宅建ブログ2回目です。今回は、
・宅建試験がどのような内容で
・それに向けてどんな勉強をしたか
について共有させていただきます。
宅建試験は、原則として
毎年10月の第3日曜日に実施され、11月下旬に合格発表があります。
試験時間は2時間です。
試験内容は、前回も書いたように宅建業法施行規則で決まっていて
1.土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること。
2.土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること。
3.土地及び建物についての法令上の制限に関すること。
4.宅地及び建物についての税に関する法令に関すること。
5.宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること。
6.宅地及び建物の価格の評定に関すること。
7.宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること。
なのですが、教材等では、おおむね
「宅建業法」(↑の7)
「権利関係」(↑の2)
「法令上の制限、税・その他」(↑の1、3~6)
というふうに、大きく3つにまとめられています。
全50問中、分野別の内訳は以下となります。
・宅建業法 20問
・権利関係 14問
・法令上の制限 8問
・税その他 8問
全てマークシート(四者択一)方式で、記述式の問題はありません。
(当然ですが)50問全部できなければ不合格、というわけではなくて、年によって異なりますが、大体31~38点くらいが合格ラインとのことです。
令和4年は36点でした。
ちなみに、必要な勉強時間の目安は300時間とか。
1日1時間としたら、300日=10か月 ➔12月か1月に取り掛かる必要あり
1日2時間としたら、150日=5か月 ➔5月か6月には取り掛かる必要あり
みたいな計算でしょうか。
私は、令和4年初頭に新年の抱負を考えていて
「今年は資格の勉強をしよう!」と思い立ったという次第で
受験を決めたのは令和4年1月頃でした。
インターネットで上記のようなことが分かったので、
早く始めればそれだけ1日当たりの勉強時間が短くて済む
と目論み、受験を決めたその夜からさっそく教材を探し始めました。
ところで、教材探しをされる方に一言。
お薦めの教材、またお薦めの勉強方法については
インターネット上にたくさん情報があります。
しかし、私の個人的な意見としては、人それぞれ、自分に合う教材や勉強は違っているので、他人の言うことをそのまま信じず、自分の五感で探した方がいいと思います(身もふたもなくてすみません)。
というのも、人それぞれ、それまでに積み上げてきた知識経験(法学部出身だったり、そうでなかったり)も違えば、生活スタイル(電車通勤だったり、専業主婦だったり)も違うからです。
ある人が、この教材でこういう時間割で勉強して受かった!と言っても
それをそっくり真似するのは、難しい上に危険だと思います。
そういう前提に立った上で
これから受験する方に、私からアドバイスできることがあるとしたら…
くらいでしょうか。
各ポイントについて、もう少し詳しく説明していきましょう。
宅建は人気資格なので、受験予備校や通信講座がたくさんあり、書店に行けば、教材は選り取り見取り、どれを選んでいいか迷うくらいたくさん並んでいます。
私は最初、予備校や通信講座を調べました。
費用は安いところで数万円くらいからですが、例えば合格保証が付いていたり(不合格だったら受講料を返金してくれる。ただし、厳しい条件があります)、厚生労働省の教育訓練給付制度の対象になっていて費用の一部が支給されたり、というものもあります。
予備校や通信講座のいいところは、教材も勉強の進度管理も、全部専門家が考えてくれて、自分は与えられたカリキュラムをこなしていくだけでいい、というところかと思います。
幾つか調べた結果、「スマホで学べる」講座があり、テキストを持ち歩く必要がなく通勤電車の中などでも勉強ができるといううたい文句でした。
(気になる方は上記キーワードで検索してみてください)
費用も2万円程度で比較的安価だったこともあり、とても良さそうだったのですが
ごく個人的な事情として、
・乗り物の中で文字を読むと、乗り物酔いをしてしまう(本でもスマホでも)
・勉強する時間が取れそうなのは寝る直前で、寝る直前にスマホのブルーライトを見るのは避けた方が良い(不眠になる)と聞いた
ということで、こちらは断念しました。
結局、アナログに、紙のテキストで勉強するのが自分に合っていそうだ、という結論に至った私は、さっそく書店に行ってテキストを購入することにしました。
先ほどもお伝えしたとおり、教材が数多並んでいる中で、私は「一番売れている」テキストを選びました。
みんなが選ぶということは、選ばれるだけの理由があるのだろうと思ったし、逆に、試験委員もその本のことを意識しているだろう、とも思ったのが理由です。
いま改めて考えても、ある程度実績があるところが出版している、ある程度売れている本だったら、どれもちゃんと作りこまれているし、ぶっちゃけそれほど大差はないと思います。
だったら、あとは自分の好みです。
試験までの長丁場、ずっとお付き合いするテキストですから、例えば読んでいて言い回しがなんとなく気に障るとか、カラフルすぎて目がチカチカするとか、そういう些末な理由でストレスを感じることがないよう、書店で実物を見比べて「私はこれが好き」と思うものを選ぶのが一番だと思います。
(ネット購入は、実物が届いたらイメージが違ったということが発生しやすいです。もし事情が許すのであれば、リアル店舗をお薦めします。)
私は、学生時代に参考書を購入しても、一つ説明を読んでも分からない箇所があったりすると「本当にこの本でよかったのかな、別の本の方が分かりやすいのでは」などと迷ってしまい、別の本を買い直したりしていました。
例えば歴史だったら、原始時代ばっかりいろんな本で何回も勉強して、最終的に時間が足りず現代史までたどり着かない、という感じになりがちでした。
そのため、今回は「いろんな教材に手を出さない、最初に選んだ1冊に賭ける」と決めて、テキスト1冊と問題集1冊しか使いませんでした。
ただ、一人の筆者、一つの会社の見解だけに全て頼るというのはやはり怖いと思ったので、テキストと問題集はあえて別の会社のものにしました。
これも一長一短で、同じシリーズのテキストと問題集を併用した場合は、相互に参照ページが書いてあるなど調べ物がしやすい、という意見もあるようです。
私は、最初にテキストを読んだ時は理解があやふやだったところが、次に問題集を解いてみたら別の観点から解説がされていて、「テキストに書いてあったあれは、こういうことだったのか!」という気付きをしたことも結構あったので、教材を絞り込もうと考えている方には、あえて別シリーズにしてみることもお薦めします。
プラス、条文が見たいときはインターネットの「e-Gov法令検索」で検索しました(法令の名称を検索すると大体最初に表示されるページです)。
現在生きている条文が無料で読めるのでお薦めです。
(個人的には、業務でも頻繁に利用するので書籍版六法より馴染みがありました)
試験範囲が広いため、行き当たりばったり・成り行き任せでは、どんな結果になるか分かったものではありません。
やっぱり、計画を立てて取り組む必要があります。
受験予備校や通信講座を利用される方は、ちゃんとプロが試験日に間に合うようなプログラムを組んでくれますので、お任せで良いと思います(こういうノウハウに、お金を払っているわけですから)。
独学の方は、ここを自分でやらないといけません。
まあ、労力はかかりますが、その分「自分のことを一番知っている(はず)というメリットを生かして、自分専用のプログラムが組める」とも言えるので、またまた一長一短かもしれません。
私は独学だったので、まずは全体のスケジュール感をつかもうと、早い時期にテキストを買い、理解しようとか暗記しようとかせず、とりあえず試験範囲全体を一通り読んでみました。
ここで、自分のこれまでの知識がどれくらい使えそうか、新しく覚えなくてはいけないことはどれくらいあるか、といった感触をつかみ、
「合格するには、自分は、これくらい頑張らないといけないようだ」
というレベル感をざっくりと見積りました。
その結果、
みたいな、ふわっとした感触を得ました。
その次に必要になるのは具体的な計画ですが、私は
・平日は〇時から〇時まで勉強する
・何月には〇〇の科目を終わらせる
のような計画はあえて作りませんでした。
というのも、経験上、計画を立ててそのとおりにできたことがないし、自分にプレッシャーを掛け過ぎたくないと思ったからです。
プレッシャーを感じすぎて、法律の勉強をすることに嫌悪感を感じるようになってしまったら、かえって仕事にも差し障りが出てしまう、それは本末転倒だと思いました。
私が決めた計画?(と言えるかも疑問ですが)は、
・毎日、ちょっとでもいいから宅建の本を読む
・試験の1か月前までに、テキストと問題集を少なくとも3回は繰り返し読む
・試験の1か月前になったら集中的に暗記をする。それまでは数字等細かいところは覚えようとしない
という、はなはだ緩いノルマを課すものでした。実際のところ、
平日夜は、
寝室に移動するときにテキストか問題集を持っていき、布団に入って読む
⇒10分もすると、寝落ちしそうになるので、本を閉じて就寝
休日は、
ソファでゴロゴロするときにテキストや問題集を横に置いておき、
気が向いたら読む
という感じで、1日当たりの勉強時間は短かったのですが、その分、勉強が嫌になることはなく、計画どおりに進まない!と焦った挙句に全部放り投げてしまうようなこともなかったため、ゆるーく続けることができました。
そして、試験の1か月前。
勉強を続けてはいたものの、数字等、細かい部分の暗記を後回しにしていたこともあって、問題集が全然解けず危機感を覚えました。
しかし、ここで急に「1日5時間やる!」とか決めても、絶対無理なのは分かっていたので、冷静に自分の集中力を見積もりました。
1回15分なら集中できて、取り掛かるのに必要な意思の力も少ないだろうと判断し
「最低でも1日15分を4コマやろう、できなかったら翌日に回してもいいし、できそうならおまけでコマ数を増やそう」
という、これまたゆるーいノルマを課すことにしました。
気分が乗らないときでも、「まあ、15分だし…」ということで、しぶしぶでも取り掛かることができ、始めると意外に気分が乗って気が付いたら30分経っていた、みたいなことも結構ありました。
科学的に証明されている「やる気スイッチ」があって、それは
「気が乗らなかろうが心の準備が整っていなかろうが、何でもいいからとにかく作業を始めること」
だそうです。やっているうちにだんだん脳に刺激が伝わり、脳が興奮して、やる気が出てくるのだとか。
つまり、
「準備が整う⇒やる」ではなくて
「やる⇒準備が整う」という
何というか、逆説的?なことが分かっているそうです。そのため、
…今は気分が乗っていないから、後でやろう
ではなく
…でもまあ、ともかく本を開くだけでも開くか
と、行動することが必要なんですね。
そこでプラスしてお薦めなのが、
気分が乗らないときでも「まあ、これくらいならできそうかな」と思えるよう、例えば「1コマ15分」のように、最初のハードルを下げておくことです。
(こういうのも「スモールステップ」といって、教育現場や医療現場でも、習慣化のために使われているテクニックの一種かもしれません。)
もちろん「簡単すぎる目標では燃えない!」という方もいらっしゃるでしょう。
また、ハードルを下げすぎると、どう計算しても試験日までに範囲が全部終わらない、などということになってしまうことも考えられます。
結局重要なことは、自分の生活状況・性格・能力を、冷静かつ正確に見定めた上で、試験までに残された時間との兼ね合いを見据えつつ、自分にとって最適化された計画を練ることです。
留意点は、「現実的」な計画を立てること。
計画を立てる時は、あれもやりたいこれもやりたい、一日○時間は勉強すべき、などと考えて「理想的」な計画を立ててしまいがちですが、ここでぐっと気持ちを抑えることが大切です。
絵に描いた餅では、どんなに美味しそうでも、現実にお腹は膨れないですよね。
長丁場なので、途中で計画が滞ってしまい
「やっぱり駄目かも」「来年にしようかな…」
などと弱気になってしまうことも起こってしまいがちです。
そういうときに、あらかじめ周囲に「今年宅建を受験します」と宣言しておくことで、「でも、あの人に今年受けるって言っちゃったしなあ…」という感じで、放り投げるのを思いとどまらせてくれます。
ここでのポイントは、
自分にとって近しすぎる存在の人では効果がないということ。
「私、受験するんだ~」と宣言しておいても、後日「やっぱ止めた」と言いやすく、「ほんとにこの人はしょうがないね~」と受け入れてくれる存在ではストッパーになってもらえません。
例えば上司や、義両親など、「気が置ける」(気遣いが必要な)存在に、宣言しておくと良いと思います。
実際、私も事務所の弁護士に受験することを伝えていたため、試験までに勉強が間に合わないかも、止めようかなと不安な気持ちになった時に、「でも、先生に受けるって言っちゃったし…」と、何とかこらえて続けることができました。
◇ ◇ ◇
以上、いずれも、意志が弱いことを前提とした勉強方法についてお伝えしました。
向学心に燃えている方には、怒られてしまいそうですが
「これくらい意志が弱くて緩くしか勉強できなくても、何とかなりますよ」
という一例として、参考になると嬉しいです。
長くなってしまったので、実際の試験の様子については、次回お伝えします。
では。
(参照:一般財団法人不動産適性取引推進機構HP)