智天皇の承諾を得た上で、天智天皇の歌としてこの歌を世に出したのだとしたら。。

そんな想像をしてみるのも、また歴史の楽しさのひとつかもしれません。

 

  文中写真:尾崎雅嘉著『百人一首一夕話』 所蔵:タイラカ法律書ギャラリー

六法全書クロニクル~改正史記~平成7年版

平成7年版六法全書

 

この年の六法全書に新収録された法令に、
製造物責任法(平成6年法律第85号。通称:PL法)
があります。

「製造物」の「欠陥」が原因で損害を被った場合に
被害者が「製造業者等」に対して損害賠償を求めることができる
ことを規定した法律です。

損害賠償を求めようとする場合、一般的には
民法709条(不法行為による損害賠償)の規定

故意又は過失によって
他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、
これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

によることになるのですが、

この場合、被害者(ユーザー)は、加害者(メーカー等)に故意・過失があったことを証明しなければなりません。

しかし、専門知識のない消費者が、故意・過失を証明することは、困難です。

そこで、損害賠償責任を追及しやすくするために、
「製造業者等に過失(主観的要件)があったこと」ではなく、
「製造物に欠陥(客観的要件)があったこと」を証明すれば、
損賠賠償を認めることとしたのが、PL法です。

 

もう少し具体的に言うと、
「メーカーの設計や製造過程にミス(過失)があって、損害が生じた」
ことを証明しようとした場合、

メーカー側が
「自分たちは十分に注意して作っていた、結果的に損害が生じたとしても、自分たちのせいではない」と言い張ると、

被害者側としては、
「メーカーが十分注意していなかった証拠」を提出しなければならないのです。

しかし、「注意していなかった証拠」と言われても、難しいですよね…
(工場で製造過程をずっと見張っていた訳でもないですし。)

一方、「製品に欠陥があったこと」の証明であれば、実際にその製品を示して
ここに突起がある、
だから刺さってケガをしたんだ、
などと欠陥(安全性を欠いていること)を証明しやすいと思いませんか?

そのような方法で、消費者側の保護を図っているのです。

先ほどもお伝えしたとおり、この法律の対象となるのは「製造物」の「欠陥」が原因で損害を被った場合で、損害賠償の相手方となるのは「製造業者等」ですが、
「製造物」とは、「製造又は加工された動産」のことで、不動産や電気、ソフトウェア、未加工の農林水産物は対象となりません。

「欠陥」とは、「通常有すべき安全性を欠いていること」で、
いろいろな事情を総合的に考慮して判断されます。


さて、「欠陥」の分類の一つに「指示・警告上の欠陥」という類型があります。
製造物から取り除くことが不可能な危険がある場合に、その危険に関する適切な情報を与えなかったときなどがこれに当たるとされています。
例えば、取扱説明書の記述に不備がある場合などが該当します。

PL法施行以降、例えば製品を包んでいるビニール袋に
「被らないでください。窒息のおそれがあります。」などと、
どうしてこんな注意書きが?
普通、そんなことはしないのでは?
と不思議に思うような注意書きが書かれているのを、よく見かけるようになりました。

あれは、この「指示・警告上の欠陥」をなくそうとしているせいなのですね。

しかし、あまりにもたくさん注意書きが書いてあると、かえって読むのが困難になったり面倒くさくなったりして、事故につながってしまうような気さえします。

製造者側としても、訴訟リスクを考えると、記載せざるを得ないのでしょうが…
本当に必要な注意がきちんと消費者に届くよう、そこにも注意を払っていただきたいものです。

 

◇ ◇ ◇

 

改正された法令として収録されたものとして、
商法(明治32年法律第48号)
があります。
(平成6年法律第66号「商法及び有限会社法の一部を改正する法律」による改正) 

この時の改正の目玉は「自己株式取得の緩和」でした。

株式会社は、自分が発行した株式を取得し、所有することができます。
これを「自己株式」というのですが、実はこの平成6年改正より前、日本の商法はごく例外的な場合(合併のときなど)を除き、原則として自己株式の取得を禁止していました。

というのも、自己株式の取得を認めれば以下のデメリットがある
と考えられていたからでした。

①「資本維持の原則(※)」に反するおそれがある
(※:株式会社を立ち上げる時、出資を募って資本金を集めますが、この集めたお金を、別のことに使ってしまわず、会社に維持しておかなければならないという原則)

②相場操縦やインサイダー取引に利用されるおそれがある

③「株主平等の原則」に反するおそれがある
(特定の株主からだけ自社株を買うと、それ以外の株主との関係で不公平になることもある)

④経営者が、会社のお金で自己株式を買って多数派工作をおこなうなどの、不正に使われるおそれがある

他方、経営側の立場からは、弾力的な企業経営のために自己株式の取得を認めてほしい、という要求がかねてからなされていました。

ごく単純化すると、自己株式の取得には、

会社が自己株式を買う
 ↓
市場に出回るその会社の株式の数が、その分少なくなる
 ↓
計算上、その会社の1株当たりの利益が増える
(自己株式には利益が配当されないため、計算から除外される。割る数が小さくなるので、利益の額が変わらなくても、計算結果(商)は大きくなる。)
 ↓
「会社の業績が良くなった」ように見えるので、株式市場で、その会社の株価が上がる

というメリットもあるのです。

先ほども述べたとおり、日本の商法はこのうちデメリットの方を重く見て、自己株式の取得をほとんど認めてきませんでした。
しかし、1990年代にバブル崩壊によって急激に株価が下がったことなどもあって、株式市場活性化の観点から、取得を緩和する方向に舵がきられたのでした。

 

平成6年の改正では、自己株式の取得・保有について、原則的には禁止を維持しながら、例外的に取得できる事由を、新たに4つ追加しました。

1. 使用人(従業員)に譲渡するための取得
2. 消却(株式を消滅させること)目的の取得
3. 閉鎖会社(その株式が市場で流通しない会社)の自己株式消却の特例
4. 有限会社の自己持分の取得

このうち、特に注目を集めたのは、1.と2.でした。
1.は従業員持株制度を後押しするためのもの、
2.は先ほどメリットの点で説明した、株式の数を減らし、1株当たりの利益を上げるためのものです。

ただ、
1.では、保有期間を6か月に限定
2.では、株主総会決議が必要とされた
などの制限がかけられていたことから、これら制度の利用は限定的なものにとどまりました。

そのため、その後も
・平成9年のストックオプション制度導入
・平成13年の金庫株(自己株式を消却せずに金庫にしまっておき、株価が上がったらまた市場に放出する)の解禁
などの改正が重ねられることとなりました。

しかし、そうではあっても、この平成6年商法改正は、それまで厳格な姿勢を崩そうとしなかった商法が初めて経営側に歩み寄った、画期的な改正であったと評価されています。

日常的に株取引をされている方には常識なのかもしれませんが、そうでない方にとって、“会社が自分の株を買う”というのは、あまり馴染みのない事象ではないでしょうか。
“自分で自分に出資する”なんて、(言葉が適切かどうか分からないのですが)なんだかマッチポンプ?のような印象を受けます。

今も一定の規制は残っているようですが、これまでお伝えしたように、ある程度会社の利益を多く見せる、といった操作もできてしまうようです。
そんなことができるのを知らないと、やけどすることにもなりかねません。

生活していく上で、法律の知識って大切なんだな、と思います。

法律で読み解く百人一首 68首目

いつ終息を迎えるともわからないコロナ禍の現在。今ほど健康に関する意識が高まっている時代はないでしょう。

ひとたびメディアで、ある商品が「免疫力を高める」、「健康に良い」、「●●の症状に効果がある」等「健康」に結びつくとの紹介がなされれば、その商品は瞬く間に店頭から消えてしまう、という現象が起こることも珍しくありません。

「健康」にまつわる商品やサービスが巷に溢れかえっている現代社会においては、私たち消費者としては、何を信頼し、また何を基準にして選択すれば良いか、というのが一番難しいところではないでしょうか。

商品も情報も溢れている状況の中で、優れたキャッチコピーとは、いつの時代も私たちの心を惹きつけるものです。

商品やサービスがどのようなものか、詳しくは知らなくても、魅力的なキャッチコピーだけでつい目が留まり、心が動いてしまうことはないでしょうか?

とはいえ、そのキャッチコピーは、果たして正確か否か、というのはまた別の問題となりますが。。

 

そこで、本日ご紹介する歌は…

【本日の歌】

「心にも あらでうき世に ながらへば

                 恋しかるべき 夜半の月かな」

三 条 院

「こころにも あらでうきよに ながらへば

                    こひしかるべき よはのつきかな」

                             さんじょういん

 

 

小倉百人一首 100首のうち68首目。
平安時代の天皇・三条院(三条天皇)の歌となります。

 

 

歌の意味

「(望みのないこの世ではあるけれど)心ならずも、この辛い浮き世を生き長らえたならば、きっと、この宮中で見た夜の月が、恋しく思 い出されることであろうなぁ。」

心にも あらず:本心ではないけれど
うき世にながらへば:浮き世・憂き世・現世(=儚い世、辛い世)を生きながらえたならば

この歌は、眼病を患っていた三条院の病状が悪化しつつある中
譲位の決意を固めたところ、宮中にて、明るい月の光を目にして詠んだ歌です。

この歌が詠まれた裏にあったものは、美しい月の光とは対称的な、三条院の心の深い闇。闇が深いほど、光はより美しく輝くものかもしれません。

その生涯を紐解いてみると、三条院にとって、現世を生きることがいかに辛かったかが伝わってきます。

 

作者について

 

三条院(さんじょういん・976-1017)

冷泉天皇(れいぜいてんのう)の第2皇子・居貞(いやさだ)親王であり、日本の第67代天皇(在位:1011年7月16日- 1016年3月10日)です。

母は藤原兼家の長女・贈皇太后超子。
その母をわずか7歳で失い、父帝・冷泉上皇は精神病を患っているという境遇で育ち、後見が薄弱でした。
986年7月16日、11歳で皇太子となったものの、25年後の1011年、36歳にてようやく即位することとなります。

やっとのことで即位したのも束の間、3年後の1014年に三条院は眼病を患います。
伝えられるところによると、これは「仙丹」の服用直後のことといわれています。


三条院が服用したこの「仙丹」とは、中国において古代より、服用すると不老不死となり、ついには仙人になれるといわれた霊薬です。
錬丹術という、中国の道教の術によるものですが、原材料には毒物の硫化水銀・硫化砒素が大量に含まれており、実際は人体に有害でした。

古代より、水銀は不老不死や美容などに効果があると妄信されていたことから、秦の始皇帝は永遠の命を求め、水銀入りの薬や食べ物を摂取していたことによって、逆に命を落としたとも言われており、他にも多数の権力者が、同様に水銀中毒で死亡したと伝わっています。

眼病を患った三条院に対し、時の権力者・藤原道長は、その眼病を理由に譲位を迫りますが、実際は、眼病が理由なのではなく、前天皇の一条院と自分の娘・彰子(しょうし)との間にできた皇子を即位させ、自分は摂政として政権を掌握するためであった、というのが裏の理由と言われています。

道長による圧力や権力闘争に疲れ果てた三条院は、眼病が悪化し失明寸前となり、ついに退位を決意します。

そのときに詠んだのが、この歌でした。


もともと病弱であったためか、心身ともに疲れ果ててしまった三条院。
在位わずか6年で、道長が勧めるまま、後一条天皇に譲位し(実際は皇位を奪われた状態)、その翌年、1017年に出家し42歳で崩御してしまいました。

短い在位の間に、眼病、病状が悪化する中、道長からの絶え間ない退位の圧力に加え、内裏が2度も焼失するなど、苦難に満ちた生涯でした。

「不老不死」との効果があるとのことで「仙丹」を服用したことで、眼病となり、
失明寸前まで病状が悪化した挙げ句に、それを口実として天皇の座を奪われる。。

というのも、三条院はたびたび物の怪や天狗に襲われているとのことで、患っていた眼病は、三条院に深い恨みのある僧侶が物の怪になってとりついたせいだとの噂も流れていた、とのこと。

実際のところはどうなのでしょうか。。

 

 

 

表現の自由と広告の制限

 

さて・・・

古代では、「不老不死」とのキャッチコピーで、時の権力者たちが「仙丹」を服用したように、現代では、「健康」に関する様々な情報を選択する際、どのような「効能」があるかを、判断基準の一つとすることもあるのではないでしょうか。

ところが、この「効能」についての広告に関して
憲法21条の「表現の自由」を侵害するか否か
について争われた事例があります。(最判昭和36年2月15日

 

きゅう業を営む男性が、きゅうの適応症であるとした「神経痛、リヨウマチ、血の道、胃腸病等」の病名を記載したビラを、各所に配布した行為は、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法第7条に違反するとして、起訴されました。

男性はこれに対し、

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(それぞれの資格の頭文字を取り、「あはき法」との通称があります。)7条及び柔道整復師法24条による広告の禁止は、憲法21条により保障される、表現の自由を侵害するものである、として争いました。

(憲法)
第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(通称:あはき法))
第7条 あん摩業、マツサージ業、指圧業、はり業若しくはきゆう業又はこれらの施術所に関しては、何人も、いかなる方法によるを問わず、左に掲げる事項以外の事項について、広告をしてはならない。
1 施術者である旨並びに施術者の氏名及び住所
2 第一条に規定する業務の種類
3 施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
4 施術日又は施術時間
5 その他厚生労働大臣が指定する事項

(柔道整復師法)
第24条 柔道整復の業務又は施術所に関しては、何人も、文書その他いかなる方法によるを問わず、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない。
1 柔道整復師である旨並びにその氏名及び住所
2 施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
3 施術日又は施術時間
4 その他厚生労働大臣が指定する事項

あはき法7条及び柔道整復師法24条による広告の禁止は、憲法21条により保障される表現の自由を害するか否かにつき、裁判所は

「そして本件につき原審の適法に認定した事実は、被告人はきゆう業を営む者であるところその業に関しきゆうの適応症であるとした神経痛、リヨウマチ、血の道、胃腸病等の病名を記載したビラ約7030枚を判示各所に配布したというのであつて、その記載内容が前記列挙事項に当らないことは明らかであるから、右にいわゆる適応症の記載が被告人の技能を広告したものと認められるかどうか、またきゆうが実際に右病気に効果があるかどうかに拘らず、被告人の右所為は、同条に違反するものといわなければならない。」

「しかし本法があん摩、はり、きゆう等の業務又は施術所に関し前記のような制限を設け、いわゆる適応症の広告をも許さないゆえんのものは、もしこれを無制限に許容するときは、患者を吸引しようとするためややもすれば虚偽誇大に流れ、一般大衆を惑わす虞があり、その結果適時適切な医療を受ける機会を失わせるような結果を招来することをおそれたためであつて、このような弊害を未然に防止するため一定事項以外の広告を禁止することは、国民の保健衛生上の見地から、公共の福祉を維持するためやむをえない措置として是認されなければならない」

と判示し、この広告の規制につき

「広告の制限をしても、これがため思想及び良心の自由を害するものではないし、また右広告の制限が公共の福祉のために設けられたものである」

として、当該広告を禁止することは、「憲法21条には違反しない」と判断しました。

 

きゅうの適応症として病名を記載したビラを配布するという行為につき、適応症として、病名等を記載することで、一般大衆に誤った期待を与えるおそれがあり、「国民の保健衛生上の見地から」「公共の福祉を維持するため」、虚偽または誇大広告の可能性があることから、違法であるとされたのです。

この判例では、広告を無制限に許容すると、患者を呼び込むため、虚偽誇大に流れてしまい、それにより一般大衆を惑わすおそれがあり、その結果として、適時適切な医療を受ける機会を逸する結果となることを避けるため、としており、このような事態を未然に防止するためには、一定事項以外の広告を禁止することは、国民の保健衛生上の見地から、公共の福祉を維持するため止むを得ない措置として是認されなければならないとされました。

ちなみに、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師になるためには、あはき法において

第1条 医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。
第2条 免許は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九十条第一項の規定により大学に入学することのできる者(この項の規定により文部科学大臣の認定した学校が大学である場合において、当該大学が同条第二項の規定により当該大学に入学させた者を含む。)で、三年以上、文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の認定した学校又は次の各号に掲げる者の認定した当該各号に定める養成施設において解剖学、生理学、病理学、衛生学その他あん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師となるのに必要な知識及び技能を修得したものであつて、厚生労働大臣の行うあん摩マツサージ指圧師国家試験、はり師国家試験又はきゆう師国家試験(以下「試験」という。)に合格した者に対して、厚生労働大臣が、これを与える。

と定められていることから、免許制となっており、国家試験を受け、合格し、厚生労働大臣免許を取得しなければなりません。

なお、「あん摩マッサージ指圧師」、「はり師」、「きゆう師」、「鍼灸師」のほか、柔道整復師法で規定される「柔道整復師」は、法的な資格制度のある医業類似行為に分類されています。

 

◇ ◇ ◇

さて…

そもそも、古代より「仙丹は不老不死の霊薬である」とは誰が最初に言い始めたのでしょうか?
唐の皇帝は、何人もが丹薬の害により、命を落としたと言います。
薬と称して、密かに毒を盛り、それにより健康を害すると、物の怪の呪いによるものだとの噂を広める。。
犯人は皇帝の座を狙う者?それとも、、そこは陰謀渦巻く政治の世界。

真実は闇の中、ということでしょうか。

 

文中写真:尾崎雅嘉著『百人一首一夕話』 所蔵:タイラカ法律書ギャラリー

六法全書クロニクル~改正史記~平成8年版

平成8年版六法全書

平成8年版六法全書

 

この年の六法全書に新収録された法令に、
サリン等による人身被害の防止に関する法律法
(平成7年法律第78号。通称:サリン防止法)
があります。

サリン防止法は、
サリンの製造、所持等を禁止するとともに、サリン等を発散させる行為についての罰則、及びその発散による被害が発生した場合の措置等を定める法律です。

この法律は、平成6年に起きた松本サリン事件や、平成7年に起きた地下鉄サリン事件をきっかけに制定されました。
この法律が制定される以前には、サリンの製造や所持を直接禁止する法律は存在しませんでした。

一定以上の年代の方は、今でもこれらの事件を鮮烈に記憶されているのではないかと思います。そして、その多くの方は、この時初めて「サリン」という物質の存在を知ったのではないでしょうか。

  

平成8年警察白書によると、松本サリン事件は、世界で初めて、犯罪の手段として「サリン」が使用された事件だそうです。

それまで警察は、化学兵器に用いられるサリンが、犯罪の手段として使用されることを想定していませんでした。そのため、事件発生から数日間、原因物質を解明することができず、事故か犯罪かも判別することができませんでした。
また、原因物質がサリンであることが判明した後も、第一通報者が容疑者であるかのような報道が半ば公然となされるなど、捜査は迷走しました。
結果として、翌年の、同じオウム真理教教徒らによる地下鉄サリン事件の発生を未然に防ぐことができませんでした。

そして起きた地下鉄サリン事件。
営業運転中の地下鉄車両内で、同時多発的にサリンが散布され、乗客・乗務員、係員、さらには被害者の救助に当たった人々にも、死者を含む多数の被害者が出ました。
平時の大都市において無差別に化学兵器が使用されるという、当時世界にも類例のないテロリズムであったため、世界的に大きな衝撃を与えたと言われています。

 

この法律は、
サリン等(サリンと、サリン以上か、サリンに準ずる強い毒性を有する物質)の
①製造 ②輸入 ③所持 ④譲り渡し ⑤譲り受け を禁止している(3条)に加えて、
未遂罪や、予備行為や、資金や原材料の提供も、処罰することとしています(5条)。

1条から8条までしかない短い法律なのですが、この法律によって、ざっと、

サリン等発散罪
サリン等発散予備罪
サリン等製造罪
サリン等輸入罪
サリン等所持罪
サリン等譲渡罪
サリン等譲受罪
発散目的サリン等製造罪
発散目的サリン等輸入罪
発散目的サリン等所持罪
発散目的サリン等譲渡罪
発散目的サリン等譲受罪
サリン等製造予備罪
サリン等輸入予備罪
サリン等発散資金等提供罪
サリン等製造資金等提供罪
サリン等輸入資金等提供罪

以上の、17の罪名があるそうです。

ある物質が使われないようにするためには、こんなふうに、細かく規定を作って、
一つ一つ抜け道をふさぐ必要があるのですね。
なんだか、犯罪を犯す側と取り締まる側の、知恵比べのような感じがします。

そういえば、薬物犯罪でも
法律によってある薬物を規制すると、その薬物そのものではないが、類似した構造や作用を持つ新たな薬物が登場する、いたちごっこのようなことが繰り返されている、と聞いたことがあります。

近年では、インターネットの普及で、かつては一般人が入手できなかったような物質や知識を手に入れることが容易になりました。
そのため、ごく普通の顔をした一般市民でも、危険なものを製造することができてしまったりもするようです。

かといって、規制の網を広げてぎゅうぎゅう制限すればいいというものではなく、個人や企業の活動を制限し過ぎることも、また、あってはならないことです。

こうした事態に対応していくためには、私たちの側も
今、どんな危険があるのか、
どうしたら身を守れるのか、
インターネットやその他の最新の利器を使って、知識を蓄え、備えておかなければならないのかもしれません。

◇ ◇ ◇

改正された法令として収録されたものとして、
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
(昭和25年法律第123号。通称:精神保健福祉法)
があります。

かつて、日本では、精神疾患の治療はそのほとんどが加持祈祷などに頼ったものだったといいます。
明治8年になって、我が国に初めて精神病院が設置されましたが、その後も精神病院の建設はなかなか進みませんでした。
第二次世界大戦後の昭和25年に「精神衛生法」が制定されても、病床数は諸外国と比べて少ないままでした。

このような状況の中、平成5年に「障害者基本法」が制定され、精神障害者がその対象として明確に位置付けられたことを受けて、今回取り上げる改正がおこなわれました。

法律の題名も変わり、法の目的においても「自立と社会参加の促進のための援助」という福祉の要素を盛り込み、福祉施策の充実についても法律上の位置づけが強化されるなど、大きな変更が加えられています。

改正された法律の主な内容は、

①精神保健福祉センター(精神障害に関する相談や知識の普及等を行う)の設置
②地方精神保健福祉審議会・精神医療審査会の設置
③精神保健指定医の指定
④精神科病院の設置、指定病院の指定
⑤医療及び保護(任意入院、措置入院、医療保護入院)
⑥精神科病院における処遇等(入院中の行動制限、処遇の基準制定、定期の報告及び審査、改善命令など)
⑦精神障害者保健福祉手帳
⑧相談指導等(地域住民への啓発、精神保健福祉相談員の設置など)

などです。

おおむね、義務を課されているのは、国や地方公共団体、医療機関なのですが、国民の義務についても規定されているのをご存じでしたでしょうか。

それが以下の条文です。

(国民の義務)
第3条 国民は、精神的健康の保持及び増進に努めるとともに、精神障害者に対する理解を深め、及び精神障害者がその障害を克服して社会復帰をし、自立と社会経済活動への参加をしようとする努力に対し、協力するように努めなければならない。

みなさん、いかがでしょうか。
国民の義務を、果たせているでしょうか。

(自らの反省も含めて)日本では、まだどうしても、同質社会というか、
自分と違うところがある人を受け入れにくい面があり、「精神障害のある方が、ごく普通に社会に受け入れられている」
という状況は達成できていないように思います。

ところで、上記条文について、
「国民は、精神的健康の保持及び増進に努め(なければならない)」とか、
「努力に対し」とか、
なんとなくなのですが、精神障害になるのは自己責任だ、自助努力が第一だ、
というニュアンスを感じてしまい、なんだかなあ、と思ってしまいました。

精神障害になりたくてなっている人は、きっといないと思います。
生まれ持った性質や、環境などのせいで、そうならざるを得なかった人たちに、ちょっと酷ではないか、と感じます。

ただ、そうは言っても、
自分を一番に守れるのはやっぱり自分だし、
自ら社会復帰しようとしない人のお尻を叩いて復帰させようとしても無理、
というのも事実かもしれません。

働き方改革が叫ばれる昨今。
自分にも優しくして自らの精神衛生を守りつつ、周囲の困難を抱えた方を、ごく自然な形で受け入れ、手助けできる社会になれば、本当に素敵だなと思います。

ひまわり観察日記-2022-⑤ —

8月も残りわずかとなりました。
例年にない猛暑でしたが、朝夕は爽やかな空気になったような。
秋もすぐそこまで来ている予感です。

 

◇ ◇ ◇ 

 

少し前に開花した弊所のひまわりですが
今年は色々な種類を植えていたため、咲くタイミングもそれぞれで
長い間開花を楽しむことができました。

 

まず最初に咲いていたのは、前回もお伝えした「小夏」。

 

これぞ「ひまわり」というかたちですね。
綺麗に咲いてくれたので、これだけで大満足でした。

 

そして、
同じくらいのタイミングで栽培キットも開花。

 

詳しい種類までは書いていなかったのですが、
「ミニひまわり」とのことですので、小夏と近いのではないでしょうか。

といいつつ、
小夏よりもやや小さめで、さらに可愛いサイズ感でした。

 


 

しばらくして咲いたのは、一番背の高い「F1モネパレット」。

茎は順調に育っていたものの、実はなかなか蕾の部分が成長せず…
心配でしたが、8月の中頃に急成長し、無事に開花しました。

 

他と違い、少しグリーンがかった淡い色の花でした。
また雰囲気が違って良いですね。
ただ、他の種類より満開を楽しめる時間が短いようで、
それでもしっかり写真に収めることができて一安心です。

 

 

そして、最後に咲いたのは「ちーくまくん」でした。

 

 

写真通り、ポンポンのような花が咲きました。

この「ちーくまくん」、途中までは他と同じように成長していたのですが、
蕾ができてから咲くまでの時間がかなり長く感じました。

他と1週間以上タイムラグがあったような…

 

このように「あと少し!」の状態がしばらく続いていたのですが、
8月も終わるぎりぎりのところで開花となりました。

種類によって色々と違うんだなと勉強になりました。

 

◇ ◇ ◇

 

ということで、
2022年のひまわりは無事開花までたどり着くことができました。

来年もお楽しみに🌻

ひまわり観察日記-2022-④ —

東京盆も過ぎ、7月もあっという間に終わりを迎えようとしています。

連日、信じられないくらいの猛暑が続いていますが、
弊所のひまわりは暑さに負けず頑張っています。

 

◇ ◇ ◇

 

何日か蕾部分にうっすら黄色が見えていたのですが、
そこからなかなか進まないな…と考えていた矢先の開花となりました。

 

せっかく天気も良いので、陽当たりのよいところへ移動してみました。

 

開花したといってもまだ5~6分咲程度ですし
それぞれ成長速度も異なる様子。

 

 

 

 

それでも、葉が大きくなり、蕾もだいぶ成長してきました。

開花まであともう一歩、というところでしょうか。

 

◇ ◇ ◇

 

一時は猛暑のあまり、朝には土がカラカラになってしまい
土に近い葉も枯れ気味になってしまったのですが
さすが季節の植物ということもあって、何とか持ちこたえてくれました。

もう少ししたら満開の姿が見られるのではないでしょうか。
8月の暑さも一緒に乗り換えたいと思います。

ひまわり観察日記-2022-③ —

6月も残りわずか。
とうとう本格的な暑さがやってきそうです。

そんな中、弊所のひまわりも夏に向けて成長中です。

昨年の不調がなかったかのように順調、むしろ絶好調な中
前回お伝えした「間引き」をおこないました。

◇ ◇ ◇

「間引き」とは、その言葉のとおり
たくさん新芽が生えてきた中からしっかりと成長したものを選び
あまり大きくならなかったものを引き抜く作業です。

芽や根の密集を防ぐことで、
病気や害虫の被害を減らすことが目的なんだそうです。

色々とネットで情報を見てみると
根っこ同士が絡まっていると、引き抜いた際に残す芽の根を傷つけてしまうことがあるため、土ぎりぎりのところでハサミを入れると良い、とのことでした。

ということで、さっそく間引いていきます。

この右側にある芽のような感じで、

 

他と比べて小さいものを間引いていきます。

 

 

これくらい小さいと思い切りもつくのですが、
何しろ今年は発芽が順調でしたので、どれも切るのがもったいない気持ち…

しかし、この後の成長のためにと思い、バランスに気を付けつつ
芽同士が重ならない程度に間引きをしてみました。

 

 

少しスッキリしたでしょうか。
まんべんなく日光が当たるようにはなったと思います。

◇ ◇ ◇

ということで、2年ぶりに間引きまでたどり着きました。
これでますます成長してくれると嬉しいです。

ひまわり観察日記-2022-② —

気温が上がったり下がったり、不思議な天気が続きましたが
関東も梅雨入りとなりましたね。

そんなじめっとした空気を忘れさせてくれるかのように
弊所のひまわりは順調に育っています。

 

 ◇ ◇ ◇

  

実は前回の更新から数日で発芽したものがあり、
さっそくブログにしようと思っていたところ…

 

少し目を離した隙に、あっという間に成長していました。 

 

 

気温の高い日が続いたからでしょうか。順調に大きくなっています。

こちらの「F1モネパレット」は他より大きくなるのですが、
また茎が柔らかそうなので、支柱を添えてみました。
このまま順調に成長して欲しいです。

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もう数日したら間引きをおこなう予定です。
それまでにもう少し成長していたらいいなと思います。