タイラカ総合法律事務所には、法律古書のギャラリーがございます。
様々な時代の、様々な法に関する書籍を収集していますが
そのなかでも、
有斐閣の出版する六法全書をすべて揃えること
を、大きな目標としております。
これまでもコツコツと六法全書の収集に励んでまいりましたが、
この度、新たに昭和23年発行のものが加わりました!
こちらの記事でもふれましたが、
1901年に『帝國六法全書』を刊行。昭和になってから刊行を中断したが、1948年に、創業70周年事業として『六法全書』の刊行を再開した。 |
とありますように、六法全書の始まりは1901年に刊行された「帝國六法全書」のようです。しかし、恐らく戦争で刊行を続けるのが難しくなってしまったのでしょう。
戦後、1948年(昭和23年)復刊の折には、新しい時代に向かっていく日本と共に、六法全書も新たな再スタートを切ったのですね。
今回入手した昭和23年発行版は、今日我々がお世話になっているそんな六法全書の再開時の「初代」といえるものです。
ちなみに、元祖の「帝國六法全書」も弊所ギャラリーに蔵書がございます。
1908(明治41)年に発行されたもので、戦前の貴重な一冊です。
現在の六法よりもかなり小さい、手のひらサイズです。
この頃は「●●年版」といった年次の発行ではなく、訂正や改訂を重ねていたよう。
弊所ギャラリーの蔵書は「訂正増補改版15版」。編纂者の熱意が伺える数字です。
少し話がそれましたが、昭和23年の六法全書がこちら。
時代を乗り越えてきた感がありますね。
表紙には凹凸をつけた印刷で「六法全書」と書かれており、
(うっすら見えますでしょうか?)
中表紙には「創業七十周年記念出版」との文字が。
この一冊が「はじまり」だと思うと、何だか感慨深いものがあります。
ちなみに・・・
弊所ブログでは、年毎に制定・改定された法律についてもご紹介しています。
昭和23年版についても追ってアップされる予定ですので、
ぜひそちらをお楽しみに。
◇ ◇ ◇
創業70周年という節目に、何か他のこともおこなっていそう…
そう思い調べてみたところ、現在の社章が制定されたのもこのタイミングでした。
現在の社章は創業70周年に制定されました。獣の王といわれる獅子と,鳥の王といわれる鷲を題材にしたもので,それは,社会科学から,やがては人文科学と自然科学の両分野における最高の権威ある書物を出版の目標としよう,といった意味が含まれております。さらに,獅子には赤色,鷲には青色を配し,それは動脈と静脈をあらわしており,静かな中にも動的なもの,動的な中にも静かなもの,両者の融合と活動によって生々脈々の発展を意図したものでもあります。 |
社章に使われている獅子と鷲ですが、なんとゆるキャラ化もされています…!
有斐閣が出版している、
「判例の読み方 — シッシー&ワッシーと学ぶ」
(青木人志 (一橋大学教授)/著)
という書籍の登場キャラなのですが、なんと社員さんの落書きをもとにデザインされたのだそうです。素敵なアイデアですよね!
なんとも言えない表情とポージング、個人的には非常に好きです。
グッズがあったら思わず買ってしまそう!
このゆるキャラ、当時かなり話題になったそうですが、有斐閣のような歴史ある企業がこうした遊び心をもち、利用者を楽しませてくれるなんて、とても素晴らしいことだと思います。
実際のシッシー&ワッシーの姿をぜひチェックしてみてください。
私も読んでみようと思います!
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というわけで、無事に創刊版は入手できたわけですが
実は抜けてしまっている年度がいくつかあります。
以前書店で教えていただいたように、
六法全書は法律古書のなかでも流通が少ないという事情があります。
これまでなかなか蔵書に加えることができなかった年度版もありましたが、それぞれ良いタイミングやご縁でめぐり会っていますので、また次も気長に待とうと思います。