ひまわり観察日記-2022-② —

気温が上がったり下がったり、不思議な天気が続きましたが
関東も梅雨入りとなりましたね。

そんなじめっとした空気を忘れさせてくれるかのように
弊所のひまわりは順調に育っています。

 

 ◇ ◇ ◇

  

実は前回の更新から数日で発芽したものがあり、
さっそくブログにしようと思っていたところ…

 

少し目を離した隙に、あっという間に成長していました。 

 

 

気温の高い日が続いたからでしょうか。順調に大きくなっています。

こちらの「F1モネパレット」は他より大きくなるのですが、
また茎が柔らかそうなので、支柱を添えてみました。
このまま順調に成長して欲しいです。

◇ ◇ ◇

もう数日したら間引きをおこなう予定です。
それまでにもう少し成長していたらいいなと思います。

ひまわり観察日記-2022-① —

つい先日新年のご挨拶をしたと思えば
もう5月も終わろうとしています。

2022年も間もなく半分が終わりますね。
弊所も日々駆け抜けているわけですが、そんな中、
毎年恒例のひまわりの種まきをいたしました。

 

◇ ◇ ◇

 

今回は昨年の失敗をふまえつつ、種の種類も増やしてみました。

 

まず弊所ではお馴染みの「小夏」。今年も頼りにしています!

次に「F1スマイルラッシュ」。
育てやすい品種とのことで、とても安心感があります。
「ひまわり」と言われて思い浮かぶイメージのとおりですね。

「ちーくまくん」は、「八重咲き」という咲き方だそうです。
ポンポンのようで可愛いですね


そして「F1モネパレット」。
こちらは背丈が少し大きく育ち、色は咲いてみてのお楽しみのようです。
果たして何色が咲くでしょうか?

そして、昨年リベンジした際に購入した栽培キットを
今年は最初から導入いたしました。こちらも心強い味方です。

 ◇ ◇ ◇

まずは土入れから。ここは例年通りささっとおこないます。
そして種を開封。

 

このような感じで、種類によってだいぶ印象が異なります。

毎年お馴染みですが、一番上の青い種は着色されたものになります。
(過去の記事はこちらから☞ 2018201920202021
これは「キャプタン」という殺菌剤で、ひまわりを病気から守るものです。
誤食を防ぐため、このように食欲とは無縁の色になっています。

たしかに、これで着色がなかったら、食用のひまわりの種と同じような見た目になってしまうのかも・・・でも結構綺麗な色ですよね。

 

例年のごとく間隔をあけつつ種をまき、土をかぶせて水をあげたらこちらは完了。
次に栽培セットを準備していきます。

こちらは必要なものが全て入っていて、とっても手軽です。
・説明書
・種
・受け皿付きプランター
・培養土
・土を水を混ぜるためのビニール袋

 

まずは土を準備。水を入れてなじませます。

 

これをプランターに移し、種をまいたら完了です。

 

 

今年からは、より日当たりの良いスペースが出来ましたので
そちらに置いて様子を見ることにいたしました。

それぞれ名前も貼っておきます。

 

無事に育ってくれることを祈るばかりです!

発芽した際には、また間引きの様子などお伝えしたいと思います。

2022年 新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。

今年も様々な記事をアップできるよう尽力してまいりたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

ということで、今年もスタートは愛宕神社への初詣です。

そういえば。
今までは気が付かなかったのですが、狛犬の前にこんな表示が。

確かに、よい運動だと思う気持ちは分からなくもないですが…
神様の前ですから、敬意をもっての上らねばなりませんね。
狛犬も目を光らせています。

というわけで今年も「出世の階段」を上っていきます。

 

傾斜は40度、全部で86段あり、「男坂」とも呼ばれています。
これまでは息を切らして必死に上っておりましたが、
今年はなんだか軽やかに上ることができました。昨年の運動の成果でしょうか?

 

サクッとたどり着くことができました。上まで来ると気持ちが良いです。

近隣企業の方たちもお参りに来ており、またお天気に恵まれたこともあって
晴れやかな気持ちでスタートを切ることができました。

帰りは脇にある「女坂」を通りました。
ここを下りることで良縁を授かり、
愛宕神社の火の神様が厄を焼き切ってくれるのだそうです。

男坂に比べれば多少緩やかですが、
下りなのでヒヤヒヤしながら慎重に足を進めました。

 

入口のすぐ横にたどり着きました。今年の初詣も無事終了です。

今年は寅年ということもあり、「トライ」する年、なんてよく言われております。
当ブログでも様々な挑戦ができるよう、2022年も頑張ってまいります。

六法全書クロニクル~改正史記~平成9年版

平成9年六法全書

 

この年の六法全書に新収録された法令に、
民事訴訟法(平成8年法律第109号)
があります。

民事訴訟法は、民事訴訟に関する手続について定めた法律で、
いわゆる「六法」の一つです。

より身近な言葉で言うと、
お金の貸し借りや物の売り買いなど、私的な事柄に関して利害の衝突や紛争が起きた場合に、裁判所に判断を求めようとするのが「民事訴訟」ですが、その民事訴訟において、当事者や裁判所が、どのように裁判を進めていかなければならないか、その手続を定めた法律です。

この法律以前は、明治時代に制定された古い民事訴訟法が用いられていました。
明治の制定以来何度か改正されてはいたものの、

・社会の変化に適合していない
・手続に費用と時間がかかりすぎる
・国民に分かりにくい

などの問題点が指摘されており、このような背景から、
「民事訴訟を国民に利用しやすく、分かりやすいものとし、
訴訟手続の規律を現在の社会の要請に適った適切なものとする」
ことを目標として、改正されたものです。

 

改正のポイントは、以下の4点です。

①争点整理手続の整備
②証拠収集手続と証拠調べの拡充
③少額訴訟手続の創設
④最高裁判所への上告制限

 

①は、あらかじめ、真に争いとなっている点(争点)を明確にし、争点に的を絞って証拠調べをおこなうことで、訴訟の適正・迅速化を実現しようとするものです。

民事訴訟においては、当事者の主張や裁判所の証拠調べなどは、公開法廷における「口頭弁論」期日においておこなわれるのが原則です。
しかし、口頭弁論期日に、準備書面に基づいて陳述するだけでは、真の争点がどこにあるか、そのためにどんな証拠を取り調べれば足りるのかは、必ずしも明らかとなりません。

そこで、当事者が話し合い
その納得の下、真の争点を探り出すための手続として、

準備的口頭弁論(164条以下)
・弁論準備手続(168条以下)
・書面による準備手続(175条以下)

という3種類の手続が整備されました。
それぞれの詳しい内容はここでは省略しますが、これにより、一般公開をしないで討論することや、当事者が出頭しないで書面の交換や会議電話で討論をおこなうこともできるようになり(従前は、どちらかの当事者が必ず出頭しなければなりませんでした)、効率的に準備手続を進めることが可能になりました。


②は、医療過誤や製造物責任、公害訴訟などの現代型訴訟では、構造的に証拠が訴えられる側(医療機関や製造企業など)に偏在しており、被害者が証拠を収集することが極めて困難であるとの批判が強かったことから、相手方や第三者の手元にある証拠を収集するための手続を拡充させたものです。

前提として、民事訴訟では、原則、当事者が提出した証拠で事実を認定します。
裁判所が自ら証拠を収集することは、ほとんどありません。
つまり、裁判所に事実として認めてもらうためには、当事者が自ら証拠を収集し、提出しなければなりません。

しかし、医療過誤事案でのカルテ、製造物責任事案での仕様書等については、
被害者がこれを入手することは困難だという実情があります。

こうした証拠の偏在の是正を図る制度の一つとして、
「文書提出命令」があります。

これは、当事者の一方からの申立てを受けて、裁判所が、訴訟の相手方や第三者に当該文書の提出を命じる制度です。
しかし、従来は、文書提出義務の対象となる文書が法律で規定されていて、それ以外の文書については命令の対象外とされていました(原則は対象外、法律に規定されているもののみ例外的に対象となる)。
これを、新しい法律では、文書提出義務の対象外となる文書を規定し、これに当てはまらないものは提出義務の対象となるというふうに、原則と例外を逆転させました(原則は対象、法律に規定されているもののみ例外的に対象外となる)。

証拠調べの拡充については、
それまで、証拠は、口頭弁論の終結までいつでも提出できる(「随時」提出主義)とされていましたが、これが訴訟遅延の一因となっていたことから、「適時」提出主義に切り替えられ、一定の期間内に提出することとされました(早く提出しなければ、証拠として認めてもらえない)。
また、集中証拠調べが採用され、複数の証人に対する尋問を1回でおこなって効率的に審理を進めることとされました。


③は、訴訟額が低額な場合、裁判を起こしても訴訟費用の面から割に合わないことが多く、そのため、被害者が泣き寝入りしたり、あるいは裁判を起こす代わりに暴力団等に解決を依頼するケースがあることなどが問題となっていました。
そこで、訴額30万円以下の金銭支払を求める訴訟について、極めて簡略化した少額事件手続を設け、訴訟による解決を得やすくしたものです。
少額訴訟手続では、原則として審理は最初の口頭弁論日に完了し、弁論終結後直ちに判決が言い渡されます。


④は、それまで、上告理由として
「原判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反」
が規定されており、広範囲での上告が認められていました。
このため、最高裁判所は実質的に上告理由のない事件の処理に忙殺され、本来の機能を十分に果たすことができない状況となっていました。

そこで、この法律で、最高裁への上告に関し上告理由を原則として「憲法違反」に限定しました(その他、ごく例外的な手続違反があるときにも上告が認められます)。
なお、この「上告」とは別に、「上告受理申立て」という制度もあり、こちらは、原判決に、最高裁判所の判例と相反する判断がある事件等について、申し立てることができます。これを受理するかどうかは、最高裁の自由裁量とされています。


さて、こういった目的で新しい民事訴訟法が制定されてから
既に20年以上が経過しました。
必ずしも狙い通りになっているとは言えないとの指摘もあるようですし、
さらに時代が変化したことに伴い、新しい要請も生まれてきているようです。
現在は、全面オンライン化や、外国人からも利用しやすい制度とするための法改正に向けた準備がおこなわれているとのこと。

我が国の法制度の根幹にかかわる大切な法律の一つですので、
動向を見守っていきたいと思います。

 

◇ ◇ ◇

 

改正された法令として収録されたものに、
母体保護法(昭和23年法律第156号)
があります。

この改正がおこなわれる前の法律の題名は、「優生保護法」でした。

優生学とは、一般に
「生物の遺伝構造を改良する事で人類の進歩を促そうとする科学的社会改良運動」
と定義されるそうです。
簡単に言うと、子孫を残すに相応しいと見なされた者がより子孫を残すように奨励し、子孫を残すに相応しくないと見なされた者が子孫を残すことを防ぐというもので、その手段として、産児制限・人種改良・遺伝子操作などが提案されました。

優生学は20世紀前半に多くの有力者に支持され、ナチス政権によって、優生学と殺人を混ぜた政策が実行されたことで、多くの倫理的問題を引き起こしました。
第二次世界大戦後の日本においても、その動きは生き残り、戦後の混乱期の人口抑制を目的として、優生保護法が1948年(昭和23年)に全会一致で成立したのでした。

優生保護法は、
子孫を残すことが不適切とされる者に対する強制断種を強化するものでした。

同法は、遺伝性疾患のほか、ハンセン病、精神病(精神障害)、精神薄弱(知的障害)も断種対象としていました。
1952年(昭和27年)から1961年(昭和36年)の間の断種手術件数は約1万6,000人、ほかに遺伝性疾患による中絶も年に数千件あったと言います。
強制不妊手術の実施数は次第に減少し、1980年代にはほとんどおこなわれなくなって、1996年(平成8年)に優生条項を削除する法改正がなされ、名称も母体保護法と変更されたのでした。

つい最近も、旧優生保護法のもとで不妊手術を強制された方々が国を訴えた裁判のニュースが報道されていましたので、ご記憶にある方も多いのではないでしょうか。

思いのほか最近まで、このような強制手術がおこなわれていたこと、
かなり最近まで、それを許す法律が残っていたことに、驚きを禁じ得ません。
現在のように個人の権利が尊重されるようになったのは、本当に、ごくごく最近に過ぎないのですね。

今、私たちが「仕方ない」と思って許容していることの中にも、もしかしたら、
近い将来、とんでもない人権侵害だったとされることが潜んでいるかもしれません。
感覚を研ぎ澄ませて、皆が尊重される社会を実現していきたいものです。

 

【参考: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』】

ひまわり観察日記-2021-⑤

前回の更新から少し時間があいてしまいました。
年の瀬もすぐそこまで来ていますね。本当に一年というのはあっという間です。

 

さて、芽を出していたひまわりですが・・・

 

・・・残念ながら枯れてしまいました。

10月頃は割と気温も高く
「このままなら咲いてくれるのでは」と思っていましたが、
やはり夏の花には寒かったようです。

土をかえたり、暖かい場所に移動したり、
色々と試してみましたが、残念な結果となってしまいました。

 

何だかひまわりに申し訳ない気持ちです…

今年の反省はしっかり来年にいかさねばなりません。
来年こそは夏の暑さに十分注意しつつ、
綺麗なひまわりを見ることができるよう頑張りたいと思います。

ひまわり観察日記-2021-④

先日の種まきからまだ数日ですが、それぞれ無事に芽が出てきました。

 

順調そうで安心しました。

先日既に芽が出かかっていたプランターも、完全に発芽しました。

 

この様子で数多く芽が出てきたら間引きをしていきます。

まだまだ気を抜けませんが、
年内に無事ひまわりを見ることができるよう観察していきたいと思います。

ひまわり観察日記-2021-③

前回お伝えしたように、
今年のひまわりは何だか元気がなく、もう一度種をまいておりました。

しかし、ひまわりの種をまいていたつもりが

 

どうやら以前ご紹介したワイルドフラワーの種だったようです。

 

・・・でも確かにひまわりをまいたはずなのになぜだろう?

そういえば、そもそもワイルドフラワーをまいてからこの赤い花しか咲いていないけれど、本当はもっと色々な種類が咲くのでは?

さらにこの赤い花、「ベニバナザワキキョウ」って思っていたけれど、
「ベニバナサルビア」の方が近いのでは?

 

悩んでいるうちに、なんだか謎が謎を呼ぶような状態になってしまいました。
とにかく、このままではひまわりを見ずに2021年が終わってしまいます…

ということで、すっかり秋本番ではありますが
もう一度種をまいて検証することにいたしました。

 

◇ ◇ ◇

  

用意したのはこちらです。

 

①毎度おなじみの土
今年は粒状の土を購入してみたのですが、水はけがよすぎるのではないかしら?ということで、従前使っていた土に原点回帰してみました。

②ひまわりの種
やや季節外れなこともあり、同じ種を購入することができませんでしたので、新しいものを選んでみました。

③栽培キット
万が一、、、のために購入いたしました。備えあれば憂いなし。

  

土入れ~種まきは、ぱぱっと作業してしまいます。

 

それぞれ名前のラベルを貼りました。

 

次に栽培キット。

 

内容はこのような感じ。
・説明書
・種
・受け皿付きプランター
・土
・土と水を混ぜるためのビニール袋

説明書にあるとおり、ビニール袋に土をあけ、
中に水を400ml程いれて土と混ぜていきます。

 

握ってかるくまとまるくらいでOKとのこと。
丁度良い状態になったら、プランターに移して種をまきます。

 

霧吹き等で水をあげれば完成です。
ガーデニング不慣れな私でも簡単にできました。

 

◇ ◇ ◇

 

そして、一緒にワイルドフラワーも種まきしていきます。

秋まきの場合は9~11月とのことですので、時期もぴったりです。

以前もご紹介しましたが、ワイルドフラワーは色々な草花の種がミックスされているものとのこと。

 

相変わらず種もワイルドです。

こちらも手際よくまいていきます。

土にのせると同化してしまいますね。
今回は色々と違う花が咲いてくれるといいなあ、と思います。

 

◇ ◇ ◇

 

この記事を書いているのが種まきから3日後程なのですが
さっそく栽培キットのひまわりが発芽してきました。

この茎が頑張っているのが見えますでしょうか?

幸先のよいスタートが切れました。
本格的に涼しくなってまいりましたので、温度管理も気を付けつつ、
引き続き観察していきたいと思います。

朝顔を植えてみました 2021

一昨年、番外編として植えて成長を記録した朝顔ですが、

今年も植えており、開花までたどり着きました!

 

 

前回よりも何だかあっという間に咲いたような気がしますが・・・

無事に開花に至り、何より!

 

とはいってもまだ一部しか咲いておらず、まだまだ後に続きそうです。

 

 

このあたりには違う色も。次の開花が楽しみです!

 

◇ ◇ ◇

 

9月も折り返し地点ですが、
涼しくなったと思いきや、残暑がまだまだしぶとい今日この頃。。。

涼しげな夏を感じさせてくれる朝顔を眺めつつ、
日々の業務を頑張りたいと思います!

六法全書クロニクル~改正史記~平成10年版

平成10年版六法全書

平成10年度六法全書

この年の六法全書に新収録された法令に、
臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)
があります。

臓器移植は、病気や事故により臓器が機能しなくなった人に対して、
他の人の健康な臓器を移植して機能の回復を図る医療です。
一部の疾病に対して、現時点での医学レベルでは臓器移植が唯一の治療法である場合があります。

しかし一方で、臓器移植については、臓器提供者の脳死判定の在り方などに議論があります。脳死を人間の死と認めるかどうか、死生観にもかかわる問題であり、この法律も、制定されるまでに、衆議院で無修正の上可決された法案が参議院で大幅修正されるなど、異例の経過をたどりました。

古来、心停止が人間の死とみなされてきましたが、医学が発達した現代では、
一般に、脳・心臓・肺のすべての機能が停止した場合(三徴候説
と定義されています。

しかし医療技術の発達により、脳幹機能が停止し、
本来ならば心肺機能が停止するはずの状態でも、人工呼吸器によって呼吸が継続され、心臓機能も維持される状態が出現しました。

この状態が、脳死です。

脳死者の中には、自発的に身体を動かす例も見られることや、呼吸があり心臓が動いている、体温が維持されることなどから、脳死を人間の死と認めるかどうか、国や宗教によって賛否は様々です。
我が国では、無機物にも魂が宿っているなどとする文化的背景もあって、脳死という概念の受け入れに特に抵抗が強いとも言われてきました。


この法律が制定される前の我が国では、1979年に「角膜及び腎臓の移植に関する法律」が成立し、心臓停止後の腎臓及び角膜の移植がおこなわれていました。
しかし、心臓や肝臓、肺などの臓器の患者は、移植を希望しても日本では移植を受けることができず、亡くなられていました。移植を受けるためには、海外に渡り、ごく限られた外国人枠として移植を待つほかない状況でした。

1968年には、札幌医科大学の和田寿郎教授によって、世界で30例目の脳死患者からの心臓移植がおこなわれ、移植患者は83日間生存しました。
しかし、患者が亡くなった後、臓器提供者の救命治療が十分におこなわれたかどうか、脳死判定が適切におこなわれたかどうか、本当に移植が必要だったかどうかなど、多くの議論を呼びました(いわゆる和田心臓移植事件)。和田教授に対しては殺人罪で刑事告発もされています(結果は、嫌疑不十分の不起訴処分)。

1984年にも、筑波大学の深尾立教授が脳死判定による膵・腎同時移植を実施しましたが、患者が死亡したことで、執刀医らが殺人罪で刑事告発されました。
このように、日本では脳死臓器提供者からの移植がタブー視され続ける時代が続いていました。

そのような中、移植を待ちながら亡くなっていく患者・遺族の声や、健康なドナーの体にメスを入れる生体移植に頼る現状の是非についての議論が高まり、平成2年、総理府に、臨時脳死及び臓器移植調査会(脳死臨調)が設置され、脳死の定義について議論が始まりました。
そして、2年近くに及ぶ審議のすえ、
「脳死をもって『人の死』とすることについては概ね社会的に受容され合意されているといってよいものと思われる」
とした上で、一定の条件の下に脳死体からの臓器移植を認める内容の最終答申が提出されたのです。

この答申を受けて、各党・各会派の代表者からなる協議会の場で検討・協議が進められ、様々な修正を重ねて成立したのが、臓器の移植に関する法律です。


この法律では、6条1項で、
「医師は、死亡した者が生存中に臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まないとき又は遺族がないときは、この法律に基づき、移植術に使用されるための臓器を、死体(脳死した者の身体を含む。以下同じ。)から摘出することができる。」
と規定しています。

つまり、

死亡した人が、臓器移植の意思を生前に書面(「臓器提供意思表示カード」など)で表示していて、遺族が拒まない場合に限り、「死体」からその臓器を摘出できる

と規定し、

「死体」には「脳死した者の身体」も含まれる

とすることで、脳死下での臓器提供が可能となりました。

 

法律的には、脳死=死と扱うことで、脳死の段階で「人」ではなくなり、刑法199条の殺人罪「人を殺した者」には該当しないこととなります。
残る問題として、死体から臓器を取り出すことは、外形的には刑法190条の死体損壊罪を構成しますが、この法律に基づき臓器移植をする時には、法令行為(※)として、違法性がないものとして扱われることになります。(※刑法35条に、「法令又は正当な業務による行為は、罰しない。」との規定があります。)

この法律によって、法的脳死判定後に、その人の心臓、肺、肝臓、腎臓、小腸、眼球などの臓器を摘出して、移植を必要とする患者に移植することができるようになりました。


しかし、この法律が1997年10月に施行されてからも、国内での臓器移植は年間数例(具体的には、法律施行から2008年7月末までに、72名の方から臓器提供があり、298名の患者が移植を受けた)にとどまっていました(日本移植学会広報委員会編「脳死臓器提供Q&A」)。
そのため、移植が必要な患者は
生体移植や海外で移植を受ける「渡航移植」に頼らざるをえなかったのです。

その原因は、この法律が、
●本人が生前、臓器提供の意思を書面で示す必要がある
●有効な意思表示をするには、15歳以上でなければならない
という厳格な要件を求めていたからでした。

渡航移植に頼ると言っても、
世界のどの国においても臓器の提供は足りていません。
2008年の国際移植学会で「移植が必要な患者の命は自国で救う努力をすること」という主旨のイスタンブール宣言が出されたことで、この法律を改正する機運が高まり、2010年7月17日、「改正臓器移植法」が施行されています。

改正法では、脳死での臓器提供について、本人が生前に拒否の意志を示していなければ、家族の同意があれば、脳死の方からの臓器提供が可能になりました。
その結果、15歳未満の子どもからも脳死臓器提供が可能になりました。
免許証・保険証の裏に意思表示欄ができたのも、改正法からです。

そして現在、公益社団法人日本臓器移植ネットワークによると、日本で臓器の移植を希望して待機している方はおよそ14,000人おられ、それに対して移植を受けられる方は年間およそ400人とのことです。


自分が脳死になったら。
家族が脳死になったら。
「縁起でもない」と、考えることさえタブー視してしまうかもしれません。
でも、反対に
自分が移植を必要とする体になったら。
家族が移植を必要とする体になったら。
そんな事態だって、絶対にないとは言い切れない世の中です。

少しだけ、「自分ごと」として、考えてみてはいかがでしょうか。

【参考:一般社団法人日本移植学会HP

 

 

◇ ◇ ◇

 

改正された法令として収録されたものに、
酒税法(昭和28年法律第6号)
があります。

平成9年の改正では、
焼酎の税率が引き上げられています。

これは、我が国では、同じ蒸留酒でありながら、ウイスキーの税率が焼酎の税率に比べて高率であったところ、平成7年、焼酎の低い税率が関税及び貿易に関する一般協定(GATT)に違反しているとして、EU、アメリカ、イギリス及びカナダから世界貿易機関(WTO)に提訴され、その結果、日本に対する是正勧告が出されたことを受けたものです。

酒税は、酒類に対して課せられる租税ですが、その歴史は古く、室町時代に足利義満が造酒屋に税を課したことに始まると言われています。明治以降、地租とともに政府の大きな財源となり、一次は国税収入の中で首位となったこともありました。

その後、直接税のウエイトが高まり、令和2年度の酒税収入は11,430億円、税収全体に対する構成比は2.0%です。
割合としては減少していますが、安定した税収が見込まれることから、現在でもその税収上の重要性は無視できないとされています。

酒税法上の「酒類」とは、アルコール分1度以上の飲料とされています。
また、その製造方法の違いにより、

①発泡性酒類(ビール、発泡酒、その他の発泡酒類)
②醸造酒類(清酒、果実酒、その他の醸造酒)
③蒸留酒類(連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ)
④混成酒類(合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュール、粉末酒、雑酒)

の四つに分類されます。
そして、種類、品目、アルコール分等により税率が異なっています。
有名なのが、ビール、発泡酒、いわゆる新ジャンル(第3のビール、とも)で、税率が異なっていることですよね。

ちなみに、2026年10月にはこの区分がなくなる予定で、現在、ビールの税額が段階的に引き下げられ、発泡酒及び新ジャンルの税率が段階的に引き上げられています。

2021年3月現在、1キロリットル当たりの税率は、
ビールが200,000円
発泡酒が134,250円~200,000円(麦芽比率及びアルコール分により異なる)
いわゆる新ジャンルが108,000円
とのこと。

国民生活に密着したものだけに、影響が過度なものにならないよう、徐々に徐々に変更がおこなわれているようです。

そのせいなのでしょうか、
酒税って、割りあい頻繁に、変わっている気がしませんか?

法改正自体は、今回取り上げた平成9年の改正以降、平成10年、平成12年、平成15年(4月・7月・9月の3回)、平成18年、平成29年、平成30年におこなわれていますが、それより頻繁に、「酒税が変わった」というニュースや、売り場のポスターを見かけるような気がします。

酒税については、税収の確保だけでなく、最初に述べたように国際通商問題や、あるいは酒類の販売価格に影響を及ぼすことで酒類の消費量を引き下げて飲酒の負の側面を緩和する、などの観点も考慮する必要があります。
消費者としては、税率が低ければ低いほどうれしいですが、そういうわけにもいかないようですね。

酒類の国内市場は、長中期的に縮小してきている上に、昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大によっても、飲食店を中心に消費が一段と減少しているとのこと。
国税庁としては、商品の差別化・高付加価値化や、海外市場の開拓(輸出促進)などに取り組んでいくそうです。

「SAKE」は日本文化の一つでもあると思います。
現在の状況下、他の業種以上に大変なことも多いのではないかと推察しますが、
是非乗り越えてほしい、つなげてほしいと思います。

【参考:国税庁課税部酒税課・輸出促進室「令和3年3月酒のしおり」

法律での「業界用語」

日々法律事務に携わる中で、

「これって法律分野での『業界用語』なのかな」
「この言葉の使い方は法曹界特有なのかも」

と思うことが多々あります。本当に沢山あります。

そんな「これはもしや…」について、
弁護士でもなく、法学部出身でもない、いちスタッフの目線から
数は少ないですがご紹介してみたいと思います。

  

①趣旨

 

筆者が一番初めに「法律っぽさ」を感じた言葉です。

弊所で勤務を始めたころ、
「これは○○という趣旨です」というように
「趣旨」という言葉が頻繁に使われているのが印象的でした。
そうやって使えばいいのか、便利だな、なんて思った記憶があります。

しかしその後、ドラマ「99.9 -刑事専門弁護士-」見ていた際

元裁判官だった人物が「趣旨」を使って話すのに対し
元同僚である裁判官が「癖が抜けていないね」といった言葉をかける、

という場面を見てハッとしました。
「趣旨」を使うのはやっぱり法曹界の人あるあるなのでは、と。

実際、「趣旨」を含む法律用語を多く目にします。
例えば「立証趣旨」。
裁判所に証拠を提出する際に作成する「証拠説明書」に記載するものですが、言葉のとおり、その証拠を使ってどのような事実を証明したいのかを記載します。
また、訴状に記載する「請求の趣旨」もあります。これはその訴えで求める結論を記載するものです。

こうして頻繁に読み書きしていると
便利な言葉だけに、ついつい使ってしまうのかもしれません。

 

②善意・悪意

 

これはご存知の方も多いのではないでしょうか。
法律用語としては、それぞれ以下のとおりの意味を持ちます。
善意:ある事実・事情を知らないこと
悪意:ある事実・事情を知っていること

よく使われるのは不動産関係などでしょうか。
「他人が所有者として登記されている土地なのに、それを知らずに何年も自分のものだと信じて、また自分のものとして使ってしまっていた…」
こういったケースはざっくり言うと「善意」となるようです。

本来の意味とは異なるため、違和感を感じざるをえませんが
民法がフランス法・ドイツ法の概念を取り入れている
という背景も大きく関係しているようです。

そもそも日本にない概念・文言を持ち込んだことから、
ぴったり一致する日本語がなかったのですね。

きっと、法律を学んでいる方からすれば
他にも違和感を感じる表現が多々あるのではないでしょうか。

 

③しかるべく

 

「しかるべき○○」のように、他の言葉と組み合わせて使うことはありますが
「しかるべく。」と一言で終わらせることって、なかなかないですよね。

しかし、法曹界ではそういった使い方があります。

裁判所からの問いに対する回答として使われますが、その意味は
「こちらは積極的に同意するわけではないが、裁判所の判断には従う」(weblio辞書)、「同意や異議なし」(goo辞書
などとなります。

裁判所の判断におまかせします、といったところでしょうか。

「ご意見ありますか?」「しかるべく、です。」
なんて感じで使われるみたいです。日常でも通じたら結構便利な気がします。

 

その他

 

以上にあげたほか、いくつか簡単にご紹介したいと思います。

【差し支え】
「仕事に差し支える」など、一般的には「支障が生じる」といった意味で使われますが、法曹界では日程調整の場面で使われるようです。
これはまさに「業界用語」ではないでしょうか。
弁護士が「その日は差し支えです」と言ったら、調整不可という意味なので、ぜひ違う日程を伝えてみてください。

【期日】
「締め切り」や「約束した日」をイメージすることが多いのではと思いますが、訴訟法においては「裁判所、当事者などの訴訟関係人が、裁判所に出頭するなどし裁判手続を進行させるために指定された時間」を指します(Wikipedia)。
よく「今日裁判がある」なんて言われることがありますが、「裁判」は、裁判所が法律を用いてトラブルを最終的に解決する手続自体を指しますので、裁判所に出頭することを言いたいのであれば、「期日」のほうがより適切かもしれません。
また、ニュースでよく耳にする「初公判があった」というのも、「1回目の公判期日があった」ということになります。
民事・刑事において期日に関するルール等はそれぞれ異なりますので、興味のある方はぜひ調べてみてください。

【郵券】
読んで字のごとく、「郵便切手」を意味します。裁判所にて訴訟を提起したり、申立をしたりする際は、決められた額の郵券をあらかじめ納めなければなりません。これを「予納郵券」などと呼びます(裁判所によって呼称は異なるようです)。
「郵券」は法曹界で生まれた言葉、というわけではなく、従来一般的に使われていたものがそのまま使われている、という状態のようです。郵便局の方ならわかってくれるかもしれませんね。
ちなみに、最近では郵券のかわりに現金で納付できる裁判所も増えています。

【被告】
こちらは個人的に最も戸惑った言葉です。
ニュースで「○○被告は…」と聞くと、何か事件を起こして捕まった人、というイメージがありますよね。しかし、実際は「被疑者」「被告人」などと呼ばれ、「被告」は民事裁判における当事者の呼称です。
被疑者は、犯罪の疑いをかけられて捜査対象となっている状態で、まだ起訴されていません。よくメディアでは「容疑者」と呼ばれますが、正しくは「被疑者」となります。その後、起訴された者は「被告人」と呼ばれます。
民事裁判において訴えを提起する者を「原告」といい、訴えを提起された者を「被告」と呼ぶのです。何だか「被告=犯罪者」のようなイメージを持たれてしまいそうですが、「被告」は単に原告の「相手方」にすぎません。

 

◇ ◇ ◇

 

以上、
駆け足ではありますが、法曹界でよく聞く言葉をご紹介しました。

どの職種においても「業界用語」的に使われる言葉は様々あると思います。
ご自身の職場ではいかがでしょうか?
他の職種では全く違う意味を持っている、なんてこともあるかもしれません。

弊所でも引き続き法曹界的業界用語をさがしてみたいと思います。

 
  

参考・引用:
Wikipedia
日弁連ホームページ
日弁連子どもページ
裁判所ホームページ
書籍「裁判官の爆笑お言葉集」長嶺超輝(幻冬舎新書)