資格試験アラカルト・宅建(5)~登録手続編

宅建ブログ5回目です。
今回は、実際の登録の手続について、共有させていただきます。

 

都道府県への登録申請

 

前回、宅建士として登録するために
「登録実務講習」を受講したことを共有させていただきました。

これで登録に必要な条件がそろいました。
次はいよいよ都道府県への「登録申請」となります。

 

登録申請ですが、
まず、申請先は、試験合格地の都道府県に申請することになります。
私は東京都で受験し合格しましたので、東京都に対して申請をしました。

申請方法は、書類の提出によります。
具体的には、窓口に持参することもできますし、郵送も可能です。
今回は、郵送でおこないました。

提出する書類は、以下のとおりです(かっこ書きは、該当者のみ)。

① 登録申請書
② 誓約書
③ 身分証明書
④ 登記されていないことの証明書
⑤ 住民票
⑥ 合格証書(コピー)
⑦ 顔写真
⑧ 登録資格を証する書面(実務経験を証明する書類/登録実務講習修了証)
(⑨ 従業者証明書(コピー)※現在、宅地建物取引業者に勤務し、宅地建物取引業に従事している方。)
(⑩ 営業に関する法定代理人の許可書等※未成年の方(婚姻したものを除く))
⑪ 返信用封筒
⑫ 運転免許証等顔写真の入った本人確認書類の拡大コピー
⑬ 手数料

持参か郵送かで異なるのは、⑪の返信用封筒だけでした。
また、⑬登録手数料について、
持参の場合、現金37,000円を持参するよう指示があるのに対し、
郵送の場合、書類提出後に都から電話連絡するので、連絡を待って入金するように指示されています。

少し詳しく見ていきましょう。

 

 

登録申請に必要な書類・その役割

 

①登録申請書
②誓約書
これらついては、ホームページ上に様式が準備されていますので、そちらに必要事項を記載します。

 

③身分証明書
こちらは、日常生活における「身分証明書」(例えば運転免許証とかマイナンバーカードなど)のことではなく、本籍地の市区町村で発行してもらう公的な書類になります。
市役所、区役所、町村役場の戸籍課の管轄で、窓口で申請するほか、郵送でも申請が可能です。
手数料は、自治体によって異なるかもしれませんが、例えば弊所が所在する東京都港区では、1通300円となっています。
「成年被後見人及び被保佐人とみなされる者に該当しない旨の証明(禁治産者、準禁治産者ではないと表示されています。)並びに破産者に該当しない旨の証明」をする書類とのことで、私は生まれて初めて発行してもらいました。

 

④登記されていないことの証明書
上記③と似ているのですが、正式名称は「成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の登記事項証明」です。
東京法務局後見登録課、又は全国の法務局・地方法務局(本局)の戸籍課で発行してもらいます。各法務局の窓口で申請するか、又は、郵送の場合は、住所地がどこであっても「東京法務局民事行政部後見登録課」に申請することになります。窓口の場合、支局や出張所では発行できないとのことですので、注意が必要です。
これまた、私は生まれて初めて発行してもらいました。郵送で申請したところ、おおむね1週間弱で届きました。

 


ここで、③④の提出が求められる事由についての豆知識をお伝えします。

従前、改正前宅建業法18条1項2号は、「成年被後見人又は被保佐人」であることを、宅建士の欠格事由としていました。
2019年に、成年被後見人等が不当に差別されることがないよう、「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」が制定され、これによって、宅建業法の前記規定は削除され、代わりに、
「心身の故障により宅地建物取引士の事務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの」(改正後宅建業法18条1項12号)
が欠格事項に追加されました。

これを受けた宅建業法施行規則14条の2の2は、
「法第18条第1項第12号の国土交通省令で定める者は、精神の機能の障害により宅地建物取引士の事務を適正に行うに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。」
と定めています。

つまり、成年被後見人・被保佐人を一律に欠格とするのではなく、該当する人の状態を個別的・実質的に審査し、判断することとしたのです。
というわけで、③④が提出できない場合でも、直ちに宅建士として登録ができない、ということにはなりません。

東京都でも、
成年被後見人又は被保佐人に該当し、身分証明書及び登記されていないことの証明書が提出できない場合は、宅地建物取引士の事務を適正に行う能力を有する旨を記載した医師の診断書が必要となりますので、事前に不動産業課免許担当までお問い合わせください。
という取り扱いがなされているようです。
(これも、宅建試験で勉強した事項です。そういえばそうだった、こういうふうにつながっているんだな、と思います。)

 

⑤住民票
ごく一般的なもので、本籍・続柄は不要、マイナンバーが記載されていないものと指定されています。

以上、公的な機関が発行する③④⑤については、発行日から3か月以内のものという限定がされています。
(そのため、登録実務講習の受講など、申請前に必要な手続がある方は、その手続が終わってから書類を集め始めた方が安心かと思います。) 

⑥合格証書(コピー)
コピーに「原本と相違ありません」と自分で原本証明を記載したものです。
こちらも署名のみで、押印は不要でした。

⑦顔写真
一般的な証明写真です。①に貼付します。

⑧登録資格を証する書面
実務経験が2年以上ある方・ない方で提出内容が異なります。
実務経験がある方は、勤務先の宅地建物取引業者が在職期間等を証明した実務経験証明書、従業者名簿のコピー、業務内容証明書等が必要になります。これらの書面は、勤務先代表者が証明する必要があり、勤務先(過去の勤務先含む)との連絡調整が必要です。
実務経験がない方は、前回紹介した「登録実務講習」を修了したことの証明書(講習実施機関が発行)を提出することになります。

⑨従業者証明書
現在、宅地建物取引業者に勤務し、宅地建物取引業に従事している方が提出します。
宅建業法48条1項は、
「宅地建物取引業者は、国土交通省令の定めるところにより、従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない。」
と規定していて、いわば社員証のようなイメージです。
こちらをコピーして、「原本の内容と相違ありません」と自分で原本証明をします。

⑩営業に関する法定代理人の許可書
未成年の方(婚姻した方を除く)が提出します。
宅地建物業法は、「宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」は宅地建物取引士の登録を受けることができない旨を規定しています(宅建業法18条1項1号)ので、こちらの確認です。

 


 

ここでまたまた豆知識。

「行為能力」とは、契約などの法律行為を「単独で」「確定的に」有効におこなうことができる能力をいいます。

そもそも、法律行為を有効におこなうには、その行為をおこなったら自分の権利や義務がどのようになるかを理解するだけの精神能力(=意思能力といいます)が必要とされているのですが、その行為をした時に自分には意思能力がなかった、と証明するのは難しいですし、相手方にしても、一見しただけではその人に意思能力があるかどうか分からないこともあります(なにせ、内面的な問題ですので)。

そこで、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人については、一般的に判断力が不十分なものとして、それらの者が法定代理人の同意を得ないで単独でおこなった法律行為は、「その行為をした時に意思能力がなかった」ことを具体的に証明しなくても、原則として事後的に取り消せることとして、その保護が図られています。
このことを、未成年者等は「行為能力が制限されている」といい、未成年者等を「制限行為能力者」といいます。

宅建試験は、日本国内に居住する方であれば、年齢、学歴等に関係なく、誰でも受験できますので、当然、未成年の方が合格することもあり得ます。
しかし、宅建士が締結した契約等について、「実は未成年者がやった行為なので、取り消します」と言われてしまうとしたら、相手方は安心して取引ができません。
そこで、宅建士として登録し、実務に従事するためには、「成年者と同一の行為能力」を有することを条件としているのです。

次に、どうやったら「成年者と同一の行為能力」が認められるかというと、
①法定代理人から営業の許可を得ること
②婚姻すること
以上の2パターンがあります。
(ただし、②については、2022年4月1日施行の民法改正により、成年年齢が18歳に引き下げられたこと、婚姻適齢が男女とも18歳以上となった(従前は、女性は16歳以上とされていた)ことで、未成年者が婚姻することができなくなり、それに伴って「未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。」と規定していた旧民法753条が削除されましたので、今後数年のうちには該当者はいなくなると思われます。)

以上のような理由で、未成年者の方は「営業に関する法定代理人の許可書」を提出する必要があるけれども、婚姻した未成年者の方はこれを提出しなくてよいのです。

具体的な手続のためには、宅建業法の条文だけではなく、民法等の条文(しかも改正過程まで)も広く知っておく必要があるのですね。
「資格試験の勉強」と「実務」の違いを、こんなところでも実感しました。

 


 

残りは以下のとおりとなります。

⑪返信用封筒
A4版が入るサイズに210円切手を貼り、自分の住所を記載した封筒となります。

⑫運転免許証等顔写真の入った本人確認書類の拡大コピー
顔がわかるよう拡大し、余白に、日中連絡が取れる電話番号を記載したものです。

⑬手数料
既述のとおり、先方からの電話連絡を待っての支払いとなりますので、提出時点では不要です。

 

こちら、令和5年2月16日に普通郵便で申請書を郵送したところ、同月21日に申請書類がそろっていることを確認したので、手数料37,000円を「現金書留」で書類と同じ宛先に送るように、と電話連絡がありました。

試験直後の時期などは、込み合っていてもう少し時間がかかるかもしれませんが、案外素早いな、という印象です。

 

それにしても、「現金書留」。
なんというか、オールドファッションですよね。
税金でさえ決済アプリで納付できたりする昨今、クレジットカード払いさえできないというのは、驚きでした。係員の方だって、現金を取り扱うのは気を遣って嫌だろうと思うのですが。
まあ、収入印紙や小為替で、と指定しないだけ手間が少ないのかもしれません。

そして、令和5年3月22日付で東京都知事名の「宅地建物取引士資格登録について」という葉書が自宅に届きました。
登録番号が付されており、これで私も、宅地建物取引士の仲間入りです。

………ところが手続としてはこれで終わりではなく、実務に従事したい場合は、さらに、「取引士証」の交付申請をしなければならないのでした。
なかなか、道のりは長いです。
「取引士証」取得まで進むかどうかは、少し検討しようかと思っています…。

 

◇ ◇ ◇

 

というところで、もし「取引士証」を取得することになったら、次回はその手続についてお伝えしたいと思います。
(合格後1年を経過してしまうと、法定講習を受講しなければいけないようです。その時までに次回記事が投稿されていないようでしたら、今回は見送ったのだな、とご理解ください。)

では。

資格試験アラカルト・宅建(4)~登録実務講習体験記編

宅建ブログ4回目です。
今回は、登録実務講習の様子について、共有させていただきます。

 

「登録実務講習」って?

 

そもそも、「登録実務講習」って何?という感じですが、
ざっくり言えば、実務経験のない人が、宅建士登録するために受けなければならない講習、です。

宅地建物取引士資格試験に合格しても、それだけでは、宅地建物取引士としての業務をおこなうことはできません。
試験合格後、都道府県知事への「登録」をすることで、宅地建物取引士資格者となり、「宅建士証」の交付を受けて、初めて宅地建物取引士としての業務をおこなうことができます。

そして、この宅地建物取引士の「登録」については、宅建業法及び同法施行規則で、

「試験に合格した者」かつ
「2年以上の実務経験を有するもの」(法18条、規則13条の15)

又は

「国土交通大臣がそれと同等以上の能力を有すると認めたもの」(法18条)

でなければならないと規定されていて、
その、同等以上の能力を有すると認められるための要件の一つが、

「登録実務講習」を修了した者(規則13条の16第1号)

なのです。

つまり、宅建士の「登録」のためには、

①「試験合格」+「実務経験2年以上」
②「試験合格」+「登録実務講習を修了」
等のどちらかが必要、とされていて、
私の場合、宅地建物の取引に関する実務に携わった経験が全くないので、②の「登録実務講習」を受講する必要があった、ということです。

 

実施機関

 

登録実務講習は、国土交通大臣の登録を受けた機関が実施することになっています。
令和4年11月14日現在の実施機関は、19機関あるようです。

これらの機関が、それぞれに講習をおこなっているのですが、講習の内容については、宅地建物取引業法施行規則13条の21第4号で

・宅地建物取引士制度に関する科目が講義1時間
・宅地又は建物の取引実務に関する科目が講義37時間

などと定められています。
そのため、どこの機関の講習を申し込んでも、科目やコマ数は共通になっています。
(念のためネット情報も検索してみたのですが、特に「ここがいい!」とか、逆に「ここはやめておけ!」のような情報はないようでした。いずれも独自性を競うようなことはしておらず、大差はない、というところではないかと思います。)
実施機関によって違うのは、会場(場所)、日程、費用などでしょうか。

大手の資格試験予備校などは、全国の会場で多数の日程にわたって講習をおこなっている一方、地方に事務所がある機関では、当該地方で少数の日程しか講習をおこなっていないところが多いようでした。
費用については、おおむね同程度で、22,000円(消費税込)が相場のようです。
(地方の機関がおこなっている講習では安価な設定のものがあるようでしたが、条件が合わず、今回は使えませんでした。)

今回私は、そのうちの「TAC株式会社」で登録実務講習を受講しました。
費用は、相場どおりの22,000円(消費税込)です。
上述のように、どの機関を選んでも大差はないように思ったので、選択のポイントは、(またしても)自宅から通いやすいこと、です。

というのも、この講習の一番重要なポイントは、(後で詳述しますが)

▼2日間にわたり、朝から夕方までのスクーリングに参加が必要(オンライン等不可)
▼欠席・遅刻・早退・中抜けは一切認められない

というところだからです。
(最後に修了試験はありますが、これはそもそもが「受からせるための試験」です。受験できれば、まあ間違いなく合格できると思われます。)

そこで、「2日間、スクーリングの全講義に出席すること」というミッションを確実に達成するため、
・迷子にならない(土地勘がある)
・最悪、交通機関がマヒしてもたどり着ける
ということで、自宅近くの会場が設定されていたTACを選びました。

(受講してみて分かったことですが、実施機関側も、受講者を1回で修了試験に受からせたい、といろいろな便宜を図ってくれます。でも、遅刻・欠席だけは、どうにも救済できないようでした。
朝が苦手な方は、8時半始まりのところではなく9時半始まりの講習を選ぶなど、対策されてください。)

 

申込手続

 

申込みの際は、宅建試験合格証書のコピーが必要となります。
TACでは、何故かオンラインでは申し込みができず、窓口に行くか、郵送でした。
費用は、郵送の場合は先に振込んで振込控えを提出する形で、窓口の場合は現金のほかクレジットカードも使えました。

どんどん枠が埋まっていくので、早めに申し込むのが良いと思いますが、ただ、「申し込み後、会場や日程の変更は一切できない、振り替えもできない(キャンセルの場合も返金しない)がよろしいですか」と何度も念押しされましたので、その点は十分注意が必要です。
(実際、業務に差しさわりのない時期を選んだつもりが、急遽、書面提出の締め切りが入ってしまい、できることなら変更したい!と電話してみたのですが、「変更はできません」とけんもほろろに断られました。)

 

カリキュラムと実際の様子

 

カリキュラムは、大まかに、
①通信学習
②スクーリング
③修了試験
の三つです。

①通信学習(約1か月間)
スクーリング日の1か月くらい前に、自宅にテキスト等が届けられ、これを使ってWeb講義を受講します。
ここで使用する教材は、以下となります。
・送られてきたテキスト1冊+確認テスト1冊
・インターネットからダウンロードした講義動画×3回分
(各回2時間20分程。各回、前半・後半の2ファイルに分かれています。)
・講義録のPDFファイル×3回分

教材については、実施機関によっていろいろ違いがあるようで、例えば、最大手のLECでは、DVD教材を使用しておこなうそうです。

TACではWeb講義で、視聴には、「TAC WEB SCHOOL」というアプリを使用します。
巻き戻しや早送り、再生速度の変更、「しおり」を挟んで次回そこから再生できるようにする、などの機能があって、使い勝手は悪くなかったです。(HPから事前に、動作環境の確認もできます。)

なお、講義動画は、ファイルをダウンロードして視聴するのですが、(ダウンロードしても)インターネットに接続されていない環境では再生できないようでした。自宅にwi-fi環境がない方は、要注意かもしれません。
講義中、板書等はしないので、画面が小さくても問題ないです。私はスマホで視聴しましたが、「大きい画面で見たい」と思うことはなかったです(なんなら、音声だけで充分だと思います)。

内容は、宅建試験の復習又は延長のようなものになっており、やっていて、なんとなく「こういうの勉強したなあ」と懐かしい感じがしました。難易度も同じくらいなので、試験合格者の方なら、恐れるに足らず、だと思います。

 

②スクーリング(演習)(12時間)
重要事項説明・契約書の作成等について、事例を基に演習をおこないます。
(先ほども書いたとおり)この講習の肝は、このスクーリング講義、すべてに出席することです。ほとんどの機関が2日間で実施していますが、中には、1日で全て終わらせるところがあるそうです(ただし、時間数は12時間で同じ)。
1コマでも欠席・遅刻・早退・中抜けをすると、修了試験の受験が認められません(つまり、講習を修了することができません)。

実際の演習の内容は、
一軒家の売買にかかる事例が示され、
その事例についての「重要事項説明書」と「売買契約書」を作成する
(実際の「重要事項説明書」と「売買契約書」の、要所要所が空欄になっているものが示されて、それを穴埋めする)
というものです。

こちらも、問われている内容は宅建試験でやったことの復習ですし、答えは示される資料(不動産登記簿など)に書いてあって、それを拾い出して書き写すだけなので、登記簿等を見たことがある人だったら、恐れるに足らない、と思います。
(これまでに全く不動産登記を見たことがない人だと、1回目は少し戸惑うかもしれませんが、スクーリング中にどこを見たら知りたい情報が書いてあるか、丁寧に教えてくれますので、講師の話さえ聞いていれば大丈夫だと思います。)

今回の場合、講師は不動産鑑定士をされている方でした。
土地建物の取引の実務に日々携わっておられる方なので、実務上で用いられる略語とか、実務の最近の動きなどが説明にちりばめられており、「そうなんだ!」と、興味津々でした。

ただ、実施機関側としては、何としても「修了試験を受けてもらい、1回で合格してもらう」ことを至上命題としているようで、
そういった実務的なお話などより、「修了試験にはここが出ます」(言葉は少し濁して言われますが、翻訳するとそういう意味)というお話が大半でした。
(そのため、正直なところ①の通信学習は、受けなくても支障はない(修了試験合格のためには)と思います。Web講義を聞かなくても、スクーリング中に、修了試験にでるところは全部、「復習」として教えていただけます。)

 

③修了試験(1時間)
一問一答式と記述式があり、それぞれで8割以上の得点を取ると合格=登録実務講習修了となります。
試験中は、通信教育のテキスト、スクーリングのテキスト、スクーリング当日に配布されるノート(穴埋め式)の3冊を持ち込むことができます。その3冊以外から出題されることはなく、時間も60分たっぷりあるので、まあ、ほぼ不合格になることはないのではないか、と思います。
(マークシートで、マークする場所が全部一つずれていた、とかでなければ…)
提出時、問題用紙は回収されます。試験開始から30分経過後、途中退席も可です。

もし不合格となった場合、追試等の救済措置はない、とのことでした。
(ただし、修了試験に不合格になってしまった場合、1回に限り無料で再受講可能となっている機関が多いようです。その場合、修了試験だけを再受験するということはできず、スクーリング12時間を全部最初から受講する必要があるようです。)

 

受講してみての雑多な感想ですが、

〇2クラスに分けて実施されました。教室にはかなりゆとりがあり、3人席を一人で使える状態だったので、快適でした。(通信教育のテキストと、スクーリングのテキストとノート、3冊同時に開いて作業する、みたいなこともありますので、スペースは広い方がやりやすいです。)

〇会社の同僚?と思しきグループで受講されている方もいらっしゃいましたが、一人で受講されている方が多く、(私も一人での受講でしたが)独りぼっち感はなかったです。

〇受講生は、男女比は半々くらい、年代は20代から60代くらい?までバラバラといった感じでした。

〇時間割上、「演習①9:30~12:30」のように記載されていますが、実際は1時間ごとに10分程度の休憩がありました。1コマ3時間は長い、集中力が切れてしまうのではないだろうかと心配していたのですが、ちゃんと配慮されていました。なお、各コマの最初に、結構厳密な(写真との照合もされているようでした)出欠確認がありますのでご注意ください。

 

最終的な感想としては、
〇試験勉強で自分が勉強していたことは、実務でこういうふうに使われているんだ、というのが理解でき、何というか、「身になった」気がした
〇最初に不安に思ったほど、大変ではなかった
→結論「受けてよかった」、といったところでしょうか。

私は、今のところ、不動産取引そのものに携わる予定はないのですが、弊所での業務でも、不動産売買契約書や重要事項説明書を参照する機会は少なくないので(法務デューデリジェンス等)、今回得た知識を活かしていきたいな、と改めて思いました。

 

◇ ◇ ◇

 

そして、1週間後くらいに、無事に修了証が郵送で届きました。
これを添付して、各都道府県に「宅地建物取引士資格登録申請」をすることになります。

次回、その手続についてお伝えしたいと思います。
では。

資格試験アラカルト・宅建(3)~試験当日ってどんな感じ?編

宅建ブログ3回目です。

今回は、実際の宅建試験の様子について、共有させていただきます。

 

申し込みについて

 

前回も記載したとおり、
宅建試験は、原則として毎年10月の第3日曜日に実施されます。
令和4年は、10月16日(日)で、13時から15時までの2時間実施されました。

 

ちなみに、申込みについては

インターネット:令和4年7月1日(金)9時30分から7月19日(火)21時59分まで
郵送     :令和4年7月1日(金)から7月29日(金)まで(窓口消印有効)

以上の方法・スケジュールとなっていました。

お薦めは、インターネット(スマホ)申込みです。
顔写真を提出しなければならないのですが、スマホなら、カメラで撮影した画像を添付して送るだけなので、写真館などに行く手間がないです。
また、郵送は簡易書留で送る必要があることも要注意です(その辺の封筒に入れて適当に送ればいいというものではないです)。

受験手数料は8,200円で、クレジットカード払いかコンビニ決済です。
また、申し込む際に、試験会場を選択することができます。

コロナ対策として、申込み者多数の場合は、10月と12月の2回に分けて試験が実施されることとなっていて、実際、令和2年度及び令和3年度は12月試験がおこなわれましたが、令和4年度は10月試験の1回のみでした。

 

実は、私は申込む際に、待っていたらもしかして12月試験が選べるようになるかも、そうしたら勉強できる時間が長くなるかも、と淡い期待を抱いて、10日くらい様子を見ていたのですが、全然その気配がなかったので、あきらめて申し込んだというエピソードもあります…

実際のところは、人気のある会場から埋まっていきますので、そんな悪あがきをせず、早めに申し込むのが良いと思います(反省を込めて)。

 

私は、会場として、大妻女子大学(東京都市ヶ谷)を選択しました。
ポイントは二つあって、

①女性受験生専用の会場だった
②まあまあ土地勘があった

ということです。

①については、女性の方でしたらきっと頷いていただけるのではないかと思うのですが、イベントごとで、女性用トイレだけ大渋滞(男性用は空いている)っていう事態、「あるある」ですよね。
女子大ならば、その辺は抜かりがないだろう、と踏みました。
また、隣に座る方が同性の方が、いろいろ気楽かもしれない、とも思いました。

(結果的に、大正解でした。各階に広い女性用トイレが設置されていてスムーズに利用できましたし、同室者のたばこのにおいが気になって集中できない、みたいなこともありませんでした。
たばこの件は、女性でも喫煙者の方はいらっしゃいますので、確率の話でしかないのですが。ご参考までに、2019年の喫煙率は、男性27.1%、女性7.6%だそうです。)

 

②については、これまた個人的事情なのですが、私はかなりの方向音痴で、地図を見ても目的地になかなかたどり着けない(Googleマップなどのアプリを使うようになって、かなりマシになりましたが、それでもスマホをぐるぐる回さないと方向が分からなかったり、GPSがうまく働かず目的地付近をぐるぐる回ったりすることがあります)せいです。

試験会場にたどり着けなかったらどうしよう、という余計なストレスをなくすため、会場リストの中から、土地勘があるところを最優先で選択しました。
「せっかくだから、憧れのあの大学で受けてみたい!」みたいな理由で決めるのもありだとは思うのですが、その場合は、事前に下見しておくことをお勧めします。

 

何といっても、1年に1度しかない試験なので、遅刻してしまったり、遅刻はせずともギリギリになったせいで落ち着いて受験できなかったり、実力以外のところで不合格になってしまうリスクは極力なくしておきたいものです。
試験開始は13時なので、朝が弱い方でもそれほど心配はないようにも思うのですが、念には念を、です。

多分、お一人お一人に、大事なポイントや譲れない事情があると思いますので、そこをクリアするベストな会場を選んでください。

 

 

試験当日の様子

 

さて、試験日当日。

学生時代から一夜漬け派(追い込まれないとやれないタイプ)だった私ですが、ここは無理をせず、「前日は早く寝る」作戦を採りました。

そして、当日早めに会場周辺へ移動し、会場周辺で最後の詰込みをすることに。
ちょうど、季節的に暑くもなく寒くもない時期で、お天気が良かったこともあり、靖国神社の境内で、ベンチに座ってテキストを読みました。

・絶対出ると予想した「重要事項説明と37条書面の違い」

・それまで何回やっても覚えられなかった「報酬の上限」

・いろいろな「数字」
(例えば、建築基準法の建築物の高さ制限○○メートル以下とか、似たような数字がたくさん出てきます。あまりにも覚えられないので、「ここは最後の数時間に賭ける」と決めていました。)

など、一番苦手としているところをぎゅっと詰め込んで、あとはなるようになれ、という気持ちで、開場早々に会場に乗り込みました。

 

ここで一言アドバイス。

試験が13時開始で、11時45分開場、遅くとも12時30分までには会場に入らないといけません。お昼ご飯は早めに済ませましょう。
お腹いっぱいで眠くなってしまう、なんていう事態を避けるためにも、軽めにブランチとかにしておくのも良いかもしれません。

 

座席は、コロナ対策か、はたまたカンニング対策か、隣同士1席空けて座るよう指定されますので、隣の人と肘がぶつかるといったことはありませんでした。
ただ、割と大きめの教室だったので、横長の机に4人くらい座ることになり、そうすると真ん中の席の人は、出入りするたびに出入り口側の人に立ってもらわないといけない、ということはありました。

希望することができるのは「会場」までで、(昨今の映画館のように)「教室」や「席」まで指定できるわけではないので、この辺りは、運としか言えません。
そういう席になることもあるんだな、と心の準備をしておけば落胆することも少ないように思います。

なお、試験時間は2時間ですので、途中で出入りすることは基本的にはないと思います。後は、席によって空調の効き具合も異なる可能性がありますので、例えば脱ぎ着しやすいカーディガンなどを準備しておくと安心かもしれません(基本的には空調設備が整っていると思われ、心配し過ぎることはないと思います)。

スマホやスマートウォッチは、電源を切った上、机上に用意されている封筒に封入して席の下に置くよう指示されます(回収はされません。試験終了後、自分で封筒を破って出しました)。
私が受験した教室には掛時計が設置されていましたが、もしかすると会場によってはなかったり見にくいこともあるかもしれませんので、普通の腕時計を準備した方が良いと思います(ちなみに、置時計は不可となっています)。

 

全くの余談ですが、試験監督の方々は、おそらく大学関係者(?)がアルバイトでやられているみたいで、「本部の準備がなっていない」とか、「お昼休み時間に受験生の対応をしなければいけなかったから、超過勤務手当を請求しよう」なんておしゃべりをしていたり、何というか、気が抜けました。
教室やトイレの場所は教えてもらえますが、試験についての質問は受け付けてもらえないようです。

(さらに余談になりますが、私はかつて、旧司法試験の試験監督をした経験があります。その時は、受験生の方々の表情も一様に厳しく、係員としても、もしかするとその受験生の方の一生がかかっているかもしれない、と思えて、「始め」の合図を発するのにも緊張したものでした。やはり、試験の重みが全然違う、ということでしょうか。)

 

 

試験問題について

 

実際の試験問題は、不動産適正取引推進機構HPで公表されています。

構成としては

 権利関係
 ↓
 法令上の制限
 ↓
 税
 ↓
 宅建業法
 ↓
 その他

という並びです。

 

私は、
○ まず頭から順番に解いていき、

○ 問27(報酬限度額の計算を含む)だけは、ゆっくり落ち着いて解いた方が良いと思い、最後に回しました。

○ 途中、テキストや問題集で全く見たことのない問題が幾つか出てきましたが、こういう問題は多分皆できない(少なくとも苦労する)んだ、と思って動揺しないようにしました。

○ 最終的に、時間が余って困るほどでもなく、時間が足りずに慌てることもなく、ひととおり回答し終わって全体を軽く見直しをしてもまだ余裕がある、という感じでした(余り何度も見直すと、かえって迷ってしまうと思い、1回しか見直しはせず、後はひたすら終了を待ちました。なお、途中退席不可です)。

難易度や出題傾向的には、全体として過去問の傾向からそれほど乖離しておらず、想定の範囲内だったかなと思います。
ですので、過去問を繰り返し解いて、「こういうところで間違えさせようとするんだな」というポイントさえ押さえておけば、細かい論点や知識を全部網羅しなくても、十分対応可能だと思いました。

 

試験が終わると、受験生が一斉に駅に移動することになりますが、こちらも特に混乱することはなく(偶然居合わせた方にしてみたら、女性の集団が無言で同じ方向に進んでいくので、何事だろう、とは思われたかもしれませんね)、スムーズに帰宅できました。
試験のボリューム的にも、負担が少なくて良かったと思います。

 

その日の夜や、翌日には、各予備校などのHPで模範解答や合格予想点が発表されていたようです。
私は、見るのも怖いし見ないのも怖い、でもまあ、初志貫徹して受験できただけでも一つ達成だから、合格できるかどうかは一喜一憂せず待とう、という気持ちで、あえてそれらのページは見ずに合格発表を待ちました。

 

 

合格発表

 

令和4年の合格発表は、11月22日(火)でした。

午前9時30分から、試験団体のHPに、合格者受験番号が掲示されます。
どきどきしながら発表を見て、自分の番号を見付けたときは、とてもとても安堵したことを覚えています。

そして、翌日仕事を終えて帰宅すると、簡易書留郵便が届いており、合格証書が入っていました(不合格者には、結果の通知はおこなわないそうです)。

A4の紙1枚だけですが、なんというか、少し重みを感じました。

 

◇ ◇ ◇

 

というわけで、試験当日から合格発表までの様子について共有させていただきました。

次回は、試験に合格しただけではゴールではなくて、「登録実務講習」が必要だ、ということと、実際の講習の様子をお伝えできたらと思います。
では。