企業法・授業まとめ-第9回-

 

世の中で多い裁判類型:金銭絡み

世の中で多い、裁判類型は金銭絡み
金銭的な請求が年間10万件を超え、一番多い。
(知財関係の訴訟は年間300件ほど)

世の中で一番多い金銭絡みの事件、債権の回収について
具体的な設例をベースに検討する。

設例)
A社は各種専門データの販売をしている情報提供会社。
A社はB社に対して、専門データを販売・提供しており、B社は自社のホームページ上で、当該データを用いてサービスを展開、またアプリを開発して収益を上げていた模様。
しかし、あるタイミングから、データの使用料を払ってくれなくなった。
未払いの金額がそろそろ大きくなってきたので、どうにかならないかと相談を受けた。さて、どうする?

手紙(督促状)の送付をおこなう。
→電子メールのやり取りが主流となった昨今、
「手紙」の持つ心理的なプレッシャーは大きい。
同じ内容であっても、メールではなく「手紙」で送ることに意味があることも。

Q:「手紙」と「メール」と「口頭」の違いのうち、法的な違いは?

 

 

手紙とメールと口頭の違い

法的な効力は基本的にすべて同じ(「意思表示」であることに変わりはない)。
※「口約束」でも契約は契約

例外的に書面を要求する場合には、法律的に規定がある。

民法446条(保証人の責任等) ※なお、2項3項は平成17年施行
「1 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。」
※債務の保証は口約束はダメだが、メールでも書面でも効力がある。

→気軽に保証人になってしまうと、後々トラブルに巻き込まれる可能性が高い。
そこの意思表示を確固とするため、書面で契約しなければ効力生じないとされる。

【参考】
遺言は契約ではないが更に厳しい:民放968条(自筆証書遺言)
「1 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない
2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。」
※逆に、このような要式が求められていなければ、意思表示の形式は問わないのが原則。

参考記事:
遺言書に「花押」無効 最高裁、押印代わりと認めず」※判例あり⇩
(2016/6/3 日本経済新聞 電子版)

斜線の遺言書「無効」 最高裁判決、「故意に破棄」認定
(2015/11/20 日本経済新聞 電子版)

最高裁判所平成28年6月3日判決
〔判決文〕
「花押を書くことは、印章による押印とは異なるから、民法968条1項の押印の要件を満たすものであると直ちにいうことはできない。そして、民法968条1項が、自筆証書遺言の方式として、遺言の全文、日付及び氏名の自書のほかに、押印をも要するとした趣旨は、遺言の全文等の自書とあいまって遺言者の同一性及び真意を確保するとともに、重要な文書については作成者が署名した上その名下に押印することによって文書の作成を完結させるという我が国の慣行ないし法意識に照らして文書の完成を担保することにあると解されるところ(最高裁昭和62年(オ)第113号平成元年2月16日第一小法廷判決・民集43巻2号45頁参照)、我が国において、印章による押印に代えて花押を書くことによって文書を完成させるという慣行ないし法意識が存するものとは認め難い。
以上によれば、花押を書くことは、印章による押印と同視することはできず、民法968条1項の押印の要件を満たさないというべきである。
以上と異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり、原判決中被上告人の請求に関する部分は破棄を免れない。そして、被上告人の予備的主張について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻すこととする。」

…以上のように、遺言状及び保証人契約については厳しいが、
これ以外は効力がどれも同じ。

ではなぜ「手紙」を選ぶのか。

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