企業法・授業まとめ-第13回-

授業ブログ第13回目です。

今回は「倒産法」について。
第2回のブログで、会社の一生を人に例えた話をしました。
経営破綻は、その先会社が生き残れるか否かの瀬戸際ではないでしょうか。

そのような事態に陥った場合、
どのような判断をしていくことになるのでしょうか。

前回の復習&今回に向けて

会社というのは営利を目的に設立され、得た利益を構成員に分配するために活動しているが、様々な「法人」があるなか、営利の追求は株式会社の特徴のひとつ。

利益を追求=市場・シェアをどんどん独占していく

というのは間違いではないが、
ある一社が、度を越して市場・シェアを独占してしまうと、消費者が不利になる。

この独占を禁止するために設けられたのが、独占禁止法
(正式名称「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」)

・私的独占
・不当な取引(カルテル、談合)
・不公正な取引方法(再販売価格の拘束、不当廉売、優越的地位の濫用)

を禁止している。そのほか、下請法などの規制もある。

 

以上が前回までの復習。

 

 

企業と倒産法

今回は倒産法について。
「倒産」とはどのようなイメージか。何の手続きをするのか。

*「倒産法」という法律があるわけでないので注意。後ほど解説。

「お金がなくなった状態」
「借金が返せない」
「お金がなくなったことを通知しなければいけない?」

景気が悪い時に、倒産する会社が増えてしまうのは当たり前。
その他、一過性の激しい社会変動があったとき、その衝撃を吸収しきれず倒産してしまう会社というのも結構多い。(例:震災、オイルショックのような経済的混乱など)

⇒じわじわ景気が悪くなっていく、といった状況の時は
会社も順応することで、どうにか延命できたりするケースがある。

 

 

倒産件数推移

グラフを見ると、以上に述べた点だけが理由でないことが分かる。



①第1次オイルショック
②第2次オイルショック
③バブル景気
④リーマンショック

東京商工リサーチHP記載データより作成)

倒産数が増えるのは、前提として会社の数自体が増えているから。
(1950年代~1970年代あたりは、それが理由)

①~④に関しては、前項で述べた通り。

2000年以降は小泉総一郎氏が総理を務めていた時期。
(それが理由かは不明だが)様々な景気対策をおこなっており、
一時的に倒産件数は減っていた。
しかし、リーマンショックにより再度増加。

以上のとおり、実は毎年多くの会社が倒産している。

参考記事:
リーマン負債総額60兆円、史上最大の大型倒産
(2013/9/1 日本経済新聞 電子版)
⇒世界的に大きな事例だと、リーマンブラザーズの破綻。
「リーマンショック」と、会社の名前がついてしまうくらい多大な影響があった。
金融機関の倒産であり、負債総額は60兆円にものぼった。

 

倒産規模ランキング



東京商工リサーチHP記載データより作成)

上記は東京商工リサーチのデータによるランキングだが、
統計の取り方(どこまで負債とみるか)により、負債額は変わってくる。

会社自身が公表する数字と、東京商工リサーチのような、民間の調査会社等の情報をもとに報道される数字にも開きが生じる。
国が発表するものではないし、どちらが単に「正しい」といえるものでもなく、双方の数字を踏まえて「大体これくらいの負債額だったのでは?」と推定する。

*上記ランキングにある「リーマンブラザース証券」は日本の会社であり、
先程の、リーマンブラザーズの60兆円とはまた別の話。

 

ここでポイント☝「倒産法」とは
本稿では「倒産」や「破産」という言葉を多用する。

「倒産法」という法律は存在しない。
経済的に破綻した企業や、個人の財産の清算等にかかる法律の総称であり、「倒産」とは破綻の状態・事実を指すのにも用いられる。
(「企業法」という法律がないことと同じ。これは第1回で触れたとおり。)

倒産というカテゴリー/ジャンルなのであり、そこには大きく分けて
・破産
・更生
・再生
の3つがある。これらをまとめて「倒産」という。

破産とは、会社が消えてなくなること。
更生・再生とは、文字からもわかるとおり、会社が生き延びることができる。
倒産規模ランキングにもあるとおり、日本航空は一度倒産しているが、「更生」の手続きをとったため、今は無事に再上場している。

参考記事:
タカタの負債規模、全産業で歴代8位 16年度累計の半分
(2017/6/16 日本経済新聞 電子版)
⇒タカタの負債総額は「2016年度累計のほぼ半分に相当」すると書かれた。
東京商工リサーチによれば、2017年度の全国企業倒産件数は以下のとおり。

 倒産件数負債総額
2017(平成29)年8,405件3兆1,676憶3,700万円
前年比▲0.48%+57.89%
2016(平成28)年8,446件2兆61億1,900万円

近年は倒産件数が減少傾向にあり、2017年もまた同様であったが、
負債総額が増加しているのは、タカタの倒産が大きな要因であるといえる。
ちなみに・・・
タカタは会社として負債額を3000億円と公表しているが、エアバックのリコールに関する損害賠償義務の額が大きいにもかかわらず、それが計上されていないため、会社発表の数字と報道される数字にはズレが生じている。

4~9月期の企業倒産、8%減の5049件 24年ぶり低水準 商工リサーチ
(2014/10/8 日本経済新聞)

倒産、零細企業が70%超 14年度、民間調査で初
(2014/10/8 日本経済新聞)

 

破産・倒産せずとも、いわゆる経営破綻に陥り、
公的資金により救済されて、経営をやり直した会社も多くある。

表1.日米金融当局により破綻・救済処理された大規模金融機関


岡部陽二氏HPより)

では、具体的にどのような手続・段取で進んでいくのか。
事例を踏まえながら紹介したい。

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