六法全書クロニクル ~改正史記~ 平成26年版

六法全書 平成26年版

この年の六法全書に新収録された法令に、
食品表示法(平成25年法律第70号)があります。

食品の表示は、消費者が食品を購入するとき、
食品の内容を正しく理解し、選択したり、摂取する際の安全性を確保したりする上で重要な情報源となっています。

しかし、かつては
食品衛生法(厚生労働省)
JAS法(農林水産省)
健康増進法(厚生労働省)
という、所管省庁が異なる三つの法律でルールが定められていました。

複数の法律でバラバラにルールが定められており、制度が複雑であることで、
消費者等にとって分かりにくい表示になっているとの批判があったため、
これらを統合するものとして制定されたのが、この法律です。

食品表示法は、
それまでの食品衛生法等で定められていた事項を基本的に引き継いでいますが、
変更になった部分もあります。

①アレルギー表示のルールの改善

②加工食品の栄養成分表示の義務化

③機能性表示食品制度の導入

①アレルギー表示のルールの改正
これまで表示されていなかったものについても、
原則として個別の原材料や添加物にアレルゲンが表示されることとなりました。

 

②加工食品の栄養成分表示の義務化
容器包装に入れられた加工食品について、
熱量(カロリー)、タンパク質、脂質、
炭水化物、ナトリウムの量(食塩相当量)が表示されることとなりました。

スーパーやコンビニでお買い物する際、これらの表示をチェックして
健康的な食事をするよう気を配っている方も多いのでは?

 

③機能性表示食品制度の導入
それまで認められていた
「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」に加えて、
「機能性表示食品」の制度ができました。

機能性表示食品のパッケージには、
「おなかの調子を整えます」
「脂肪の吸収を穏やかにします」というような文言が表示されています。

これは、企業が表示したい“健康への働き”や“安全性”を証明する届出書類を
消費者庁に提出することで、表示が可能になります。
「トクホ」には厳しい認定基準があり、国が食品ごとに効果や安全性を審査しています。「栄養機能食品」は、既に科学的な根拠が確認されたビタミンやミネラルなどの国が定めた栄養成分を基準量含んでいる食品であれば、特に届け出なくても表示できます。

一方、「機能性表示食品」は、消費者庁に必要な書類を提出すれば、審査はなく、国の基準値なども設定されていないので、企業の責任において健康への働きを表示できるのが大きな違いです。

 

同じ「健康に良い」食品でも、種類によってこんな違いがあるなんて…
皆さんご存知でしたでしょうか?
違いをきちんと知り、健康の維持・増進のため、上手に取り入れたいものです。

(参考:日本医師会ホームページ「健康の森」気になるコトバ「機能性表示食品」

 

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改正された法令として収録されたものに、
刑法(明治40年法律第45号)があります。

刑法は、頻繁に改正されている法律ですが、
この年の改正では、刑の一部の執行猶予制度が導入されました。

刑の一部の執行猶予制度とは、
裁判所が、3年以下の刑期の懲役・禁錮を言い渡す際に、その刑の一部について、1~5年間、執行を猶予することができる制度です。

例えば、「被告人を懲役3年に処する。その刑の一部である懲役1年の執行を、3年間猶予する。」などの刑の言渡しが可能になりました。
この場合、まず、猶予されなかった2年の懲役刑の執行のため刑務所に服役することになります。
その服役が終わった後に、猶予された1年の執行猶予期間である3年間がスタートします。執行猶予が取り消されないで執行猶予の期間が満了すれば、残っている1年分の懲役刑の執行はされなくなる、という仕組みです。

この改正がおこなわれる前は、全部実刑か、全部執行猶予かの二択でした。

全部執行猶予とされた場合には、
その人に再犯防止・改善更生の教育や指導を義務付けることはできませんし
短期の実刑とされた場合には、
施設内で再犯防止・改善更生の教育や指導をするにも、
仮釈放後に保護観察に付してこれらの教育・指導を行うにも期間が短く、
十分な効果を挙げられない場合があるとの指摘がなされていました。

そこで定められたのが本制度。

一定期間施設内で教育・指導を実施したのち、刑の一部の執行を猶予し、
その猶予期間中に社会内で改善更生を促す働き掛けをおこなえるようにすることで、再犯防止や改善更生を図ることを目的としています。

対象は、初入者と、薬物自己使用の累犯者などです。
執行猶予期間中に、罪を犯して禁固以上の刑に処せられた場合などには、
一部執行猶予が取り消されることもあります。
(その場合は、再び刑務所に収容されて服役することになります。)

少し前にも、執行猶予歴のある芸能人が再び逮捕されたというニュースが報道され、世間を騒がせていました。
犯罪は「犯人を捕まえたらそれで一件落着」ではない、
ということを強く感じます。

犯罪者は、刑務所に入るにせよ入らないにせよ、
(ごく一部の例外を除いて)やがて社会に戻ってきます。
安全で安心して暮らせる社会を実現するためには、彼らに、健全な社会の一員として、立ち直ってもらわなければならないのです。やみくもに刑を厳しくし、長期間社会から隔離するだけでは、解決になりません。

こうした様々な取組が続けられ、
一人でも多くの人が立ち直れるよう、関心を持ち続けたいと思います。

六法全書クロニクル ~改正史記~ 平成27年版

六法全書 平成27年版

 

この年の六法全書に新収録された法令に、
少年鑑別所法(平成26年法律第59号)があります。

「少年鑑別所」という組織自体は昭和24年からあったのですが、
この法律ができるまでは独立の根拠法がなく、
旧少年院法にわずかな条文が置かれていただけでした。

各都道府県庁所在地など、全国で52か所に設置されていますが、
さて、皆さんは少年鑑別所についてどのくらいご存知でしょうか?

 

「非行少年が入るところ」くらいの漠然としたイメージはあっても、
少年院との違いなど、詳しく理解している方は少ないのではないでしょうか。

ものすごくざっくり説明してしまうと、
少年鑑別所と少年院の関係は、成人で言う拘置所と刑務所の関係に似ています。

拘置所(少年鑑別所)
まだ裁判(審判)の結果が出ていない人が収容される。

刑務所(少年院)
裁判(審判)の結果、刑(保護処分)が言い渡された人が収容される。

 

ここで「どっちにしろ、自分は非行少年じゃないから関係ないよ」と思われた方、
それだけじゃないんですよ。

実は、少年鑑別所は「法務少年支援センター」としても活動しているんです。

 

非行少年と向き合う中で培ってきた専門的知識や技術を活用し、
地域の相談機関の一つとして、一般の方からの心理相談に応じてくれます。

ご本人だけでなく、ご家族の方、学校の先生、
また支援機関の方などからの相談も受け付けてくれるとのこと。
カウンセリングや、心理検査を受けることもでき、
もし、自分たちが対応できない場合には、
他の専門的な機関を紹介してくれたりもするそうです。

 

物質的には豊かになった反面、心の問題を抱えている人も多いと言われる現代。

こんな機関も助けてくれるんだということを覚えておくと、
少し、勇気が持てるかもしれません。

 

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改正された法令として収録されたものとしては、
国民の祝日に関する法律 (昭和23年法律第178号)があります。

この改正で、「山の日」が制定されました。
祝日の新設は、「海の日」以来、約20年ぶりのことでした。
(「海の日」は平成7年に法改正、平成8年から施行。)

これにより、年間の国民の祝日数は、15日から16日に増えました。

 

さて、「山の日」ってどんな日でしょう?

法律は、
八月十一日 山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する。」と定めています。

8月としては初めての国民の祝日で、改正法は平成28年1月1日から施行されていますので、日本で最初の山の日は、平成28年8月11日ということになります。

 

山に関する大きな出来事が8月11日にあった、というわけではなく、
日付を「8月11日」とするまでには紆余曲折があったようです。

制定の過程では、
「夏山シーズン前の、山々がもっとも輝く月」として
6月第1日曜日が提言されたり、

「8月13日からのお盆につながる、夏山シーズン」を狙った
8月12日を推す声も多かったといいます。

しかし、8月12日は、御巣鷹山日航機事故という悲劇があった日でもあり、
慰霊の日を祝日とすべきでないということから、最終的に8月11日とされたよう。
(参考:以前の記事でも触れましたが、2020年は「平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法」の規定によって、山の日が8月10日へ移動されます。)

 

都会で暮らしていると、
日常生活において「山の恩恵」について考えることはほとんどないのでは。

識者によると、
森林が山間部に分布することで、
災害の防止・洪水の緩和等の役割を果たしていたり、
貴重な動植物の生息生育の場であったり、
木材を生産するなど、
山は多面的な機能を有しているそうです。

また、美しい景観や、静けさ、森の香りなどが、人間の五感を楽しませ、
レクリエーション活動の場としても、山は重要な役割を果たしています。
(参考:林野庁HP

せっかく増えた、新しい祝日。
山に関連したイベントなども多数おこなわれているようですので、
その意義を感じつつ、満喫したいものです。

六法全書クロニクル ~改正史記~ 平成28年版

六法全書 平成28年版

 

 

この年の六法全書に新収録された法令に、

平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法(平成27年法律第33号)

があります。
(元号は令和に変わりましたが、法律の名前は「平成32年」のままです。)

“東京”オリンピック・パラリンピックではありますが、
国家的に特に重要ということで、国をあげて準備・運営に当たるための法律です。この年から、準備に取り組んでいたんですね。

 

内容としては大きく四つ、

①大会推進本部を設置する
②基本方針を策定する
③国有財産を無償で使用させるなどの「特別措置」を講ずる
④国民の祝日を特例としてずらす

ということが定められています。

 

このうち、③の「特別措置」って、どんなことするの?って思いませんか?
具体的には、

  • 国有財産法2条に定める国有財産を、オリンピック組織委員会等に、無償で使用させることができる(14条)
  • お年玉付年賀はがきの収入を、大会の準備・運営に充てることができる(15条)
  • 国の職員を、オリンピック組織委員会に派遣することができる(17条)

などのことが書かれています。
こうして法律の条文を眺めていると、

「国が何か特別なことをするためには、
いちいち法律を作ってからでないとできないんだ」

ということがよく分かります。
(例えば、あなたが、自分の持ち物を誰かにタダで使わせてあげようと思ったら、
それについて書かれた法律なんかなくても、自由に使わせてあげられますよね。
でも、国にはそれができないんです。)

 

また、④に“祝日をずらす”とありますが
具体的には、2020年に限り、

「海の日」を7月23日に、
「体育の日※」を7月24日に、
「山の日」を8月10日にするそうです。
(※「体育の日」は、2020年以降、「スポーツの日」に名称変更)

すると(開催の可否が議論されている昨今ですが、もし予定通り開催されれば)
7月23日はオリンピック開会式前日、
7月24日はオリンピック開会式当日、
8月10日はオリンピック閉会式翌日に当たります。

開催期間中の、東京中心部の混雑緩和を狙っているとのこと。

こんな風に、法律でたくさんの“特別扱い”が決められているなんて、
「オリンピック・パラリンピックって、本当におおごとなんだな」
って思います。
たくさんの人の思いを背負った大会、無事開催されることを祈りたいものです。

 

~~~

 

また、改正された法令として収録されたものに、学校教育法があります。

この改正によって、小学校から中学校までの義務教育を一貫しておこなう
「義務教育学校」が新設されるなど、小中一貫教育の制度化が図られました。

それまでは、各自治体や学校現場での取り組みが10数年以上にわたって蓄積され、成果が報告されていた中、正式に、小中一貫教育が学校制度として位置付けられたわけです。

多分、ご自分が小中一貫教育の学校を卒業したよ、という方はまだこちらにはいらっしゃらないかとは思いますが…
お子様が小中一貫校に通っているという方はいらっしゃるかもしれません。

小中一貫教育には、次のようなメリットがあるそうです。

  • 既存の枠にとらわれず、9年間という長期的な教育ができる
  • 小学校から中学校に進学した際に発生する「中1のギャップ」をなくすことができる
  • 小学校と中学校が共同で行事を行うなど、学校の枠にとらわれずに交流できる

その半面、
×生徒の顔ぶれが同じであるため、人間関係がリセットできない
×実施している学校の数が限られており、子どもがみんな進学できるわけではない
などのデメリットも言われています。

いずれにしても、一人ひとりに合った教育が受けられることが一番ですよね。
色々な選択肢が増えるということは、方向性として望ましいのではと思います。
今後も、注目していきたいものです。
(参考:文部科学省「小中一貫した教育課程の編成・実施に関する手引」)

企業法・授業まとめ-第12回-

授業ブログ第12回目です。

今回のテーマは「会社法と独占禁止法」。
独占禁止法と聞いて、どんなことをイメージされますか?

個人的には“大企業が直面する問題”というイメージですが、
実際のところ、どういった「独占」が「禁止」されているのでしょうか。

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企業法・授業まとめ-第11回-

授業ブログ第11回目です。

前回は「企業におけるトラブル」という大枠についてお伝えしましたが、
今回は、その中でも「労働法」について注目していきます。

「働く」ことは私達の生活でも大きな割合を占める行為ですが、
そこに関係してくる「労働法」とは、一体どのようなものなのでしょうか。

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六法全書クロニクル ~改正史記~ 平成29年版

六法全書 平成29年版

この年の六法全書に新収録された法令に、

自転車活用促進法(平成28年法律第113号)

があります。

弊所がある港区界隈でも、
近頃シェアサイクルを利用しているオフィスワーカーの方や
UberEatsの配達員の方なんかもよく見かけます。
流行っているんだなとは思っていましたが、法律を策定し、国を挙げて自転車の利用を推進しているなんて、初耳でした。

(ちなみに・・・国土交通省HPには
“自転車活用推進本部「GOOD CYCLE JAPAN」”なんてページが🚴
みなさんはご存知でしたか?)

この法律では、自転車が

〇環境に負荷を掛けない
〇騒音及び振動を発生しない
〇災害時において機動的である
〇国民の健康の増進・交通の混雑の緩和によって経済的社会的効果を及ぼす

であると、とにかく自転車をほめちぎっています…!

そんな風に意識したことはなかったけれど、言われてみれば確かにそうですよね。
これから季節もよくなりますし、満員電車を避ける意味でも、自転車の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

ちなみに、5月5日は「自転車の日」だそうですよ。
これも、同法で定められています(14条2項)。

 


 

改正された法令として収録されたものとしては、総合法律支援法があります。

そもそも、「総合法律支援法」ってご存知でしょうか?
この法律ができるまで、我が国の司法は

- 相談窓口が一つになっていない、
- 経済的な理由で弁護士などの専門家に相談できない、
- 近くに専門家がいない

・・・などの問題があり、使い勝手がよいとは言えない状況でした。

そうした反省から、裁判をより容易に利用できるようにするとともに、
弁護士などのサービスをより身近に受けられるようにするための総合的な支援を
実施しようということで、平成16年に制定された法律です。

その担い手として
「日本司法支援センター」、通称「法テラスが設立されました。

あまり馴染みがない組織かもしれませんが…どうでしょう、
「法テラス」という名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか?

 

法テラスの主な業務は、

①問合せに応じて、法制度に関する情報等を無料で提供する
②経済的に余裕のない方などに無料で法律相談をおこない、必要な場合、弁護士費用等の立替えをおこなう
③犯罪の被害にあわれた方や家族の方などを支援する
④国選弁護人(逮捕・勾留された人が貧困などの理由で私選弁護人を呼べない場合に、国が弁護士費用を負担し選任する弁護人のこと)に関する業務
⑤身近に法律家がいない司法過疎地域の解消のために「地域事務所」の設置などをおこなう

などです。

今回の改正では、法テラスの業務として

〇認知機能が十分でない高齢者・障害者に対する資力を問わない法律相談
〇ストーカー等被害者に対する資力を問わない法律相談

が追加されました。
いずれも、時代の要請に応えるものですよね。

弊所も、司法の担い手の一角として、
みなさまが必要とするときはいつでも、適時に適切な法律サービスをご提供できるよう準備いたしておりますので、ご記憶にとどめておいていただければ幸いです。

六法全書クロニクル ~改正史記~ 平成30年版

本稿は、弊所ギャラリーに蔵書している有斐閣・六法全書について
年ごとにその法改正の道のりを辿っていこう、というものです。

法改正は時事と隣り合わせ。切っても切れない関係です。
雑学的に、少しでも六法全書を身近に感じていただければと思います。


六法全書 平成30年版

この年の六法全書に新収録された法令として、
天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成29年法律第63号)があります。

平成から令和への御代替わりに関する法律で、この中で

・天皇が法律施行日に退位されること
・退位後に上皇となられること
・敬称は陛下とすること

などが定められています。

天皇の生前退位という非常に稀な事態を実現するための、非常に珍しい法律です。条文の数も5条までと少ないですから、ぜひ、ご覧になってみてください。

改正された法令として収録されたものとしては、旅館業法があります。

いわゆる民泊が過熱する事態が発生したことなどを受けて改正されたもので、
「旅館営業」と「ホテル営業」に分かれていた営業種別を「旅館・ホテル営業」に統合して規制緩和を図る一方、違法民泊など無許可営業者に対する立入検査の創設や罰金の上限額の引上げ等による取締強化を図っています。

日本政府観光局の統計によると、平成30年の外国人旅行者数は3,119万人で
統計取得開始以来最大、初めて3,000万人を超えました。

そんな中懸念されているのが、ホテルを初めとする宿泊施設の圧倒的な不足です。

平成29年の宿泊施設の客室稼働率は、全体で60.8%ですが、東京や大阪では8割を超えています。東京オリンピックを間近に控え、宿泊施設不足を補うものとして、民泊に注目が集まっています。
実際に、2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、民間会社が公式サプライヤーとして宿泊施設提供のサポートをおこない、会期中に6万6千人のゲストが民泊を利用したといいます。

今回の東京オリンピックでも、民泊が重要な役割を果たすことになるかも・・・
自分もやってみようかな?と思われている方は、ぜひ、六法全書で条文を読んで予習してみてください。

企業法・授業まとめ-第10回-

授業ブログ第10回目です。

前回は企業の金銭的トラブル「債権の管理・回収」についてお伝えしましたが、
今回はそれ以外の企業におけるトラブルについてです。

お金関係以外、どのような問題が考えられるでしょうか・・・

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幻(?)の六法全書・昭和56年版

タイラカ総合法律事務所にはギャラリースペースがあり、
六法全書を中心に各種法律書を収集しております。

これまで数年かけて古書を収集してまいりましたが、

六法全書を探しに街へ繰り出したり、

その後も捜索を続けたり、

あれこれ手を尽くしてきたにも関わらず入手できなかったのが
有斐閣の出版する六法全書の昭和56年版です。

 

しかし!
この度、素敵なご縁があり弊所の蔵書に迎え入れることができました。

 

 

 

その「ご縁」というのも・・・

 

 

弊所のギャラリーは、ご希望の方にご覧いただけるようになっています。
(要予約・枠に限りあり。詳しくはホームページをご覧ください。)
今回いらしたのは六法の収集をされているという見学者様。

その方より、

「近くの古書店で見つけたので…」

といって、ご厚意で頂いたものなのです。

 

 

2年近く探し続けてきたにも関わらず見つからなかった昭和56年版。

まさかこんな形でお目にかかれるとは思っておらず驚きましたが、
本物を見ることができ、じわじわと感動しました。

見学者様、本当にありがとうございました。
(ブログを見てくださっているとうかがったので、こちらでも改めてお礼を。)

 

 

ということで、早速本棚へ並べてみました。

 

 

数字が並ぶととってもいい感じです。
(昭和55年版は別室に飾ってあります)

 

出版年によってデザインの変遷があり、
その違いを楽しむのもいいかもしれません。

 

ちなみに。

これまで弊所では昭和54年版、56年版を見つけるのに苦労していたわけですが、
逆に昭和57年版は、これまた縁があり4冊蔵書があります。

入手のしやすさ・しづらさに何か違いがあるのか、見学者様にも伺ってみたところ

  • 法改正がないタイミングだと、そもそも刷る数が少なくなり、結果として古書での流通も減るかもしれない。
  • 逆に法改正があれば刷る数も増えるし、それで手に入りやすいのかも。
  • 法律書を扱っていない古本屋でも、足元に積まれた古書に六法が紛れていたりすることがある。裁判所の近くにある古本屋さんも売っている可能性大。

とのこと。かなり勉強になります・・・!

 

これからも六法全書をはじめ、興味深い古書を揃えていきたいと思います。

法律古書を探してみた-令和編-

タイラカ総合法律事務所にギャラリースペースがあるのをご存知でしょうか。

ギャラリースペース開設のお知らせ
タイラカ総合法律事務所HP・ギャラリーについて

以前より収集していた法律古書を実際手に取ってご覧いただけるよう、
昨年オープンいたしました。

蔵書については常時収集をおこなっていますが、
この度新たなコレクションを求めて、久しぶりに神保町へ行ってまいりました。

 

神保町といえば本の街ですが、
意外に法律古書の取扱いが少ないことは前回の六法全書探しで学習済みです。

今回も淡い期待を抱きつつ幾つかの書店をまわりましたが、
やはり法律書の取扱いはないとの回答でした・・・残念・・・。

 

 

しかしタダでは転びません。

 

 

法律に携わる方なら必ずご存知であろう、
出版社「有斐閣」さんの本社が神保町にあります。

 

一目その姿を見たい!…と近くまで伺ったのですが、
なんと1階にはギャラリーが。

見学可能とのことで、せっかくなのでお邪魔してきました。

 

一歩踏み入れると、立派な扁額が目に入ります。
(写真撮影可とのこと)

(何だか学校の校長室を彷彿とさせる重厚な雰囲気・・・)

歴代社長の写真、社名の由来、社屋の変遷、その他出版物が展示されています。

創業当初(明治10年)は「有史閣」という古書店だったんだ…
代々ご家族での経営なんだ…
戦災・震災を乗り越えて今の本社ビルがあるんだ…

などなど、普段お世話になっているにもかかわらず知らないことが沢山。
まるで博物館の展示を見ているようで非常に興味深かったです!

 


気になって調べてみたのですが(以下、Wikipediaを参照。)、

有斐閣さんが現在の六法全書を出版しはじめたのは1948年(昭和23年)。
(1901年より『帝国六法全書』を刊行、昭和に入って中断していたところ、創業70周年事業として今の六法全書が作られるようになったのだそうです。)

弊所の所有する有斐閣・六法全書で一番古いものは昭和24年版。
創刊版まであと一歩ですね・・・!これはぜひとも蔵書に加えたいところ。


 

やや話がそれましたが、
神保町を堪能(?)した後は、目的の古書探しを続行。

水道橋にある「丸沼書店」へ向かいました。

 

看板にも「法律」の文字が。心強い!

実は以前の六法全書探しでも伺ったことがありますが、
かなりの数の法律書を扱っているイメージでした。
その印象を頼りに今回も向かったわけですが、これが大当たり。

壁一面の本棚には法律書が新旧問わずにびっしり。
無事、いくつもの素敵な法律古書を購入することができました。

興味のある方はぜひ行かれることをおすすめします!

 

 

事務所に戻ってからは、さっそく書籍をギャラリーへ。

 

古書はそのデザインも楽しむことができるのが良いと、個人的には思っています。あとは使っていた方の雰囲気が残っているところです。
学習のための書き込みや記名がされていると、なんだか癒されます。

今回は商法に関する書籍など、縁のある書籍も蔵書に加えることができました。

幅広いリーガルサービスの提供を実現すべく、
今後もさまざまな蔵書を探してまいります!